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死んでも生き返る世界

「死んだら生き返る!?」


 僕はみんなでぞろぞろと神殿を目指しながら、素っ頓狂な声を上げた。

 ファノビアさんが肯定する。


「はい。これまでのニンゲン様から地球の事は聞いております。地球のことも多くの文献が残っています。そちらは一度死ぬと生き返らないそうですね。エデンのヒト族は不滅であり、死ぬと生まれた地で生き返ります。このように」


 エマさんとムチポちゃんが神殿の扉を開ける。そこは謁見の間よりもずっと広い部屋で、奥には巨大な光の玉が浮かんでいた。


 その周囲には次々光が集まって、気を失った女の子達へと変わっていく。


「死した者達の肉体は光となって消え、ここで再構成されます。魂は新たな肉体へと宿り、復活を遂げます」


 僕はもう思考をフリーズ、なんてさせずに、ただただ呆れてしまった。


「な、なんていう反則」


 流石はエデンの園。なんていうか、神秘の塊みたいな世界だった。

 続けてファノビアさんが補足をするようにして説明する。


「ですが一度生き返っても目を覚ますのには個人差がありますが、一週間程度かかります」

「神様が世界を作るのにかかった時間と同じか。じゃあ戦争の被害は?」


「住む場所を奪われる事ですね。町を追われた人々は王都にて新たな住居を与えていますが、できれば故郷に帰してあげたく思います。それに死なないと言っても、痛みはあります。国民を苦しめた恐竜帝国をこのまま放っておくわけにはいきません」


 ファノビアさんの言葉に、他の人達も表情を険しくした。


 僕はまだエデンの事はよく解らないけど、一方的に攻め込んできて土地を奪われたら。そう思うと、悔しかったんだろうな、って思う。


 僕は咳払いをして、精一杯勇ましい顔でみんなの気持ちに応える。


「エデンの状況とみんなの気持ちは解ったよ。まだ僕には何ができるかなんて解らない。でも戦争なんて駄目だよ。この世界の平和に役立てるなら、僕は協力させてもらうよ」


 レオナを中心に、みんなの表情が華やいだ。


「では我々の統一王に」

「いや、王様はまだちょっと心の準備が」


 僕は、期待の眼差しを向けるレオナに手を突き出して待ったをする。


「待ちなさいレオナ。あたしは認めないわよ」


 僕らの視線が声の主に集まる。


 今の言葉は、さっきボールを手にした子で、戦場で僕を担いだ、あの金髪の女の子だった。それはつまり、僕がおっぱいを触っちゃった子なわけで……。


 思い出して、僕は顔が熱くなってきた。右手に、彼女のやわらかい感触が鮮明に蘇った。


「えっと、君は?」


「あたしはネイア。あたしだって伝説は知っているし、あたしのおじいちゃんはニンゲンよ。でも、今日いきなり来た人に今日から世界の王様ですって言われても」

「同感だな。従うからには、まずはそれなりに力を示して頂きたい」


 額からサイのツノを生やした女の子が、険しい表情で前に進み出ててきた。


「ニンゲンだからという理由だけで、無条件に従えというのは解せぬ」


 続いて現れたのは、こめかみからカバの牙を生やした女の子だった。


 二人とも、ファノビアさんには一歩譲るけど、背が高くて、は、発育が良すぎる体をしていた。


「何あんたら。ニンゲン様にケチ付ける気?」


 そう言うのは、さっきの白虎少女、ティアだった。

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