第138話チョコレートブラザーズ(中)
一度海弟はこの話で死にます。
そして、影流にも何か鉄槌を落とさなければいけないようです。
「今回も、逃げてきたのか?」
「えぇ、まぁ……」
今日だけは、周りのほとんどの女が凶暴化するからな……。
じぃちゃん大丈夫だろうか……。
「そういえば、海弟は?」
「……悪霊に連れ去られたというところか……」
この人の想像か?
「さぁ、鉄槌を!!」
「イエッサー!!」
「………」
悪霊が見える……。
まさか、この家を寒くしている原因であったりなかったりするんじゃないんだろうか。
悪霊って危険だな。って、勇者に似ていたり……。
「頭が混乱してきた……」
「まぁ、茶でも飲め飲め」
「あ、どうも」
―――ズズズ
何か、久しぶりだなぁ。
本当は海弟に向こうの世界に連れていてもらう予定だったけど、今回もここでいいか……。
「はぁ~」
「すごく平和そうに見えるんですが、一つ聞いていいですか?」
「何?」
いや、コタツの一席を使っているこの死体は、何故こんな状態になっているのかなんだけど……。
「……聞くな」
「……複雑な……」
そういえば、チビッこいドラゴンを連れていたがどうしたんだろう。
あの中途半端なドラゴンは町中へ出たら大騒ぎだ。
「はぁ……」
向こうの世界の政務が溜まっていく……。
とりあえず海弟は幽霊に襲われて勝てるのか?
……まぁ、手加減はするだろ。
☆
現在、絶賛魂放出中。
「誰が絶賛してるんだ!!そいつをぶっ殺す!!」
「はい、引っ張って~。ごーごー!」
「魂が!!体から離脱する!!って、そこにドラゴンがッ!!」
「ふふふ、この家で捕獲したの」
……良く見たら青空のどらごんじゃないか!!
さぁ、俺を助けるんだ!!
「ぐるぅきゅぅぐるる」
そんなに、青空は何処?って目で俺を見つめるな!!
あっ。
「抜けた」
「脱皮しましたたいちょー!!」
「帰っていいですか?」
「この三人、殴っていいですか?」
いいよね?
俺にはその権利があるもの。
殺人罪って重いんだよ?
自白したってダメだからね。
「『風雅』」
って、魔力の使い勝手が違う!
何かこう……スピーディ?
自然に補助が掛かっている感じだ。
俺が戦闘スタイル、魔力を操ってから発動するが壊された!!
「って、この場合『風雅』は操れないから……」
勿論、魔法が失敗したら魔力分のダメージは受けてもらいます。
さぁ、天のお導きを……。
「って、こな―――」
あ、本体に……。
こうやって見ると悲しいなぁ……。
うん。
「ドルゴンじゃあね」
「ドルゴンって何!!」
残ったのは、俺とドル……ドラゴンだけだった。
「きゅぅ……」
「クッ、ダメだ。俺に近づくな!!」
そ、そうだ、幽霊なんだから壁抜けとか―――
「できない!!何て理不尽!!世の中の不条理!!っていうか、幽霊自体が不条理だけど!!」
もう、猫さんったら。
誰か知らないけどさ。
「えぇい、炎よ!!」
操りきれていない炎がドラゴンへ向かっていく。
それを、ドラゴンは―――
「ふぅっ―――」
とりあえず、跳ね返してくれました。
っていうか俺の体(幽)を通り抜けて俺の体(本)に当たった!?
うわっ、ちょ、どうしよう……。
「治癒魔法を掛けとくか」
燃えて変形して体がフィットしなかったらどうするんだ。
っていうか、フィットとかあるのか?
「うぅ……俺の体……可哀想に……」
「あ、海弟いたい……た?ずいぶんとうらめしやな姿になってるね。夏はとうぶん先だよ?私もまだ水着は着ないかな」
うらめしやな姿って何?
それと、水着は何処で着てもOKなんだよ。
「例え北極海だろうが南極海だろうが海があったら潜るのは人間として当然なんだ」
「……幽霊でも?」
「そう、で、そのドラゴンをどうにかしてくれないかな青空」
「……可愛いよ……」
あぁ、自分の世界へ入っていった……。
さて、どうにかして俺の体に戻る方法を……。
俺の必殺技系が全て使えないとしたらどうしたら……。
あっ。
「入ればいいじゃないか」
うん、アホだったね。
阿呆にアホって言っちゃダメだよ?
