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補助魔法使い、魔族について知る

「白狼族とそんな事があったのねね……」

「何か知ってる?」

「うん。知ってる」


 僕たちの話を聞いたイリアルさんは呆れたようにため息を零しました。


「その様子ですと、影狼族との関りが深そうですね」

「うん……正確には深かった、が正しいけどね」


 カリュアが「影狼族のせいで白狼族が……」とその先は聞けませんでしたが、因縁のあるような言い方をしていましたので、イリアルさんなら何か知っているのかもしれないと思い尋ねてみましたが、正解だったみたいですね。

 だけど、不思議ですよね。

 影狼族という一族は割とルード帝国やアルティカ共和国でも有名で割と知っている人も多い種族です。

 ですが、白狼族というのは聞いた事もありませんでした。

 まぁ、僕はシアさんと出会うまで影狼族の事も知らなかったので、僕が無知なだけかもしれませんけどね。


「それも仕方ないかな。白狼族は魔族だからね」

「でも、影狼族も一応は魔族ですよね?」


 これを知った時は凄くびっくりしました。

 しかも、それを知ったのが敵だと思っていたイリアルさんからだったので余計にびっくりしたので、強く印象に残っています。

 あの時のイリアルさんは色々と空回りして面白かったですしね。


「んんっ! そ、そうね。だけど、魔族といっても一括りではないよね? 魔物にも色々といるようにね」

「おかーさん、思い出して照れてる?」

「照れてないもん……続けるよ?」

 

 イリアルさんもあの時の事を思い出したのか、少しだけ照れたような顔をしましたが、その話はさせないといった感じで、続きを話し始めました。


「それで、白狼族が何故こっちでは知られていないかというと、私達影狼族と違って、魔素がないと生活が厳しいからなの」

「普通の魔族と一緒なのですね」

 

 先ほどイリアルさんが魔族でも一括りには出来ないと言いましたが、魔族にも色んな種族というか、分類がある事を最近知りました。

 ですが、その分類というのも色々あるようで、まずはそれをイリアルさんが簡単に説明してくれました。


「一番わかりやすい所いうと、私達みたいな魔族ね」


 まず教えてくれたのは、シアさん達影狼族のように魔素がなくても生活できる魔族。

 これは一般的には魔力を持っただけの動物が進化したと考えられていて、魔族領の中でも、ルード帝国やアルティカ共和国に近い場所に多く暮らしているようです。


「後は、この辺りも説明はまだ簡単ね」


 次に紹介してくれたのが、魔素がないと安定した生活ができない魔族。

 身近な例をあげるとするならば、フタハちゃん達妖狐族やオメガさんやラインハルトさんの種族であるサキュバス、後は今回の話題でもある白狼族なんかがそうで、魔族領で暮らす魔族の中ではこのタイプが一番多いようですね。


「それで、ここからが説明しづらいというか、定義が難しいんだけど……魔物と魔族の違いって何だと思う?」


 また難しい質問が飛んできましたね。

 

「んー……意思疎通が出来るか、ですかね?」

「でも、それだと私とユアンが出会った時のオークは魔族という事になる」

「そう言われるとそうですね」


 シアさんと契約を結んだ森で、僕たちはオーク将軍ジェネラルを倒しました。

 

「という事は、正解は別にあるという事になりますね」

「それが、そうでもないんだよね。というか、正解がない……ううん、正解がわからないのが正解かな」

「意味がわからない」

「僕もです」

「つまりは、誰もどこまでが魔族で、何処からが魔物なのか判断がつかないって事かな」

「えっ、でも……魔物は魔物ですよね? 流石にそれは一目みればー……」


 わかります。

 そう続けようとしましたが、イリアルさんに遮られました。


「それじゃ、ラディくんは魔物? それとも魔族?」

「あっ……それは、どうでしょうか……」」


 その一言で僕は正解がないという事に理解しました。

 魔石の有無であれば、間違いなくラディくんは魔物ですが、人化したラディくんはどこからどう見ても、獣人、または魔族にしか見えません。

 探知魔法で探れる僕だから直ぐに魔物と判断できますが、見た目だけで判断するのは不可能に近いですよね。


「つまりはそこの線引きによって変わってくるという事ですね」

「うん。だから、私もどう説明していいのかわからないのが本音かな。実際に、魔族領の最北部には魔物達の国があると聞くしね」


 難しい問題ですね。

 魔物にもいい魔物が居ますし、悪い魔物も居ます。

 ですが、それを説明した所で受け入れられるかは別です。

 当然ですよね。

 いきなりオークがやってきて、僕はいい魔物で人を襲う事はないから仲良くしようと言われても直ぐに信用できるかは別ですからね。


「でも、そうなったら出来れば仲良くしたいですよね」

「沢山食べちゃったけど」

「そ、それは言っちゃダメです!」


 なんか、シアさんさんの一言で凄く罪悪感が込み上げてきました。

 出来れば、いいオークさんには出会いたくない所ですね。

 それにしても……考えれば考えるほど、わからなくなる問題ですね。


「ユアンちゃん達が進む道に、いずれかは立ちはだかる問題だね」

「そうなりますね」

「まぁ、それも先の話。向かい合う日が来るだろうけど、今は白狼族の事だったね」

「あっ! そうでした!」

「おかーさん、早く」

「うんうん。それじゃ、まずは私達との関係から説明するね。白狼族はね……」


 魔族の事を少し理解できたのはいいですが、それと同時に僕たちの目指す先に立ちはだかる問題も浮き彫りとなりました。

 しかし、まずは目先の問題を解決するのが先決。

 僕とシアさんはイリアルさんの話に耳を傾けるのでした。

皆さんは魔物の定義をどう考えますか?


人を襲うオーク、人と共存するオーク。

それとどう付き合い向き合っていくのか。

難しいですね。


いつもお読み頂きありがとうございます。

今後ともよろしくお願いいたします。

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