アーサー危機一髪
「アーサー。携帯あるかな?」
「持ってません」
「お金は?」
「持ってないですね」
「じゃあ、お金を借りに行こう」
「何処にですか?」
「まあ、付いてきて?」
東京 夢子の夜
「キャバクラ・・・・・?」
「アーサーは初めてだったのかな?」
「親と姉がこういう場所には徹底的に遠ざけ
ましたから・・・・初めてですね」
「良い事だよ・・・」
「何でですか?」
「子供の頃に女遊びを覚えたら・・・。
大人になった時の楽しみが減ってしまう」
「そうじゃなくても楽しみが少ないのに」
「そうだよ、よく分かったね?
大人になったら・・・酒か女か賭け事とかね」
「聞きたくなかった・・・」
「みんな大人になったら。そうなるさ
特に酒や女は厄介な魔物だ、 気を付けろよ?」
「分かりました・・・・」
「呼んだ?」
「久しぶりだね?」
「要件は?」
「感動の再会とはいかないようだ・・・。
アーサー。彼女はこのキャバクラのオーナーだ」
「初めまして・・・・・」
「青、こんなに可愛い子どこに居たの?」
「色々あってね。そうだアーサー
そんなに緊張しなくて良いよ、こいつ男だから」
「そうなんですか・・・?」
「ウフフ。そんな事ないわよ」
「こいつがオカマになった写真を見た時、
笑い死ぬかと思った程だよ・・・・」
「てめぇ・・・・次、喋ってみろ・・ぶっ殺すぞ」
「アハハ・・・・青さん。よくやりますね」
「まあ、こいつをからかうって楽しむのは
いつもの事だよ・・・・気にしなくていい」
「そうですか・・・・」
「でも、こいつ元は・・・・」
「その話は良いだろ!」
「すまん、言い過ぎた」
「気にしなくていい・・・」
「アーサー君。君が頼むんだ」
「僕がですか?」
「君の方が・・・・いけそうな気がして」
「どういう意味ですか?」
「いや、なんでもないよ」
「・・・・・?」
「じゃあ、先に行ってるよ?」
「待ってください! 青さん!・・・まったく」
「あら? どうしたの?」
「名前、聞いてなかったですよね?」
「確かにそうだわ・・・・はい」
「夢子さん? ・・・で、いいですか?」
「もちろんよ・・・・」
「その・・・何て言うか」
「お金でしょ?」
「はい。でも何で?」
「この店に来る奴等で金を払わない奴等が居てね」
「そういう人はどうするんですか?」
「聞かない方が身の為よ・・・」
「分かりました。そうします」
「はい。お金・・・・」
「えっ・・・」
「あ・・・・封筒ね、待ってて」
「いや、こんなに要らないですよ?」
「いいのよ、私にも良い事あるから」
「良い事?」
「とっても良いことよ?」
「アハハ・・・オーナー。
何処に手を入れてるんですか?」
「あら? 立派なの持ってるじゃない」
その日、僕は何かを失った気がした・・・
「アーサー君・・・・。頑張ったね」
「・・・・・・・」
「・・・・・頑張ったね」
「・・・・青さん? どんな顔してます?」
「スッキリした顔をしてるね・・・」
「・・・・・・」
「頑張った、君は頑張ったよ」
「・・・・・・はい」




