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お嬢様になりましてよ!

新キャラ登場!


神様は私の様子を見て


「まだ話したいこともある。また近々来る。」


そう言い残していなくなってしまった。




泣き疲れ、目も腫れ、体も重い。


何時なのかはわからないがきっと昼すぎだろう。

外はかなり明るく、日も高くのぼっている。


きっと起こさずにそっとして置いてくれたのだろう。


目覚めた瞬間から昨日の事は夢ではなかったのだと、いつもと違う風景で確信する。




わたしは体を起こして周囲を見渡した。


母はよく「こう見えて生粋の伯爵令嬢だったのよ、ふふ」と言っていた。


伯爵令嬢がどんな物かなんて検討もつかなかったわたしは「はいはい!お嬢様自慢はもういいから!」なんて軽く受け流していた。



しかし今ならわかる。



伯爵令嬢ってすごい…

なんだろうこの部屋は?!

昨日は気が動転していて気が付かなかったけど、これって一人部屋?

お客さんがお泊りするような部屋??



うちだってそんなに小さい家だったわけじゃない。

それこそ古くから神社に仕える由緒正しきお家柄なのだ。



でも、これは………規格外だ。

ざっと20帖はあるであろうこの部屋にはベッドが1つ、洋服が入っているであろうチェストが2つ、木製の可愛らしいテーブルと揃えたデザインになっている椅子が二脚、そしてソファがあるだけ。


ほえ~~っとキョロキョロと周囲を観察していると、ノックの音が聞こえた。



「お嬢様、失礼いたします。入室させて頂いてもよろしいでしょうか」


「は、はいぃ!!」



我ながら情けない声がでた。ううう。



そんな事を突っ込む様子もなく、メイド服を身にまとった綺麗なお姉さんが私に一礼した。



「今日からお嬢様の侍女を務めさせて頂きます。マリンと申します。なんでもお申し付け下さいませ。」



にこっと微笑み挨拶してくれる。



…………


きゃぁぁぁぁぁぁ!ほんものぉー!!

本物のメイドさんキターーーー!!!



わたし、父と母という美しい2人にこれでもかと言うほど愛でられ育ってきたせいなのか、とにかく昔から美しい物・可愛い物が大好きなのだ。


彼女は少し深みのあるブラウンの髪をピシッとまとめ、瞳は黄みがかったビー玉のように透き通るような目をしていた。




やばい。

これはやばい。

テンションふりきれる。

この世界に順応できちゃうような気がする!




「こ、こちらこそ宜しくお願いします!!」



わたしの口が余計な事を言い出す前に挨拶を返す。


にこやかに微笑んだマリンは言葉を続ける。



「ご主人様がお嬢様に伺いたいことがあるとお待ちでいらっしゃいます。

今日は一日お屋敷にいらっしゃるとの事ですので、ゆっくり湯浴みをして頂いた後、昼食をご一緒されたいとの事ですが、いかがなさいますか?」



おお、まだ昼前だったのね?

てっきり12時くらいかと思っていたわ。



「私もお話ししたいと思っていたので、是非お願い致します!」


私は丁寧に湯浴みをし…

(お風呂ね、さすがにお風呂くらい自分1人で入れるんだけど、こういうものらしい。手伝われるのが逆に恥ずかしい……中身だけはしっかり思春期ど真ん中の乙女には苦行だ)

そして何とも可愛らしい幼女趣味がある者には堪らんであろうフリフリの衣装を着せられ、髪も編み込みを施したハーフアップに結ってもらった。



うん、これはけしからんな。



この格好で「おとうさまぁ~~」なんて言った日には誘拐事件発生間違いなしである。



母がたまにとんでもなくフリフリのお洋服をあてがってきたのはこれが原因だろう。


と、いうか。母にはこれが普通だったのね…

世界観の違いって恐ろしい。



侍女のマリンのほかに数人の侍女が着替えを手伝ってくれた。

中には泣いていた人がいた気がするのは気のせいだろうか?

とにかくおかげで私はとびっきりの美少女に変身した。

ピンクでフリッフリの。



そして本気でお腹が空いてきた。

よく考えたら、昨日の昼以降なにも食べていない。


こういう時って、よくお腹が減らないって言うけれど。

さすが母譲りの?母以上の?強メンタル!!!

