正義の敗北
私は正義の味方である。
人を護るためこの世に生を受け、平和を守るため今日も悪を討つ。
陰気な午後に突如響く叫び声。狂人お出ましの合図である。
奴を止められるのは私しかいない。
敵はすぐさま激しい殴打と蹴りを放ってくる。私も必死に反撃をする。しかし、効いていない。あまりダメージが入っていないようだ。
──なんだこいつ、強すぎる。
圧倒的な力の差に絶望した。このままでは負けてしまう。
やられる前に早く手を打たなくては。
すると敵が何やら構えに入った。
まずい、大技が来る。撃たせまいと必死に突撃して妨害を図る。だがもう遅い。
光線が腹を貫いた。
大技を食らった身体がゆっくりと倒れる。
その刹那、護れなかった人の声が脳内にこだました。いつも私に勇気をくれた言葉。
「ありがとう、僕のヒーロー!」
身体が弾け飛んだ。
正義の敗北である。