第91話最終戦争 ~『ちなみに、戦争は英語でWARだ』by海弟~
それにしても、色々変な物語だな……。
荒れ果てる大地。
泣き叫ぶ子供……いや、魔族だけど……。
そして、英雄はそこにただただ存在する。
「それが、俺だ!!」
ちなみに、俺は戦争経験初心者レベルだ。
どうだ、見習いを脱出したぞ。
「いいですから、いきましょう」
「それが、生きましょうに聞こえる」
「僕には逝きましょうに聞こえます」
意味がまるで違うよね?
あの後、合流できたはいいけど、迷った。
あぁ、もう意地なんてとっくの昔に捨てたよ。
敵に聞いても教えてくれなくて襲って来るんだもん。
倒したら聞けなくなっちゃったよ。
「二人とも手加減というものを……」
「ふぇー、敵にかける情けは?」
「ないよー!!」
「……ダメだ……」
俺は、和みさえあればどこかで細々と生きていける。
まぁ、安全が保障されていればな。
「さて……どっちに逝けばいい?」
「せめて、天国がいいな~」
「二人で何やってんですか!!行くの方でしょうが!!」
「たまに強引なとこあるわねジャディ君ってば~」
「そうそう」
「二人ともここが何処だかわかってるんですか……」
呆れ顔のジャディさん。
俺はいつでもまじめだ。
嘘は付かないぜ。
「あ!!見つけた~」
「見つかった!?散!!」
「「了解!!」」
すごく幼い声だったけれども妖精という可能性がある以上下手な行動は避けたい。
「それは隠れてるの?」
「言うな。急に隠れろとか無理だから」
「……」
「……」
あ?え?何?
……こんな再会でいいんですか?
……俺はここで会うと思ってなかったよ?
……向こうは知ってたみたいだけどね……。
……あの二人……見捨てたな……。
「脱出!!」
「阻止!!」
ガツンと、響く、デコの音。
これはいい川柳かも知れない。
次の×1男子 川柳の部に応募してみよう。
きっと、何をされたか気になって一位を勝ち取れるはずだ。
「海弟……」
「ワッツ?」
「恩を仇で返すの?」
「HAHAHAそれが俺さ」
ぶるぶるぶるぶるぶるるぶるぶるぶるぶるぶるぶるぶるぶるぶる
あぁ……こんな臨死もあるんだな……。
「また……会えたね……」
「無理矢理感がすごくあるが、あえて乗っかろうと思う。そうだな……」
「なんだか、物凄く感動しない再会の仕方だったけど、会えて嬉しい」
「っていうか、何で敵の味方してんですか?俺も会えて嬉しいけど」
「そりゃぁ、私の転生先がここの覇王の手下の一人だったからしょうがないよ。海弟は元気だった?」
「なら、俺と戦うのか?俺は元気じゃないからやめてほしい」
「……」
「……」
何この会話?
普通の会話してるように一見見えるけど、何か違うよね?
「どっちの仲間になった方がいいと思う?」
「絶対こっち」
俺の命の危険が減るから。
「……私のこと好き?」
「あ、前に坂本君が好きって言ってたよ~」
ふ、見事なる回避だ。
「誰?」
「……」
く、何てことだ。
ここは突っ込まれておしまいじゃないのか……。
こうなったら、嘘を突き通してやるぜ。
「俺の同級生さ。お前の写真を見せたら一目ぼれだぁあ!!って叫んでた変態だ」
「……海弟は私のこと好き?」
く、何てことだ。
空気を読むんだ。
ここは、答える場じゃねぇ……。
「……戦いが終わった後だ」
「その時には死んでるかも知れないから……」
それは、俺を殺すということなのでしょうか?
いや、違うよね?
「答えて!!」
「曖昧なところをいったりきたりしてます」
正直だよ?
恋愛物の主人公はこんな感じだと思うんだ。
そして、何かイベントがあって、やっと好きになるという……。
俺の場合、殺される?
いや、俺は一回死んでいる。
これ以上死んで何になるというんだ。
そうさ。きっとそんな明らかにバットエンドなイベントはないさ。
「……私にもチャンスはあるんだね……」
何この子?
ガッツポーズしてますが?
しかも、『私にも』ってなんですか?
複数形?
魔族の間で俺は人気者?
いや、それは間違っている。
きっと、同族を殺された恨みなんだ。
勘違いしてるんだ。
「それはきっとかんち―――」
「完治した?」
「そう、完治し……何が?」
「よし、海弟。一緒に覇王を倒そう」
「ファイナルクエスト 勇者じゃないけど 女一人旅 (仲間は不要)」
「それは、一緒に来たくないってことかな?」
「いや、覇王じゃなくて、中ボスぐらいにしようよ」
「その中ボスは仲間になったし、もう片方はあの二人が倒したから」
「……あの二人?」
「うん、今は気絶させて安全なところに運んであるけどね……」
「よし、俺は仲間が心配だ。お前一人で先に行け」
「う―――頷きかけちゃったよ!!」
「奪取」
風になるには気配を消すことが大事さ。
☆
王座に座っている覇王は、海弟を待っていた。
「遅い……遅すぎる……猛火の奴め……いや、今は炎夏だったかな……」
イライラとしている覇王の前に飴玉の乗った台が現れる。
「……これを食べ終わる前に来なければこちらから出向こうか」
席を立ち上がり、飴玉を取ろうとした瞬間、ドアが開け放たれる。
「誰だ!!」
「疾風の如き海弟ただいま参上!!」
「待てぇ~~」
海弟が逃げた先は覇王の部屋だった……。
☆
言い訳をしようか?