お腹空きました。



マリンが食堂と思わしき場所に案内してくれる。



ちょっと緊張してきた。

どんな顔をしたらいいのだろう。

結局昨日は泣き出した私にフランツさんが「わたしの娘になってくれ」と言ってくれた。「ソフィの娘なんだから、わたしが父親だっておかしくはないだろう?」って。

フランツさんはとても優しい。それなのに私は泣き崩れてしまい、母について何も話せずじまいだった。




いろいろ考えていたら、あっという間に部屋の前に着いてしまった。



うん、とりあえずお礼を言おう!!


いくら母の娘だからと言っても、見知らぬ子供が急に降ってきて、お世話までしてくれたんだもん!



礼儀ダイジ!!



ここはにこっと笑って、お礼から始めるのが吉よ!!

そう心に決め、にこっと微笑み息を吸い込んだ瞬間。




「ソフィーーー !!!!!!」



ベルナルドさんが叫んだ。


わたしポカーン。状況が読み込めずオロオロ。


そして飛んできたベルナルドさんが私を急に抱きしめる。


私、更にオロオロ。



「あ、あの、あの・・・えっと・・」



ベルナルドさんは力いっぱい私を抱きしめ泣いた。


すると、そばに控えていた「THE 執事」なシルバーグレイの髪を品よく撫で付けた紳士が声をかけてきた。



「今日のお召し物はソフィお嬢様が幼い頃に召されていたお衣装でございます。アリサ様はとてもソフィ様に似ていらっしゃいますので……」


なるほど。母を思い出したのですね。


置いていく方も辛いが、置いていかれた方はもっと辛いのかもしれない。

状況がわからないまま急にいなくなっちゃったんだもんね。

そう思ったら、私も残してきた家族の顔が浮かんだ。


そしてそっと目の前の泣き崩れた老紳士を抱きしめた。




それに気づいた彼は優しげに私を見つめ「ありがとう」と一言いった。




そして改めて席に案内された。

ここにいる人間みんながそれぞれ涙を浮かべていたように見える。

母はとても愛されていたんだなぁと私の心は温かくなった。



席に案内されて気がついたが、ベルナルドさん。フランツさん。

以外にもう一人、歳の近い男の子がその場にいた。



絹のように金に輝くストレートの髪にエメラルドのような緑の瞳、これまた美しく整った顔をした男の子で、綺麗なもの好きなわたしは思わず見とれてしまった。


ちょっと鋭い目をした彼は、年頃になったら間違いなく女の子に囲まれるであろう。



だが、何故か彼の顔色はとても悪い。

具合でも悪いのだろうか?

そんな事を思っていたら、フランツさんの口から彼を紹介された。



「この子は私の息子、エリック・ローズベルト。ソフィはローズベルト家の一人娘で、私が婿に入ったんだ。だが知っての通り、結婚してたった半年で彼女は姿を消してしまった。

そして私は彼女を諦めることができずに今日まで来てしまったのだ。

だから遠縁の子供のエリックを養子に迎える事にした。君は……年齢がはっきりしないが、見た目的には多分君の弟になるんだろうね」


!!?


え、えええええええ!!!

お、弟~~~!!!


ずーーっと弟か妹が欲しいと願い続けていたアリサにとんでもなく嬉しいサプライズが舞い降りてきた!

しかも超美少年!!!




この世界で生きるしかないと覚悟を決めてしまえば、前向きにこの状況を楽しもうとするのはアリサにとって意外と簡単な事だった。


「わ、わたし!アリサと申します!一人っ子でずっとずーっと兄弟が欲しいと思っていたので、すっごくすーっごく嬉しいです!!ぜひ仲良くしてください!!」


勢いに任せて彼の手を握る。




しかしエリックはやはり顔色が悪いまま「こちらこそ、どうぞエリックと呼んでください」と言っただけだった。


うっ、早くも嫌われてしまった!?

ちょっと強引だっただろうか。

それともやはり具合がわるい??



