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ディノスクス少女ゼノミラス

「貴様らが、ニンゲン率いる哺乳類王国か?」


 ダイロと彼女が乗る輿を担ぐ爬虫類族八人に案内されてジャングルの奥地へ歩くこと一時間。


 僕らはかなり規模の大きい集落に着いた。それからはダイロのとりなしもあって、すんなりとこの集落の族長、ゼノミラスに会う事ができたんだけど……


「恐竜帝国との戦闘、そんな事になっているとは初耳だが」


 周りにこの集落の女の子たちがいる。女子高生か中学生、小学生くらいの子達の中で、ゼノミラスは明らかに成熟した大人の女性だった。


 身長は僕より大きそうだし、体の豊満さもファノビアさんぐらいあって、うん、とにかく立派なおっぱいをしている。


 彼女のフルネームはゼノミラス・ディノスクス。


 ディノスクス。

 太古の地球に存在した、超巨大ワニだ。

 全長は一五メートル。体重は一〇トンを軽く超える。

 早い話が恐竜サイズのワニだ。

 恐竜時代では互いに争っている関係だと言われている。

 エデンでは、恐竜は帝国を作って爬虫類達は狩猟生活をしている。


 爬虫類と恐竜が分けて考えられるなら、なるほど、確かにディノスクスほど爬虫類族の長に相応しい生き物はいないだろう。


 最強の恐竜ティラノサウルスに対して、当時最強の爬虫類がディノスクスだったらしい。


 ゼノミラスさんは広場で、鳥の羽根で飾り付けられた立派な玉座の上から僕らを見下ろしている。


 その視線は氷のように冷たい。でもその瞳の奥に、僕は言いようの無い寂しさも感じた。


 ゼノビアさんは僕と視線を合わせてから、セクシーな唇から冷たい言葉を紡いだ。


「断る。王国は我らを蛮族と呼び見下している。自分達を偉いと思っている。そんな連中を助ける為に命をかける価値はない……まして恐竜帝国など知らんっ」


 最初は冷静だったが、最後のほうは、少し語気が強くなったように感じる。


「ですがゼノミラス殿、ニンゲン様は一〇〇年に一度現れるこのエデンの統一王! その願いをむげにすると言うのですか!」


 ジャガー族のジュリーが毅然とした態度で臨むと、ゼノミラスは鼻を鳴らしてふんぞりかえる。


「では試練を受けよ」

「試練?」

「そうだ。私の無理難題を解けば同盟を結んでやっても良い」


 無理難題って言っちゃうんだ。それって間接的に駄目って言ってるんじゃ……

 でもジュリーは諦めない。


「解りました。して、その無理難題とは?」

「そう急ぐな。質問だが、貴様らは海路で来たのか?」

「はい」

「船はどこにある?」

「このジャングルの西の海に停泊しております」

「医者はいるのか?」

「もちろんです」


 ゼノミラスの目に、享楽の色が映る。


「ここへ来る以上、解毒剤はあるのだろうな?」


 ジュリーはやや不思議そうに答える。


「はい。毒蜘蛛や毒草、ヘビ族用の解毒剤は用意しております」

「そうか、ではそれを見せろ」

「何故ですか?」


 さすがに、ジュリーは警戒する。


「いわゆる命を賭けたゲームだ。解毒剤を手に入れれば勝ち、と言うな。だから貴様らの解毒剤は没収とする」

「それは」

「待ってジュリー」


 僕は彼女を言葉で止めて、一旦下がらせる。

 でもそんな僕に、オオカミ族のローアと、ヒョウ族のパンリーが声をかける。


「ニンゲン様。隠して解毒剤を探せと言う試練なら私の鼻で見つけられます」


 ローアに続いて、木登りや跳躍が得意なパンリーが言う。


「素早い相手から解毒剤を取り返すという試練でも、私なら大丈夫です」


 そこへ最後に、チーター族のリーベルが混ざって来る。


「速さなら、私に敵う者はいないさ」


 三人の言葉に自信を貰って、僕は頷いた。


「解ったよゼノミラス。その試練を受ける」


 ディノスクスの女性が、ニヤリと笑う。


「よし、おい! あれをやるぞ!」


 ゼノミラスさんの指示で、数人の爬虫類の女の子が僕らのもとに来た。

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