馬鹿の症状は三段階。
アホ→阿呆→馬鹿
この三段階さ。
最後に『お』が付いたお馬鹿はとりあえずは入らない。
「尾を付けたら効果が倍増すると思うなよ!!」
「それは、先頭につけるのかな?それとも最後につけるのかな?」
「……ノーコメントで」
「症状が一段階進行したっ!!」
「な、何故バレ……何を言ってるんだい?」
「……名医を紹介してあげるよ」
「……頼れるのは青空だけだ……」
とりあえず硬い握手。
何か、久々の女の子の感触とか思ったりして……不謹慎ですなぁ。
っていうか、俺はまだ学生ですけど。
「さて、体もしっかり動くし燃えた……燃えた!!」
ま、まさか脳内まで燃えたなんてことは無いよな。
いや、待て。
俺が俺の俺の為の脳が焼かれていたとする。
すると、馬鹿になる。
「な、何て落とし穴……」
「最近、海弟は馬鹿なのか天才なのかわからないよ」
「ヘイヴォンさ」
少し、カッコよく言ってみました。
「へいぶぅん?」
ヘブン=天国
俺は召されろというのか……。
「っと、馬鹿になってきてきている」
認知症とか嫌だな。
「魔法でどうにかできないの?」
「あ、できるじゃないか」
魔法は万能なのだよ。
っと、治癒治癒。
「治癒」
治癒って魔法使いが一番多く使う魔法なんだよね。
魔法剣士とかは自分の身体能力を上げる魔法ばっかり使うけど。
あ、一応俺は魔法使いに属しているからね。
剣を少し扱える魔法使いってとこだからね。
「だが、神を味方につけ増強した魔力は一味違うぜ!!」
さぁ、聖なる光よ俺の脳内の傷とか傷とか主に馬鹿を治しておくれ。
「さぁ、治った。治ったぞ」
「ふふふ、よかったね~」
ウハハハ、魔力さえあれば何でも解決でき……チョコレートの数だけは解決できないな……。
「あ、それと、チョコレートだよ」
「俺の人徳だな……」
世界は救う価値ありです神様。
「えぇと、砂糖を少し多めで甘い物好きの人向け……かな?」
「俺はチョコを食べる事で最強になるんだ。ありがとう同志よ」
「ど、同志……。えぇと、女の子としてみてくれると嬉しいんだけど……」
今の俺は誰にも止められねぇ。
っていうか、今日は平日じゃ……そういえば今日を休みにする為に兄さんにはずいぶんと協力してもらったな……。
「っと、今はそれは問題じゃねぇ。勝つのは俺だ!!」
うん、なんだろう。
チョコレートを食べると馬鹿になる……じゃなくて、チョコレートをもらうと馬鹿になるんだよ。
「さて、モテない男子共には既に勝った。次狙うのは母親からのチョコで安心している奴等か……」
この壁は結構キツイかも知れ……俺は既に二個目をゲットしているじゃないか。
猛火、君の事は(一瞬)忘れない。
「ずっと、覚えておくなんて不可能なんだしさ、アレだよね。漫画とかアニメの主人公ってすごいよね。だいぶ昔の事を平気で覚えてるし」
もはや人間じゃないよ。
フィクションの主人公って言う種族ができつつあるよ。
そいつは世の中のチョコを奪う悪党だ!!
「さぁ、今こそ立ち上がる時だ。共通した敵が居ることでお互いの涙の数だけ殴って殴って殴り倒してやろうじゃないか!!」
窓の外から聞こえてくる声援。
何か、気持ちいい。
「さて、影流は非難しているから敵から除外。だとしたら、学園二位と呼ばれる……、いや、呼ばれないが俺の情報網で二位となっている者からチョコを奪うのだ!!」
「イエス、マム」
さぁ、家まで近い!!
蓑上という苗字の表札を見送り、玄関をこじ開け同志と共に突撃する。
「さぁ、蓑上琢磨!!出てこなければ……燃やす!!」
「ライター一つで便利であります!!」
「あぁぁああ、居るから。居るから燃やさないで!!」
「よし、チョコだけ燃やせ」
「イエス、マム」
「あぁっ!!」
僻みって不の感情じゃないんだね。
ほら、いい結果も生み出してるじゃないか。
こんなに清々しいのは久しぶりだ。
次は……!!
百個越えが四人……まだそんなに……。
「体力が続く限り……最上位に立たない限り……俺は戦う」
俺は、チョコを燃やした琢磨君の背後でそう誓った。
反省はしてないぜっ!!
影流はもらっていないようなので、鉄槌はまた今度ですね。
とりあえず、適当に終わらせよっと。




