ハーレム王確定
「でも故郷を離れたら郷愁の思いに狩られたり」
「いや……うーん……毎日寂しく暮らしていたしなぁ」
「それならニンゲン様❤」
うしろから、僕の専属メイドの一人であるフレミッシュウサギのニーナが後頭部に抱きついて来た。頭がおおきなおっぱいに包まれてきもちい。
「ここはいいところですよぉ。神様の恵みと加護に満たされていて、きれいな水もおいしいご飯も豊富ですし、スポーツや劇場、ボードゲームなど意外に娯楽もそろっているんですよ。そ、れ、に」
ニーナが、僕の耳元で囁く。
「毎日若くて可愛いケモっ娘達とエッチな事し放題ですよ❤」
「ケモっ娘って、そんな知識どこで知ったのさ!?」
ニーナはぺろりと舌を出す。
「召喚されたニンゲン様から可能な限り地球の事を聞いて本にするのは国策の一つですから。こっちには地球の情報が豊富ですよ」
「そう、なんだ……」
やっぱり色々な時代から召喚されているらしい。
でも、確かにただ論理的に考えるとここはいいところなのかもしれない。
情報だけ上げれば、僕はこんな立派なお城でみんなの統一王として崇められながら、専属メイドまでついて毎日御馳走を食べて、至れり尽くせり。周りには美人で可愛くてスタイル抜群の獣っ娘だらけで、しかもその子達とエッチな事をしながら暮らすのが使命。
どこぞの独裁者でもここまで充実した生活はしていないだろう。
「でも地球に帰りたいわけじゃないけど、そういうのは駄目な気がする。なんていうか、そんなの怠惰だよ、堕落だよ」
ただ毎日みんなからチヤホヤされて食べて寝てエッチしてって、それはそれで、逆に空っぽな生活だと思う。
「いい子ちゃんぶるつもりはないけど、人間は苦労をするから何かを成した時に達成感があるし、苦しい時期があるから幸せの価値が解るんだと思う」
それが僕の真剣な気持ちだった。
僕の本音に、みんな言葉を探して、周囲の人と顔を見合わせたりする。
「なら早く帝国を打倒する方法を考えなさいよ」
口火を切ったのはネイアだった。
敵意を含んだ眼差しで、ネイアはちゃんと僕を視界に捉える。
「今までニンゲンの時と違って、今のエデンは平和な楽園なんかじゃない。王国と帝国の全面戦争中。ニンゲンが伝説にあるように、全動物の統一王なら、早くエデンを平和にして欲しいわ。それとも、勝ってる帝国側につく? あっちはあっちで大事にしてくれるはずよ」
「ネイア」
レオナは眉尻を下げて、ネイアにお願いするようにして声をかける。だがネイアはそっけなく顔を背けた。
「エマの言う通り、あんたが息子を作ってくれないと、エデンの動物は絶滅するわ。だから苦労をしたいなら帝国と戦ってエデンを平和にして、その対価として贅沢に暮らせばいいんじゃない? もっとも、あたしは子供なんていらないけど。ライガーが増えて喜ぶ人なんていないでしょうし」
ネイアの言葉に、ティアは無反応、レオナは泣きそうな顔で、僕に視線を送って来る。
「と、とにかくみんな。子供を作る作らないは置いといて、今はあの帝国軍の恐竜達をなんとかしないと!」
僕は話題を変えようとまくしたてる。
「僕の事は大丈夫。これからのこのエデンが僕の新しい故郷だよ。それでまずはこの国の事を知りたいんだけど」
「それでしたら城下町を案内致しましょう。姫殿下、構わないでしょうか?」
エマの申し出に、レオナはこころよく頷いた。
「はい、お願いしますねエマ。他にもお供が欲しいですね。エマと専属メイドの四人とあとは……あ、じゃあネイア、お願いね」
「あたし!?」
ネイアが、フォークを止めて、レオナに渋い顔をする。




