異世界へようこそ!(3)
少しずつキャラ出ししていきます!
「ゆっくり話をしたいので場所を移そう。
何より君は着替えをする必要がある」
そう言われて有紗は首をかしげた。
確かにこの世界の服装とはかなり差があるけれど、わざわざ着替えなくてはいけないほど汚れたのだろうか?
そう思って自分の服をなぞり、私は悲鳴混じりの大声をあげた。
「ええええええええええええええ!!?」
「ど、どうしたのだ?」
その場にいたほぼ全員が急に叫んだ私にひどく驚いた。
唯一表情を変えなかったのは、一番奥に控えていた、やけに整った顔をした従者らしき青年だけ。
「っ!!ち、縮んでる!?うそでしょ!!この体、明らかに子供じゃない!?」
狼狽える私を見て、フランツであろうと思われる人物がまゆを寄せ怪訝な顔をした。
「縮んだ?体が小さくなったということか?確かに君はとても小さく軽かったが?」
「いや!!そうじゃなくて!
私…今どう見ても子供ですよね!?鏡を見せてもらえませんか?!私こうみても今年で16歳なんです!!!」
それを聞いて皆呆然とした。
すぐさま後ろに控えていた青年が手鏡を持ってくる。
その手鏡はとても綺麗な細工が施してあり、いかにも高価な品であることがひと目でわかった。
こ、これいくらするんだろ・・。持つの怖い・・・。
庶民全開の私の手が無意識に強ばる。
おそるおそるそれを持ち上げて、私は鏡に映る人物に問うた。
「……な…なぜ?なぜこうなったの??」
鏡に映る自分の姿は間違いなく幼女で、自分の記憶を巡らせる限り、5歳くらいの私の姿だった。最近メリハリのついてきたあの体は一体どこへいったのだろう。
呆然と鏡を見つめる私に、予想もしていなかった人物が声をかけてきた。
「あははははははは!まさか体まで縮んでいるとは!!
有紗!お前は何をやらかした?」
血色の悪い顔をさらに悪くした私に、嫌味なほど楽しげな声がかけられた。
その声は………
「神様!!!!!」
わたしは見知った顔に安堵すると共にこの状況を楽しんでいる声の主に腹が立った。
目の前に現れたのは、うちの神社でお奉りしている神様だった。
彼は神様という神聖な身分でありながら、昔からの遊び相手であり、恐れながら友人のような気心しれた間柄だ。
ただ、うっすら透ける体はこの世の物との隔たりを感じさせていた。
「ちょっと!神様!!これどういう事!?
なんで私この世界に来ちゃったの!?そんでもってなんでこんな体に?!」
まくし立てるように問いただす。
彼は慌てる私を見て明らかに楽しげな笑を浮かべている。
いや、と、いうか………笑っている。
肩震えてるんですけど!!?
くぅぅぅぅぅぅぅぅ…
そして驚いた事にフランツ…。と思われる人物が口を開いた。
「神?だと??精霊ではないのか?」
私は驚いた。今まで私のいた世界では神様やコマちゃん達を見ることができる人はいなかった。こちらの世界ではみんな見えるのだろうか?
私の心を読んだ神様が私の疑問に答える。
「こちらの世界には魔力というものが存在して、魔力が強い人間だけは我々のような存在を見ることができるのだそうだ。お前には巫女の力があるからと伝えていたが、本当はお前がソフィの魔力を受け継いでいるせいだ。」
え?魔力??母から受け継いだ?
しかし母には神様やコマちゃんは見えていないはず、過去に尋ねた際に見えないと言っていた。そんな湧いてでた疑問に更に神様は答えた。
「あれには我らが見えておったぞ。そもそもお前を我らに会わせたのはあれだ」
幼少期…見た目やこの不思議な力の存在が相まって、私は周りに馴染めずにいた。
そんな時、偶然出会った神様やコマちゃん達に遊んでもらうようになったのだ。
あの日から私は一人ではなくなった。
しかしそれは偶然ではなく、母が私の遊び相手になってもらえるように頼んだとの事だった。正直もういろいろキャパオーバーである。
湧き出る疑問があとを絶たない。
まずは整理したい。
一番大事なことを確認しなくてはいけない…
なぜこの世界に来てしまったのか。
なぜ子供になってしまったのか。
なにより、私はもとの世界に帰れるのか……
その事を考えると、私の表情は暗く沈んだ。
フランツさん早く自己紹介してよ。
って書きながら思う作者です。