それは、猛火(今は炎夏?)が追ってきたからだ。
だから、俺は覇王と対峙するようなことになっている。
「海弟に背中を預けられるなんて~ふふふ」
ヤバイ、すごく不安になってきた……。
あの後、飴玉を取ろうとしていた覇王がそれを投げたら魔物になって、戦闘中だ。
そして、何故か俺は親玉である覇王と対峙している。
「よし、逃げよう」
「海弟なら、大丈夫」
俺は、褒めて延びるタイプじゃなくて、自分勝手に成長するタイプだ。
「闇よ……剣と成れ……」
ここは……白の剣?
「特殊魔法『鏡』 白の剣よ姿を変えよ」
取り合えず、一本の剣に戻しておこうか。
いや、別にあの爆発みたいなので倒せたらいいな~とか考えてないよ?
ホントウダヨ?
「……あれぇ?爆発は?」
一本なのはいいけど爆発は?
「ねむたいから、ねるね」
ふぇーも自由になってきたな~。
「こい、覇王。ここでキサマを倒す!!」
「恥ずかしいからって……ねぇ?」
「海弟を悪く言うな~~、アレは態と言うことで敵の士気を下げたんだ!!」
それは、勘違いだぜ。
俺はそんな男じゃないぜ。
「さぁ、来い!!」
「あぁああ!!」
黒色の剣が俺の頬を掠める。
腕を引いて、剣で弾く。
「光よ」
爆発音が聞こえて、空中へ体が投げ出される。
後ろに着地し、構えて一気に突っ込む。
「甘いわぁあ!!」
回転し、体勢を入れ替え胴を薙ぐように剣戟を放つ。
「あ、あぶっ!!」
身体能力を極限まで上げてかわす。
「あ、忘れるとこだった。 第二『林脱』」
どうだ。
これで痛みはないぜ。
「では、こちらも本気を出させてもらおう。闇よ漆黒の姿を写し現れよ」
え、ちょ、やめてぇ!!
俺は、本気じゃないから。
いや、違う。
まだ、本気出してないと違う!!
あぁ、日本語がわからねぇ……。
「あぁ、もう。……ん?」
ちょっと、冷静になってみろ。
いや、無理矢理にでもだ。
それぞれの属性の特徴は?
水=鎮静
炎=活性化
風=移動
雷=力
地=耐性
闇=侵食
光=消滅
……光=消滅?
「光よ……その力で彷徨いし力を消滅させよ」
彷徨いし力=魔力
「グアッ」
「ちょ、キャッ!」
「うわっ!!」
耐えるので精一杯です……。
☆
フラッシュのような光が消えると、周りの空気が澄んだ物になる。
「よっしゃ、成功!!」
海弟の思惑は成功した。
形がないものまで光は消滅させてしまったのだ。
「この部屋。この空間だけなら俺の得意な遠距離の戦いができるぜ」
「く……」
勿論、ここで育ったベルグに遠距離的な戦いに慣れているわけなかった。
その証拠に、闇でできていた魔物は消えてしまった。
「えぇ……すごいね……」
「こっからが、本番だぜ」
「……投降する……負けだ……」
「あれ!?」
海弟は自分の見せ場を削られたことに目を白黒させている。
「海弟……すごすぎるよ……」
魔力を消したということは、他人の体の一部を消したのと同じだ。
魔力が生物から流れ出ている以上それは変わりない。
「……猛火に任せる」
「そうしてくれると、嬉しいな」
比較的あっさりとした戦いが終わった後、海弟が一人で呟いた名言がある。
『俺……命の尊さに気づいたよ』
魔族がプライドを捨てて挑んだ戦争はここに終結した。
そして、全体を通して一言あるとすればこれだろう。
『二体一はイジメじゃない?』
簡潔な戦いだったにも関わらず、魔界には平和が訪れた。
そして、何故か英雄と語り継がれたのがネリアだった。
それはもう、前線に出て大活躍だったらしい。
勇者の国でも少し騒動があったらしいが、影流がしずめたらしい。
影流は、外交として交流を続けていくらしい。
……俺は?
はい、光のルーンは適当でいいんです。
だって、使いこなせる人がいないから、基本のルーンはないんですから。
取り合えず、特徴もでたしいいとしまようか。
後、影流視点の一つ、海弟視点一つ、閑話一つでこの章も終わりです。
短かったですね~。(内容が濃いけど……)
今日は、遅れてすいませんでした。