第127話生まれた瞬間から―――
ククッ♪ 神様にも色々な者が居るんですよ?
大きくも無く小さくもない空間にわしはただただそこに居た。
人とは違う体を持ち、見守る存在として崇められていた。
誰に作られたのかなんてわからない。
だが、わしは力を使って人々を助けていた。
世界はわしの一部で、わしは世界の一部だった。
だから、人なんて世界から見たらクズ同然の存在を助ける事なんて簡単。
……この日までそう思っていた。
……わしがこの人物に出会ったのは運命なのだろうか?
……だったら、運命を怨もう。そして、神も怨もう。
わしはただ祭り上げられた神だし、本物とは違う。
☆
「……建物があるんだが?」
「おかしいですね。生体反応はありませんよ?」
「……行くか」
「警戒心を少しは持ってください」
阿呆な事を言うベルを置いて進む。
……かび臭い臭いのする通路を通って、進む。
「何ていうか……機械?」
「私とは全く構造が違いますね。でも、人型の機械を作ろうとしたようです。設計図もありますし」
「また、馬鹿なことするな。成功したのか?」
「わかりません」
はぁ、余分な緊張を持っていかないといけなくなったじゃないか。
コイツは本当に機械なのか?
いや、違うだろう。
生物兵器の生物の部分がよほど馬鹿なんだろう。
「暗いな……。炎よ」
「便利ですね。私には必要ありませんが」
……壊していい?
そんな感じで進んでいく。
ここは神の世界なので何があったって驚かないが、また機械と関わるのは何か嫌だ。
オイルの臭いとかもう嗅ぎたくない。
……進まないと……。
もはや、後戻りはできない雰囲気を醸し出している俺達二人は一つの扉の前に辿り着く。
材質は今までの鉄らしき物体では無く、木製だ。
「よし、破壊しろ」
「ドアは破壊ですか……。用心深いですね」
「何処かの機械が緊張感を割り増ししてくれたからな」
さっき言わなかったら、扉を無視してぶっ壊して進んでいただろう。
……あ、どっちも同じだ。
攻撃力の高そうなビームソードで斬る。
二度三度と斬っている。
「さて、最高何回斬れるか……」
「もうおしまいです。さぁ、進みましょう」
五回か……、俺の予想は八回だったのに……がっかりだ!!
「行きますよ?」
「はいはい」
さて、中へはい―――。
「何者?」
やはり、あんな派手な行動をしたのでここの住人らしき人に見つかった。
神様って妙に強いからあまり戦いたくないのが本音。
で、表向きは友好そうにして暗殺を計画……いや、表と裏が合体してる!
「えぇ~と、とある旅人に騙されここにきたものです」
「自殺?」
「生きて―――」
「ません。まぁ、そんなとこで」
よし、これで不信感を植え付けられた。
いきなり襲い掛かってくることは無いだろう。
……まぁ、短気だったら『何者だ!!死刑!』とかありそうだけど、神様って皆のんびりしてるから無いよね。
「……誰がその扉を破壊したの?」
「はははは、俺です」
「なっ、それはわた―――」
「主従関係で結ばれている俺達の関係は、お前があげた功績は俺のものになり俺があげた功績は俺のものになると言うものだ」
「………」
面倒だ。帰ろう。
臭いが嫌だ。
「理由が三つぐらいあるので帰ります」
「は?」
「………」
いくら相手が老人だからって俺は手加減しないぜ?
と言うわけで、部屋から出て行く俺。
その後付いてくるベル。
そして、何故か着いてくる爺さん。
「……何?」
「何者?」
「最初と同じ質問だな。簡単、魔王だ」
……魔王って意外と便利だな。
名乗る時とか。
「……魔王か。なるほど、次の魔王はお前か。……旅人に騙されてここに来たのか?」
鋭すぎる……。
まぁ、いいとしてこういうの苦手なので逃げ……れないね。
容易に相手の有利な所に足を踏み入れるんじゃなかった……。
大きな壁が俺達を囲む。
砕けそうな雰囲気ではない。
「わしはね。わしを作った人物を探してるの。だから、ヒントをもたない奴は殺すの」
……言語が可笑しい!!
……待て、これは使えるぞ。
「クハハハハ、殺すだと?無理に決まっている」
「……気でも狂った?」
「何故なら、俺がお前を作ったからだ!!転生ってのを知っているか?」
俺の幼馴染に転生した人がいます。
今は、人をやめて魔族をやってます。
「転生……見落としてた……。本当?」
ベルがこっちを見てくる。
その目は、呆れているような目だ。
「この機械の体を作ったのは貴方?」
そう言って、ローブを払い体を見せ付けてくる。
……老いぼれる事のない機械の体。
機械仕掛けの神様?
ははは、とりあえず貴方のことは今日始めて知りました。
「決まっている。そうだ。と言うわけでお前の使命を発表しよう」
「何?」
「俺の手伝い。何でもやってくれ」
「……わかったよ」
爺さんかと思ったら機械だったので手加減無しだ。
……今までも手加減してなかったけど……。まぁ、神様がここに居るということはアレだ。
「異世界へ行くぞ」
帰れるってことだ。
真顔で嘘を付くのはステータスとして(異世界召喚系の)、ここまで来ると逆に清々しい。
えぇ~と、自分は機械の体の部分で朽ち果てた人間です。
グロイ妄想は自分の死を招くので……。
ま、機械さんたちのお話もそろそろ終焉を迎えてもらいましょうか。




