表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生遺族の循環論法  作者: はたたがみ
第1章 民間伝承研究部編
7/160

転生遺族と生徒会2

 民間伝承研究部の部室のドアを勢いよく開け放ったのは、眼鏡をかけたなにやら機嫌の悪そうな女子だった。


「あ、(つい)!どうしたの?」

「どうしたのもこうしたもないわ!なんであんたまだこの部屋使ってんのよ!」


「あの、積元先輩?ここって僕たちの部室ですよね?なんかその人、ここから出て行けって言ってるように聞こえるんですけど。ていうかその人誰ですか?」

「ん、あんたたち1年?」

「はい。1年の虚縦軸です」

「同じく、1年の三角ていりです。そちらは?」

「あたしは2年の指村(しむら)(つい)だよ、よろしく。で、そこの(馬鹿)に用があんのよ。てか、あんたたち何でいんのよ?」


 あたしには訳が分からないよと言わんばかりに2人に尋ねる対。


「部員ですよ。それが何か?」

「えっと、僕も部員です」

「……はあああああ⁉︎部員てまさか民間伝承研究部(こいつの)⁉︎待って待って待って意味わかんない。いや、そりゃね、真っ当に民話とか研究してるんだったらわかるよ?でもここってどうせ微の趣味に付き合わされてるだけだろ?何が楽しいのさ!」


 兎に角微と民間伝承研究部をコケにする対。一方で縦軸とていりも返答に困っていた。


(どうしよう……流石に「異世界のこと調べてます!」なんて言えない。)

「三角さん、どうs」

「異世界のこと調べてます」

「おい三角ィーーー!」

「積元先輩のスキル〈天文台〉は異世界の様子を知ることができます。だから異世界のことを知りたい私にとって積元先輩はとても貴重な人材です」


 堂々と言い放つていり。彼女はこういう時に遠慮しないのだ。入学式の日の朝の奇行も、ヤバいやつと思われるのを恐れていなかったためである。


 すると、対がていりに詰め寄り、静かに問う。


「……どっちが始めた?」


 途端に不穏な空気を漂わせる対。実はこの時、ていりは対にとっての地雷を踏んでいたのだ。しかし、そんなことで動揺するていりではない。だからこそ、両者の間に流れる空気が余計に悪くなる。



「……あ、あの、2人とも止めましょうよ!そうだ!指村先輩でしたよね?確かさっき積元先輩にご用があるとのことでしたけど」


流石にヤバいと感じた縦軸が止めに入る。


「……え?ああ、そうだったな、悪かったよ。おい微、ちょっと顔貸せ。(げん)が呼んでるぞ」

「おおー!弦君が!分かった、すぐ行く」


「積元先輩、弦さんというのは?」

入江(いりえ)(げん)、生徒会長だよ。あんたたちも覚えときな」


「積元先輩って生徒会長と知り合いだったんですね。あの、用というのは一体どんな……」

「ん?ああそうか。あんたたちここの部員だったね。じゃああんたたちも来な」


 訳のわからないまま、取り敢えずついていく縦軸とていり。




 対に連れられてやってきた部屋には「生徒会室」と書かれていた。


「おーい弦、連れてきたぞ」

「うん、ありがとね対。微、元気かい?何だか知らない子もいるようだけど」


 縦軸たちの正面には、もはや生徒会長というよりは理事長のような貫禄で椅子にふんぞりかえる男子生徒がいた。彼こそこの学校の生徒会長、入江弦だ。


「やっほー弦君。急に呼び出してどうしたの?」

「どうしたもこうしたも無いですよ、微」


 弦の横に佇む男子が1人。


「あいつは生徒会書記の左位(さくらい)(しるす)だよ」


 名前を知らない縦軸とていりのために対が教える。


「実は微に大事な話があるんだ。まあその前にその2人を紹介してくれないか?」

「ふっふっふ、聞いて驚け、彼らは我が民間伝承研究部の栄えある新入部員なのです!」


 ドヤ顔で縦軸とていりを見せつける微であった。


「初めまして、1年の虚縦軸です」

「三角ていりです。よろしくお願いします」


「おやおや、まさか部員が増えるとはね」

「だろう?あたしも驚いたよ」


 どうやら縦軸たちの入部は相当イレギュラーな出来事だったようだ。


「僕は生徒会長の入江弦だ。よろしくね。なるほど、部員だから彼らも連れてきたって訳だね?」

「どのみち知るだろ。どうせならあんたの口から説明しな」

「そうだね。微、それに縦軸君とていりさんもよく聞いて」



 すると、弦は何やら神妙な面持ちになり、そして彼らに伝えるべき内容を言い放つ。



「民間伝承研究部は廃部にする」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