異世界へようこそ!(1)
何がなんだか分からなかった。
ただ落ちていくという感覚と暗闇の恐怖にパニック状態に陥っていた。
落ちていく最中何か光る物が目に入り、反射的に掴んだ。
しかしそれに実態はなく、ぼやっとした光が私を包んで一瞬にしてその光も消えた。
そして、どの位落ちたのか・・・。
気がつくと、どこかの床の上に落ちていた。
「ぎゃ!!!
いったーーーーーーい!!!!!」
なによ、こーいう時っておとぎ話とかだと。
目が覚めたら~とか、何故か痛みはなかった~とか
不思議体験した少女に優しい作りになってるんじゃないの!?
全然優しくない!!そしてすごく痛い!!!
まあ、落下した距離からしたら全然大したことないんだろうけど。
それでもこれは痛い!!くぅぅぅ…
涙出てくる~~!!
そんな風に一人でグズグズしていると
後ろからやけに低く、警戒した声がかけられた。
「・・・・何者だ?」
はっとして振り向くとそこには、背の高い体の大きな男の人が立っていた。
見た目は少し影のある感じの美男。
ジャケットの上からでも分かる、がっしりした肩幅のある背の高い美丈夫。なかなかのナイスミドルである。年齢は父と同じくらいだろうか。
向けられた目は鋭く、がっしりとした体格のせいか迫力がすごかった。
そして何より驚いたのが、その男が中世ヨーロッパのような?貴族のような?シンデレラの絵本の挿絵にでもでてきそうな??出で立ちだったからだ。
え??ここどこ??
なんなのいったい!!??
先程の恐怖と目の前の男の威圧感から声も出せずにいると、急に目の前の男が見るからに狼狽えだす、そして私の知っている人の名前を呼んだ。
「・・・ソフィ?ソフィなのか!!?」
それは母の名前である。
肩を掴んで揺さぶられる。
一体なにが起こったのか。
なぜこの人が母の名を知っているのか。
うっすらと気づいてしまった自分がいて、
そんなはずはない!!と否定したい気持ちがわたしの心の中を更に混沌とさせた。
あまりに目の前の男が必死なので、なんとか声を振り絞って答えた。
「それは・・・ソフィは・・・わたしの母の名前です」
かすれた声でなんとか答えた。
これが私の精一杯だったらしく、私の意識はここで事切れた。
ちょっと短め、続きすぐ上げます。