補助魔法使い、白狼族について調べる
「それでは、行ってきますね」
「りょーかい、こっちは上手くやっとくよー……うぷっ」
「…………助かる」
「何もないと思うけど、一応気をつけてくださいね」
「大丈夫。どっちかというと、スノーの方が心配」
「ほんとうになー」
シアさんとの甘い夜を過ごした次の日、白狼族の女性……カリュアとのいざこざがあった事をみんなに伝える為にスノーさん達の部屋に向かうと、案の定スノーさんは二日酔いで完全にダウンしていました。
「大丈夫だと思うの。いつもの事だから……」
「そうですね。むしろ、人払いする口実になりますし、スノーさんにはそのままで居てもらいましょう」
「いや、そこは治してって欲しいな……一応、そのつもりで飲んでるからさ……」
「自業自得」
「そう言わないでよー……ねー、ゆあん~」
「仕方ありませんね……」
甘いかもしれませんが、仲間が苦しんでいるのを放置するのは気が引けますからね。
それに、普段のスノーさんは領主の仕事も頑張りつつ、僕たちと旅に出てほとんど自由な時間がない事も知っています。
なので、こうやって思う存分お酒を飲める機会も中々ありませんので、スノーさんが羽目を外してしまう気持ちもわかります。
「ふぅ、ありがとう。助かったよ」
「ごめんね、ユアンさん」
水をごくごくと飲み干し息をついた表情を見る限り、完全にお酒は抜けたようですね。
これなら僕も安心して出かける事が出来ます。
「大丈夫ですよ。それで、サンドラちゃんは本当にいいのですか?」
「私はこっちに残るぞー。フタハとソウハの相手もしないといけないからなー」
「助かります。ただ、何かあった時は連絡くださいね?」
「わかったぞー! ユアン達も戻るときは先に連絡するんだぞー!」
「わかってますよ。戻った所を見られたら困りますからね」
「ユアン、そろそろ」
「大丈夫ですよ。慌てなくても」
「わかってる。でも、早い方がいい」
尻尾の揺れ方からシアさんがソワソワしているのがわかります。
これが、これから一緒にお出かけするデート……とかなら僕も嬉しいのですが、今回は別なのですよね。
「それじゃ、行ってきますね」
「頼んだ」
こうしてみんなに見送られて僕たちは今日の目的地に向かいました。
そして、向かった先はここ。
「おかーさん、来た。居る?」
ドンドンとドアを叩き、返事が返って来る前にずかずかとお家の中へとシアさんが入っていきます。
「居るけど……もう少しお淑やかにできないのかしら?」
「無理。そういう所はおかーさんに似た」
「私でももう少しちゃんとしてるもん。ユアンちゃんもそう思うよね?」
「そ、そうですかね?」
どっちもどっちと言いたい所ですが、僕もお淑やかかと問われるとそうではないので、イリアルさんの質問には曖昧に答える事しか出来ませんでした。
っと、そうなのです。
今回、僕たちがやってきたのはイリアルさんのお家です。
「そもそも、冒険者にお淑やかさを求めるのが間違い。それより、聞きたい事があるからいい?」
「それもそうね。でも、ユアンちゃんのいい相方になりたいのなら、ちゃんとしなきゃダメよ」
「わかってる。それより……」
「そこにかけて待ってて。お茶くらいは必要でしょ? 急いだり焦った所で何も変わらないのだから」
「うん」
流石はお母さんですね。
シアさんに落ち着きがない事に直ぐに気づいてくれましたね。
「僕も手伝います!」
「いいのよ。ユアンちゃんはシアちゃんの事をお願い」
「でも、急に押しかけて大変ですよね? そんなお腹なのに……」
定期的にイリアルさんとは会っていましたが、ここ最近またお腹が大きくなったように思えます。
あれでは動くのも大変ですよね。
「大丈夫よ。これでも四回目だし、激しい運動は出来ないけどちょっとくらいは身体を動かした方がいいの」
「そうなのですね」
子育ても身ごもりも当然した事はないのでわかりませんが、経験豊富なイリアルさんがそう言うのであれば僕が手を出してしまうのは逆に邪魔になってしまいますね。
「ユアンちゃんもそのうち分かる日がくるわよ」
「そうですかね? でも、子供を身ごもるのは残念ながら出来そうにありませんね」
影狼族の特徴は前に聞きましたが、同性同士でも子供を作る事が出来るのはあくまで同族同士と聞きました。
なので、僕とシアさんの間に子を宿す事は種族が違うので無理なのですよね。
「そう思ってたのだけど、それが最近は違う可能性も出てきたみたいなのよね」
「え、本当ですか?」
「そうなのよ……まぁ、その辺りの事もゆっくり話しましょうか。ユアンちゃん達が知りたい話しにも繋がる事だからね」
一話一話が短くなりますが、更新頻度はあがりそうです。
他にもやる事、やりたい事がありますがこちらも頑張ります。
いつもお読み頂きありがとうございます。
今後ともよろしくお願いいたします




