ネイアちゃんと愛し合ってくれる?
僕は、今までのネイアの言葉を思い出す。
自分は子供なんていらないっていうネイア。
自分みたいな子を増やしたくない。そう思っているのかな?
「こんな事を言うのは卑怯だと思うけど、もしもネイアちゃんの事を好きになってくれたら、ネイアちゃんを側に置いてあげて欲しいの。あの子には、生涯を共にしてくれる人が必要だと思うから」
「えっと、それはつまり、僕にネイアちゃんと子供を作るだけじゃなくて、正式に結婚して夫になれって事ですか?」
「そうよ。たださっきも言ったけど、あくまでもニンゲンさんがネイアちゃんを好きになってくれたらなの話よ」
僕は少し、いや、深く考えてから、首を振った。
「それは保障できません。ネイア自身の気持ちもあるし、それに僕はネイアにはティアと仲直りして欲しいんです」
「ティアと?」
「はい。妹のティアと喧嘩したまま、僕が代わりになるんじゃなくて、ネイアにはティアと仲直りして、レオナを含めた姉妹三人で仲良くして欲しいんです。それこそ、僕がいなくてもいいくらい」
「僕がいなくても? それはどういう意味かしら?」
「いや、深い意味はないんですけど……」
取り繕おうとする僕に、シロユキさんの視線が刺さる。
「貴方、いざとなったら自分の身を差し出すつもりね」
「……はい」
一拍置いてから、僕は頷いた。
「あくまで可能性なんですけど、まだこの世界の事はよく解りませんが、それでもこれが戦争であるなら、他国との交渉の場は何度もあるはずです。そして僕という存在に価値があるなら、もしもの時はエデン唯一のニンゲンである僕が人質として他国へ行く場面があるかもしれません」
実のところを言うと、僕はもしも恐竜帝国が僕の身と引き換えに王国と平和条約を結んでくれるなら、決断する心の準備をしようと思っている。
するとシロユキさんは、慈しむような眼差しで、僕を包み込んだ。
「いい子ね。召喚されたのが貴方のような人で、本当に良かったわ。でもニンゲンさん、これだけは覚えておいてね」
優しい声で、シロユキさんは告げた。
「そんな事を言われたら、貴方を手放したくなくなっちゃうわよ」
シロユキさんの笑顔がステキ過ぎて、僕は何も言えなくなってしまった。




