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クジラ美女シロユキ・シロナガス

 急にしおらしく、まるで母親想いの娘同然の顔で熱弁するレギー。


 対して、シロユキは嬉しそうに笑って立ち上がる。


「ありがとうレギー。その気持ちだけで十分よ。じゃあ、早速出発しましょう。こうしている間にも、また帝国軍が進軍してきているのかもしれないのだから。わたし達には、一秒とて惜しいわ」


 シロユキさんが立ち上がると、その圧倒的な体の全貌が良く分かる。


 船に向かうのだろう。


 シロユキさんが歩くと、それだけで規格外のおっぱいとお尻が、着物越しでも揺れた。


 彼女を先頭にして僕らは足を進め、洋館から出ると、まっすぐ船着き場へと案内される。


 そこには、見上げるような巨大船舶が待っていた。


 てっきり木目の古めかしい船かと思ったけど、それは黒船だった。


 船体の下半分は黒塗りで、上半分は白くて、青い文字で『戦艦シロナガス号 大和型』と書いている。


「満足なおもてなしもできず、追い出すようでごめんなさいね」

「いやいや、僕らも急ぎますから、むしろありがたいです」


 僕がそう答えると、シロユキさんは急に、右手を僕の頭に置いた。


「ありがとう」


 突然のことでよくわからないけど、シロユキさんの『ありがとう』には、色々な意味が含まれている気がする。


「それとネイアちゃん」


 シロユキさんはネイアに向き直ると、不意に歩み寄る。


「な、なんです、か?」


 警戒するネイアの両肩をを持って、シロユキさんはぎゅっと抱きよせる。というより、豊満過ぎるおっぱいにネイアの顔を埋めた。


 そのまま抵抗せず、むしろ両手をだらんとさせるネイアの頭を優しくなでて、シロユキさんは語りかける。


「ネイアちゃん、ちゃんとニンゲンさんと仲良くしないと駄目よ。貴方も、将来はニンゲンさんと可愛い赤ちゃんを産むんだから」


 ネイアが急におっぱいから顔を抜いて、シロユキさんを見上げた。


「そんな、あたしは別に赤ちゃんなんて、それにあんな奴に抱かれるなんて」

「そんな事言うと、ニンゲンさんにあの事言っちゃうわよ」


 途端にネイアは取り乱して、泣きそうな顔になる。


「シシ、シロユキさん! それは!」

「ビッグママ! 荷物の搬入、終わりました!」


 僕らの乗る船の方から一人のクジラ族の女性が走ってきて、ネイアの言葉を遮るようにして高らかに叫んだ。


「ありがとう。じゃあみんな、急ぎましょう」


 シロユキさんが船に向かうと、ネイアは一度僕の方を見てから、シロユキさんにぴったりとついて行った。

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