超長距離
「ニンゲン? どうしたんだよ一人で?」
僕が海岸線の船に着くと、船の前に立っていたシャチ族のレギーに会った。
「レギー、色々あって今から三時間三〇分に以内にヘビ族の解毒剤を持っていかないと同盟が結べないんだ。三〇分以内に解毒剤を二人分用意して、あと塩と砂糖を溶かした水を大量に用意して」
息を切らせながら頼む僕に、レギーは眉根を寄せる。
「? よくわからねえけど、解った」
それからは僕は船の前の海岸線を《歩き》ながら休憩。体が硬くなったり、体温が下がらないように気を付ける。
やがて、解毒剤を持って来たレギーと、水筒を持ったイルカ族の女子達が何人も船から降りて来た。
「おいニンゲン、解毒剤はこれだけど、甘じょっぱい水なんてどうするんだ?」
「飲むんだよ」
「は?」
僕はイルカ族の女の子達から水筒を受け取ると、受け取ったそばから全部飲み干す。
次から次へと水筒を飲みほして、多分三リットルぐらいの水を飲んだと思う。
「じゃあ僕は少し歩いてからまた走るよ。ありがと」
時間がもったいので、僕は多くを語らずに来た道を引き返して歩きはじめる。
「なんなんだあいつ?」




