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サイ少女ノック

「何あんたら。ニンゲン様にケチ付ける気?」


 そう言うのは、さっきの白虎少女、ティアだった。


「ケチをつけるわけではない。ニンゲン、私はサイ隊隊長ノックだ。私が忠誠を誓うのはあくまでバーバリー王家。我が祖父は先代のニンゲンだ」


「私はカバ隊隊長ポーリー。私は貴方の事を知らない。だから嫌いではないが、同時に王として認める理由も無い。私としては、伝説意外に皆を納得させられる何かを示して欲しい」


「~~ッッ」


 サイとカバ。普通に擬人化したイメージとしては、普通の人は色々と想像すると思うけど、でもこの二人は全然違う。


「「? 我々の顔に何か?」」

「い、いえ、何も」


 一言で言うと、二人ともすごい美少女だ。


 二人とも高校生か大学生ぐらいに見えるけど、ゲームや漫画の女騎士然とした勇ましい感じの美人で、二人とも肩を越える長い髪が綺麗だった。


 おまけに……


「カバ族と同意見なのは業腹だが、サイ族を代表して私は異議を唱えさせてもらう」

「ッ、私もサイ族などに賛同されても迷惑なのだが、異議を唱えさせてもらう」


 ノックとポーリーが、乙女としてはあるまじき顔で互いを睨みつけ合う。


「戦場は我らサイ族に任せて、カバ族は水運業でもやってろ」

「我らカバ族は水陸両用。サイ族こそ本業は運送業であろう?」

「アァん?」

「ハァん?」

「わわ」


 二人とも仲が悪いのか、互いに額を押しつけ合って、ゼロ距離で睨み合う。そうすると、二人の大ぶりなメロンみたいに大きな胸が激突して、大きく揺れて、その後も押しつぶし合って、色々と凄い迫力だった。


 こんなこと考えちゃいけないと思うんだけど、ふとももとかおっぱいとお尻とか、二人とも物凄いボリュームのグラマー女子だった。


 そこへ、レオナが助け船を出してくれる。


「ではネイア、貴女はどうすればニンゲン様を認めてくれるのですか?」

「そんなの決まっているわ」


 ネイアは両手の爪を伸ばして、僕に歩み寄る。


「弱い王なんていらない。ニンゲンの力を見せてちょうだい」

ネイアの爪と、唇からのぞく牙に、僕の背中から汗が噴き出した。

「これってもしかして、決闘しろってこと?」


 ノックとポーリーが、自分の胸の下で腕を組んだ。


「それなら納得しよう」

「肉食動物を屈服させる力があれば、異論は無い」


 ええええええ! 何それ完全に発想が修羅の国の人だよ!


 駄目だ。この子達、脳筋ていうか脳味噌が野生で出来ている!


 そして何故かみんな僕から離れているし!


 これってこの国がじゃ普通の事なの!?


 僕は驚愕しながらも、一番話の通じそうなレオナの姿を探した。


「ニンゲン様ー、神に愛されたそのお力をみんなに見せてあげてくださーい」


 うわ……滅茶苦茶能天気に笑っている。でも言えない。


「ニンゲン様ー、がんばってー」


 レオナの無邪気な笑顔を見て、僕は泣きたくなった。


 僕戦えませんとか言える雰囲気じゃない……完全に救世主を信じて疑わない子供の顔だもの。


 他の、クマ耳やジャガー耳、ヒョウ耳の猛獣系の子らも興味深そうに僕の事見ているし、なんなのこの国。


 いや待って。でもネイアは女の子だし、一応は男の僕の方が、


「じゃあ、行くわよ!」


 言うや否や、レオナは床を蹴って、一瞬で僕との距離をゼロにした。


「へ?」


 本能的にしゃがむと、さっきまで僕の頭があった場所をネイアの手が、爪が通り抜けた。

 そのスピード、重量感は、目の前を車が通り抜けて行く時のソレだ。


「ふんっ!」


 ネイアが僕を見下ろした。


 僕は慌ててうしろに転がって、目を丸くした。


 空ぶったネイアの拳が石畳の床を思い切り殴りつけて、でもネイアは平然としている。


 かわされた事を悔しげに舌打ちするだけだ。


「逃げるんじゃ、ないわよ!」


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