第108話『わ、私、戦うのはいけないと思うんです!!』by謎の美少女エルフ
何故かシリアス?
……いえ、自分にはそんな物書けませんよ。
誰にでも、小さい時がある。
皆さんは、小さい時何をしただろうか?
毎日が遊びで埋め尽くされ、時折親を思い出し、寝て、食べて。
本当に、自由だっただろう。
しかし、これを見て欲しい。
焼けた村だ。
誰が、やったのかは明白だ。
まぁ……金になるからだろう。
「止めるか?」
「何故、ここに人間が……」
「わからないな」
隣の精霊と話しても見つからない答え。
俺達がこの光景を見るまでの間には、これと言って不可解な現象は起こってないような気がする。
そして、夜になると俺達はエルフの里に転移した。
「……エルフの方を応援したいな」
「まだ、実害が出てませんからね」
エルフ達からは、攻撃されていないのにこちらが不意をうったのがいけないのだろう。
どちらを応援しようか。
やはり、当初の作戦。エルフに寝返るを実行しようか……。
「この大陸の半分はほしいところだ」
「無理じゃないですか?」
「そうだよなぁ~……相手の目的が人間抹殺だからな~」
本当に厳しい世の中だ。
おっと、火の玉が……。
俺は避けながら考える。
「すごい数の魔法使いだな」
「剣士も混ざっているようですから、いくつかのギルドが手を組んで襲ったんではないですか?」
「……馬鹿の集まりですか?」
国力一つ分ぐらいあるだろうか?
そこまで、すごい有様になっている。
さて、俺の活躍はないな。
「まさに、期待を裏切っているな。おっと」
「そうですね。あ、私には攻撃は効きませんよ?」
さて、どうしようか。
「おい、人間共、俺は人間だ。攻撃するな」
「エルフの皆さん。私は精霊です。攻撃なんて無駄な事はやめてください」
さて、どうしたものか……。
戦う気が萎えてくるな……。
「取り合えず、第三者的な立場から考えると(正義感の強い人の場合)、エルフに加勢だよな」
「海弟さんは、自分のことをどう見てるんですか?」
「第三者的な人(外道で卑劣で顔はいい)」
「最後のはどうですかね……」
「……まぁ、俺もどうかと思ったから何も言わないが……」
アレはエルフの方の大将だろうか?
あ、人間の方も何人か大将らしき人が出てきた。
「さて、俺はどうしたらいい?」
「さぁ?」
どうやら、博学の精霊さんにもわからないようだ。
本当に困ったものである。
そして、俺達が戦いの真っ只中に居るのを忘れさせる会話も困ったものである。
「た、たた……」
「ん?何か言ったか?」
「いえ、何も言ってませんよ?」
幻聴だろうか?
俺も、疲れているのか……。
しかし、建国当日から滅ぼされるのはこの国もかわいそうだな。
「た、戦いは……」
「戦いは?どうしたんだ?」
「何も言ってませんって。海弟さん、からかわないでください」
「そうか」
また、聞こえてしまった。
しかし、俺の目の前で杖を振り上げ、何か魔法的なことをやろうとしている少女は何がしたいんだろう。
謎な行動である。
「戦いは……いけないと思います」
「同感」
「まことに共感できます」
「へ?」
さて、目の前に居るこの少女は何を言いたいんだろうか。
戦いを避けるのは当然、逃げるのは必然だろう。
そんな事もわからないのか。
「……そうか。逃げよう。そして俺の功績にしよう」
「ばれますよ?」
「あぁ、やっぱりダメか……」
「あのぉ~」
「何だ?」
耳を隠しているからわからないが、エルフだろう。
その容姿は……うわぁ~今一番会いたくない人に似ている。
「性格は全く違うけどな」
「そうですね。背丈まで同じなんて、すっごい偶然ですね」
「戦わないんですか?」
「戦うんですか?」
「え?」
さて、この少女。逃げるという手段を忘れてはいないだろうかと心配になってきた。
取り合えず、連れて逃げようか。
いや、拉致だとか騒がれて攻撃されても面倒だな……。
「神様、助けて」
「無理」
「うわおっ!」
「すっごい驚きようで……」
「転移ができたんですよね」
「え、えっとぉ~」
さて、この神様が出てきてしまった。
万能だと聞くが本当だったとは。
おっと、燃えて屋根まで落ちてきた。
「帰りません?」
「名案だな」
「地獄へ一歩踏み出す勇気が出たみたいですね」
「無視……ですか?そうですよね。どうせ私なんて……」
戦場に居ると、なにやら考え事が多くなるようだ。
そして、ネガティブなスイッチが入るようだ。
俺は、いつもの如く、物凄くここから逃げたい。
だって、エルフの若い衆(主に男性層から)の視線が痛いんだもん。
「かかってこいや~。それでは!」
「あ、地味め!この野郎!やってやろうじゃねぇか!」
「うわぁ……やけくそですね。っていうか地味さん帰っちゃいましたよ……」
ほ~んと、自分勝手なメンバーが俺の周りには多いんだから。
困っちゃうよ……この状況が。
「おるぁああ~、助け出すんだ!」
『おぉおおおおお~~~~~』
ダメだ。
昔から、団結した男には負けるというセオリーがあるんだ。
ここは、一端逃げるとしよう。
「元の世界へ」
「えぇえ!?」
「『鏡』」
一番安全地帯だよね?
「あうぅ……」
「杖を振りかざしながらこっちにくるわっ!?」
視点は、一気に俺の部屋へ。
ちょ、ここで!?
「爆発です!!」
「この家にいる者に聖なる防御を……」
―――ピュイン………ドグォオオオオオ
ま、間に合ったようだ。
「なぁ、海弟よ。これはどういう……あ、ちょっと待て!」
ゴメンよ兄さん。
でも、助かったんだからいいじゃないか。
俺は、この爆発娘と精霊を背負いながら逃げた。
クハハハハ、海弟め。
家を失いおったわ。
海『死んどくか?』
……さ~て、来週の白黒は?
海『来週!?』
それでは、次回~。