この世界の牛乳って
エデンって、鳥が家畜なんだよね? でも、牛とか山羊みたいに、母乳をたくさん出す鳥っていたっけ?
それに今、クリーヌは『牛』乳と言った。
「ねぇクリーヌ、これってなんのお乳? モア?」
「何を言っているんですかニンゲン様? 鳥はお乳なんて出しませんよ」
くすりと可愛らしくて笑うクリーヌ。
僕はとある結論に行きついて、心臓が加速度的に鐘を鳴らした。
「えと、じゃ、じゃあこれって」
「地球と同じだし、さっきから言っているでしょ?」
クリーヌは両腕で、スイカ大のおっぱいをむぎゅっと挟みこんで強調。
「牛乳って」
「ふぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおふぁああああああああああああああああああああああああ!」
鼻の奥に血の匂いが充満。僕は奇声を発した。
「ででででで、でもおっぱいは子供を産まないと出無いんじゃ!?」
「エデンのホルスタインは生理が来て二次性徴が始まるとみんな出るようになるんだよ」
エマがクリーヌのおっぱいに手を添えて、自慢げに語る。
「クリーヌのおっぱいは全国牛乳品評会四大大会を制覇し、美乳オリンピックで金メダルを取り、牛乳テイスターマスター全員の太鼓判を貰い、極乳番付で伝統入りを果たし、バーバリー王家と五大貴族全ての承認を得て、プラチナ・ロイヤル・ワラント・ミルクの称号を受け、一〇万人の雌ホルスタイン族の頂点に立つウシなのです! さらに!」
「まだあるの?」
「それだけでは飽き足らずヒップ! ウエスト! アンダー! バスト! 腰幅! 足の長さ! 目の輝き! 他、合計二〇基準で選ばれる全国美牛品評会で優勝! エデン史上初の永世エデングランドマスターホルスタインの栄誉を賜った、まさしく味と美を極めし者! 王族の飲む牛乳は全て彼女が賄っているのですよ!」
「もうついていけないよ!」
僕はエマに激しくツッコんだ。
「ていうかそれって他の種族にもあるの?」
「いえ、ウシ族は総合評価でもっとも美しくセクシーな種族と言われていますので。最も高貴と言われるライオン族と並んで、最も豊漁力溢れるウシ族はこの世界では美の象徴なのです」
言われてみれば、レオナの美しさは宝石や貴金属を思わせるような、キラキラとした美しさだった。
対してクリーヌはやわらかそうで、温かそうで、凄く親しみのある、包まれたくなるような美しさを持っている。
クリーヌの凄さをさらに語り続けるエマを無視して首を回す。
クリーヌと目が合って、心臓が大きく高鳴った。
美牛品評会の審査基準に目の輝きがあったけど、クリーヌの目は瞳が大きくて、キレイに輝いていて、吸いこまれそうな魅力があった。
「あ、おかわり飲むぅ?」
クリーヌは僕の手からコップを取ると……その場でチューブトップのブラをはずした。
「!?」
続けてエマが、
「その美しさをご堪能下さい!」
クリーヌのパンツを脱がせた。
「あああああああああああああああああああああ‼‼」
僕の悲鳴を顧みず、クリーヌは四つん這いになってお尻を上げて、いわゆる雌豹のポーズで僕を見上げた。お尻とおっぱいの両方を強調したセクシーポーズだった。
目の前の光景に、僕は壊れた水道みたいに鼻血を流して、視界が消えた。
「おや、クリーヌ、今日はショーツの中にTバックをはいていないのですね。ニンゲン様に貴女のヒップを見て頂こうと思ったのですが」
「もぉエマってばぁ~。ふふ、ニンゲンちゃんに全部見られちゃった♪ チュ」
意識が途切れる直前、僕の頬に、やわらかい感触が触れる。
「ニンゲンちゃん、きっとわたし達の子供は、もっとおいしいおっぱいが出せるよ。だから、早くわたしをママにしてね♪」




