第129話海弟に衝撃のプレゼント(出血注意)
人の人生に文句って言っちゃいけないと思います。
……特に海弟は……。
高層ビルってのは邪魔だと思う。
うん、だから一応消して……。完了。
「さて、作戦の邪魔になる物は消したので、罠の設置をしようと思う。デスマキ一号よろしく。あ、お前も」
「ついにお前ですか……」
「さて、水都は色々事情聴取をしましょうか」
「……前から話そうと思ってたんだけど……」
でかいクレーター(俺が空けた)の中で準備は進んでいく。
「えっとね……、もうわかってると思うけどさ……その……宇宙人って信じる?」
「信じない」
いや~、水都のリアクションが面白いからついついやってしまった。
その衝撃的って感じの顔がいい。
……何か自分の性格がねじれ曲がっているのを感じ取れるんだけど……。
まぁ、これは裏の人格的なもの。そう、魔王だ。魔王に感化されたってことで。
「冗談冗談。で、続きは?」
「……私は月人のお姫様―――」
「嘘だッ!!」
……よし、人の話はしっかり聞こう。
小学生でもわかるからね。
「……それでね……。えぇと……」
「………」
「………えぇとね。……なんだったっけ?」
「コーンスープのコーンの部分の話だろ?」
「そう。でね、プチプチ……違うよ。それで、逃げてるの」
「そうか。わかった。じゃあ十秒数えるから逃げてくれ」
「真剣に聞いてくれてる?」
「いや、全然」
俺がいつ、真剣に聞くと言ったんだ。
シリアスなんてぶっ壊せと、俺の心の師匠が言ってるんだ!!
粉々にするしかないだろ?
「私にもお兄ちゃんが居てね」
「意外な展開だ。まさか、偽者だったとか……」
「……もう話すのやめていい?」
「どっちでも」
「……殺されたの……」
「よし、話し終わり」
俺が悲しい話に弱いってこいつは知らないのか!!
そんなに、俺を泣かせたいのか!!
「まってよ」
袖を掴まれる。
「原因は私にはわからないけど……最後にね、こう言ったの―――」
「HAHAHA、ワタシニホンゴワカリマセ~ン」
「死ぬ?」
「ホントにゴメンなさい」
「いつか……いつまでも待つから。その時に助けてくれって……」
ふふふ、ヤバイ状況だが俺も感情のコントロールがうまくなってきたようだ。
目から血の涙を出せるようになったぜ……。
「死んでいるけど死んでいない状況。今、そんな状況にお兄ちゃんは居るの」
「そうか。ゴメン、出血多量で死ぬ」
血は多く出しすぎたら死ぬんだよ?
「えぇ!?」
「毎月、第三の日曜日にはケーキを墓の前においてくれ……」
「え、えぇと、話聞いてもらってケーキを―――」
「復活だ。さて、準備はできたか?」
「まぁまぁ」
「こっちも」
ククク、さて怨みとか全部ぶつけましょう。
血の涙をお前らも流せコノヤロー!!
「何か逆恨みのような感情を感じるんだけど?」
「気にしない方がいいです。下手すると死にますから……」
「でも、わしは神―――」
「海弟は、色々と人という枠を無視してますから。神をも超える時だってありますから……」
さぁて、手始めに……ダメだ……敵の位置がわかんねぇ……。
「っと、ベル敵の位置は?」
「………」
しっかりと、俺の顔を見て言ってくれないかな?
ねぇ、ベルさんよぉ。
「半径200m以内しか私のレーダーは反応できません」
「良くできました。そして、使えないな」
「ヒドッ!!」
さて、いきなり作戦をする前に問題が発生したわけなのだが……この場合どうしようか……。
「あ、デスマキ一号。俺のシックスセンスというか、第六巻を徹底的に底上げできる?」
「できないこともない。でも、下手したら死ぬ」
………。
「どんな風に?」
「脳がこう、ギューって押しつぶさ―――」
「さて、勘で行くってのもなしになって、後はどうしようか……」
……まぁ、こうなるか。
「待つ」
「ですね」
「なると思ったよ」
「……意外とのんびり……」
やることやってくれればそれで問題なし。
今からやるのは全人類を救う戦いじゃなくて、適当に頑張りながら慎重に少しずつ騙していき、最後に……ククッ。
「核兵器でも持ってくる?」
「誤爆で死んだらどうするんですか」
「とりあえず、死なないように努力するんだ。死んだ時じゃなくて、死なないようにだ」
「いいセリフのはずなのに、何故かその時は全力で逃げるんだ。仲間を盾にしても……と、聞こえるのは幻聴でしょうか?」
「気のせい」
クッ、こいつ鋭い……。
「それよりも、いつまで血を流しているんですか?」
「これ?大丈夫。いつか止まるから」
「最悪、体中の血液がなくなったときだね」
……魔法使って治癒しとこ……。
「……来ましたよ」
「あぁ、そ……きたの?」
「たぶん、魔法を使ったのを感じ取ったんでしょうね。向こうは高性能な感知レーダー持っている奴もいますし」
あぁ、最初からこうすればいいのか。
……紅茶でも入れて待ってればいいかな。
「クッキーは?」
「お砂糖は二杯で」
「……ちょ、皆さん……私はコーヒーをお願いします」
う~ん、しょっぱい。
血の涙は止まったけど、次は透明の涙が流れてるよ。
「海弟の中で壮絶な戦いが繰り広げられているんだ……」
「水都さんもわかりますか」
「わしもわかったよ」
戦いが始まる……。
では!!