エリックの顔色が気になったが。

すぐフランツさんに母の話を聞かせてほしいと言われた。



私は知りうる限り、母が私のいた世界で体験した事を事細かに話した。


「それは……ソフィはとても大変だっただろうな…」


フランツは時折苦しげな表情をする。




今でも母を愛しているのだと分かる。

そんな彼に父の話をしていいものか迷った。


しかし、母が私に残した言葉はこの人に会うことがあれば伝えてほしいという事だったのではないか?という気がして…

一言一言をしっかり思い出しながら大切に紡いだ。




「母はよく言っていました。何度も何度も元の世界に戻ることを願い夢見たと。それはフランツさんに会いたかったからだと。幼い頃から密かに思いを寄せていた男性とようやく結ばれた矢先の事で、母は絶望の淵にいた。とても辛い日々だったそうです。父と母は結ばれましたが、それは父が10年かけて母の心に寄り添った結果だと思います。

母は父には内緒ねと言いながら、父と結婚した決め手は、残してきてしまった夫の愛し方と父の愛し方がとても似ていて、安心して寄り添える存在だと思ったからだと言っていました。

母も辛い状況の中諦めずあなたを愛し続けていました。

娘の私がこんな話聞いてもいいのかって思っていたんですが、母はこうなる事をどこかで予測していたのかもしれません。」



フランツさんは泣き崩れた。


母を連れてくることも、声を聞かせてあげることもできない。

わたしにできる事は母の思いを伝える事だけだった。


フランツさんにとってこれがいい事なのかどうかもわからない。

でももし、残されたのが私だったら、どんな些細な事でも、自分にとっていい話でなかったとしても、相手の事を大切に思っているならば知りたいだろうと思ったから。



憎まれる覚悟もあった私だったが、やっぱりフランツさんは優しい。



「ありがとう」一言そう言ってわたしを抱きしめた。



幼い頃感じていた父のぬくもりと似ている。


抱きしめ返したフランツさんの肩口から、青い顔をしたエリックが更に顔色を悪くした事に気がついた。



「…エリック??」



エリックははっと顔を上げ、微笑んでみせる。

やはりその笑顔も美しかったが、どうにも様子がおかしい。

でもそれを隠しているようだったので、口にするの憚られた。



ひとしきり昼食を終え、私は正式にフランツさんの娘として今後生活していくことになると説明を受けた。貴族には貴族のマナーやお勉強しなきゃいけないことがたくさんあるらしく、今後はエリックと共にお勉強をするらしい。


ま、また勉強しなおすのかァァ………


そしてフランツさんの事は父様と、ベルナルドさんの事はおじい様と呼ぶように言われた。




そういえば、この世界には魔力というものが存在するらしく。

私もその力を母から受け継いでいるらしい。


この世界に置いて魔力とはどのようなものなのだろう…



「父様?」


そう声をかけるとフランツさんは、とても嬉しそうに私を見る。

おおお、なんかもう既に娘溺愛フラグが立ってしまっている気がする。

そんな所まで父と一緒!!



父を思い出した途端、胸がきゅっと締め付けられた。

父さんに会いたい。


そんな気持ちを隠すようにさっと気持ちを切り替え、現父様に問う。



「この世界に置いて魔力とはどのようなものですか?日常でつかったりする機会もあるのでしょうか?」


「うむ、そうだな。例えばこの部屋の灯り、これも魔力だ。魔力は個人により、もともと所有している大きさも属性も異なる。ソフィは風の属性が強かったから、アリサもその可能性が高いな。

そしてこれはこの灯りのように日常でも仕えるし、場合によっては戦闘で使うこともある。

だから、ある程度の年齢までに使いこなせるよう、14歳になった貴族の子供は学校に通うことになる。通常の学業以外に魔力をコントロールし、使いこなす術を身につける為の授業があるんだ。魔力は代々受け継がれるものだから、基本的には貴族しか持ち合わせていない。希に平民にも魔力持ちの子が現れる事がある。

どうだろう?なんとなくわかったかな?」


「はい、よくわかりました。

ても今まで使ったこともない魔力をコントロールできるようにするのは、なんだかとても大変そうです…」


とても難しい事のように思えて、わたしはガックリ肩をおとす。



「今はエリックに教えてもらうといい。エリックはなかなかの魔力持ちで、この年にして魔力の扱いはかなり秀でている。エリック、頼めるかな?」


「はい、もちろんです。父様」


エリックは丁寧に答えた。


父様はなぜか苦笑し、「よろしく頼む」と付け加えた。



バタバタと展開が進んでいきます!

話が忙しいです。

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