第125話『イクラとサーモン』
※(サブタイに特に意味はありません。ただの気まぐれです)
……やはり、甘いものだけではもたない……。
甘い物好きでも毎日食べれば飽きる。
やはり、俺もその方程式の一部だったようだ。
「と、言うわけで、何処かに狩りに出かけよう」
「主人……動物はいないのでは?」
「……死ねというのか!!」
「い、いえ……」
俺と主従関係を結ばれた生物兵器の……名前が無いな……。
「俺がお前の名前を考えている間に、狩ってこい」
「近所のスーパーで買ってこいって言っているぐらい簡単に言いますね……」
勿論、生物が見つかったら焼いて食べる。
食べる……と。
「タベル……よし、お前の名前はベルだ」
「何気に酷い由来ですね……」
「案ずるな、食べるからできたわけではない」
「苦しい言い訳ですね」
「そう、その鈴のような声から名付けたんだ」
「いや、そんな褒められましても……」
さて、もう名前を決めてしまったし暇だ。
出かけていった殺人生物兵器の後姿を見ながら考える。
「寝よう」
木を削り、繊維を錬金し、繋げたベッドで寝ることにした俺はすぐさまそれを行動へ移した。
☆
「主人……生きてますか?」
「……一応」
目を擦りながらおきる。
何と、案山子が出迎えてくれた。
いや、ベッドの隣に置いておいたやつだけど……。
「主人……生体反応無しです」
「当たり前じゃないか、ここの生物は前に向こうの世界へ全部送ったんだから」
「殺しますよ?」
「まぁまぁ、落ち着け」
一番最初の生物兵器との戦いの前に向こうの世界へ送ったんだったな。
「この世界は、もはや俺とお前だけしか生物は居なくなってしまった……」
「生物兵器ですが……」
「そう、一体は兵器だ。という事は、俺はお前に殺されて終わりか?」
「……終わらせましょうか?」
「冗談だ」
さて、そこから考えよう。
師匠が修行しろとここまで連れてきた。
なら、どうすれば迎えが来るか。
「修行だ」
「……食りょ―――」
「何か言ったか?」
「いいえ……」
一番手っ取り早く強くなるには実践だ。
それも、制限ありの。
「という訳で、武器は木刀。範囲はこの世界。ルールは無用の勝負だ」
「私は貴方の考えが読めません」
「当たり前だろう」
外へ出た俺達は木刀を構える。
始めの合図はいらない。
……ルール無用だし……。
「てああぁあ!!」
「ふっ」
俺が放った突きを避けられる。
不意打ちのつもりだったんだが……。
「はっ」
俺から見ても無駄無しの動きで剣を振る。
「『鏡』」
鏡を出してガードする。
……ルールは無用だ。
「『林我』」
体を強化し、走る……ベルの居る方向とは逆へ……。
「なっ、逃げるのですか!!」
「敬語を忘れないその心意気を買おう」
だが、逃げる!!
「それでは、修行になりません!」
「これは、実践だ!」
という事は、戦略的撤退なら許可だ。許可。
「はあっ!!」
―――ゴチンッ
星でも飛んだんじゃないだろうか?
「あぐっ……つぅ……」
頭に何か当たった感触がする……木刀か……。
「はっ!!」
「ぬあっ」
ちょ、そこで蹴りを―――
「実践です」
後ろか……っ。
俺は体を無理矢理曲げて剣を避ける。
「まじめにやればできるじゃないですか」
「脳ある鷹は爪を隠すんだよ」
「どんな生物でも、戦っている最中は爪を見せるものじゃないですか?」
「………」
言ってくれるな……。
「よし、俺の本気を見せてやろう」
「最初からそうしてください」
サ○バ○マンの意地というやつを見せてやろう……いや、死ぬな……生身だし……。
木刀を魔力で包み活性化させる。
……少し、重量を増やしたんだ。
「これが魔力という物ですか?」
「だろうな」
俺も、説明できないよ?
使うには想像力としか言えないからね。
木刀を握りなおし、構えを中段に持ってくる。
もう一度、魔法をかけなおしておこうか……。
「『林我』『風軽』」
もう、『林脱』使う必要ないな……。
何か裏技なのか知らないけど、死んだときに飲んだから生き返ったときに痛みだけ来て死なないのね。
で、もう感覚が麻痺している……と。
衝撃だけ来るのはきついね……。
「と、説明してみた」
「緊張感ありませんね」
「とっ」
目の前の木刀を避ける。
「いきなりか」
ここから、実践的な修行が始まった。
機械・敬語
この二つで思いつくのがメイドロボットだけとは限らない。
だって、ここに生物兵器はいるのだから。
……恐いですね。
っていうか、海弟が凄すぎる……。