ヒョウ少女パンリー
戦闘になった場合、戦うのはおそらくワニ、ヘビ、オオトカゲだろうけど、この猛獣オールスターなら、戦力的には五分だろう。
何よりも……
「ネイア」
僕は王都を出てから、一言も喋らない彼女に優しく声をかける。
「ついてきてくれてありがとう。頼りにしているよ」
百獣の二大キング、ライオンとトラ両方の血を受け継ぐ、史上最強の猫科動物、ライガー族のネイア。
元になっている動物であるライガーはトラの体とライオンの頭を持ち、そのサイズは熊並という反則染みたスペックを持つ。
日本にいた頃、ライガーは飼育下でしか存在しないために戦う映像がないが、戦闘力は間違いなくライオンやトラを凌駕すると言われていた。
もし今回の度で戦闘になれば、ネイアは大きな戦力になってくれると思う。
けどネイアはそっけない感じで、僕と視線を合わせない。
「あんたに礼を言われる筋合いはないわよ。あたしはレオナ……王国の姫殿下様の命令で来ただけなんだから」
「それでもだよ。僕はこの同盟が成功して、エデンの平和に近づけたら嬉しいからね。僕の為じゃなくても、エデンの平和の為に頑張る子は大好きだよ」
途端に、レオナは顔を赤くする。
「好きって、あんた急に何口走っているのよ!」
「ごご、ごめん。今のはそういう意味じゃ……」
「どうだかっ、あんたおっぱい大好きだもんね! またあたしのおっぱい狙ってるんじゃないの!?」
「あれは事故だよ!」
「事故で二度も揉むわけないでしょ!」
「それは……?」
僕は気付く。視界の端で、ヒョウ族のパンリーが自分の平らな胸に手を当てて青ざめている事に。
するとジャガー族のジュリーが、力強く握り拳を作った。
「どうしたパンリー、顔が青いぞ? 隊長が悪いなら先に言え、私が医務室まで連れて行こう」
ジュリーが胸を張ると、発育の良い胸が揺れた。
パンリーの目にうっすらと涙が浮かんで、チーター族のリーベルが優しく肩に手を置いた。
「大丈夫だよパンリー。ニンゲン様は胸の大きさなんて気にしないさ」
「なな、なんの話だ!?」
パンリーは取りつくろうようにして叫ぶ。
ジャガー、ヒョウ、チーターの三人娘は、いつもこんな感じなのかもしれない。なんだか、すっごく慣れたように見える。
「おいお前ら、さっさと行くぞ」
シャチ族のレギーが手を振って僕らを呼んだ。
「ほらあんたの好きなおっぱいが呼んでるわよ」
「変な事言わないでよ!」
そりゃ、確かにレギーはおっぱい大きいけどさ……
エデンの人化した動物達は、元になった動物の大きさや体重が、身長が体の豊満さに影響している。
シャチ族のレギーは女の子にしては背も高いし、スタイルも良かった。
でも女の子をおっぱいで判断するなんていけないことだよね。
自問すると、僕の左右から二組の爆乳が視界に入って来る。
「何をしているニンゲン」
「まさか臆したのではないだろうな?」
カバ族のポーリーと、サイ族のノックだった。
力こそ全てという考えの二人は、まだ僕に心を許してないらしい。
「そ、そんな事ないよ。さ、行こ」
二人の爆乳から顔を背けつつ、僕はレギーの後を追った。




