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補助魔法使い、召喚獣の秘密にせまる

 それにしても……。


 「どうしてラディくん達はあそこまで成長したのでしょうか?」


 フタハちゃんから僕たちが契約した魔物達が少し異常な事をされ、改めてラディくん達の事を考えてみる事にしました。


 「契約魔法の影響とかかな?」

 「なのですかね?」

 「それだけではないと思います。先ほどキアラさんとリンシア姉様が展開した魔法陣を拝見させていただきましたが、これといって気になるところはありませんでしたよ」

 「そうなのですね」

 「となると、やっぱり別の要因なのかな?」

 「それ以外に考えられませんね」


 魔法陣による影響ならわかりやすかったですが、どうやら違うみたいですね。

 ですが、考えても考えてもラディくん達が成長する要因が思い浮かびません。

 となるとやっぱり……。


 「ラディ、作業中悪いけどちょっと来てもらえる?」

 「何かな?」


 濡れない木の上で魔鼠達に指示を出していたラディくんが魔鳥さんに運ばれキアラちゃんの肩へと降りました。

 


 「ラディってさ、実は上位個体だったりする?」


 キアラちゃんも同じ結論に至ったみたいですね。

 僕たちに要因がないのであれば、やはりラディくんに秘密があると考えたみたいです。

 そして、考えるよりも直接聞いた方が早いので、ラディくんに直接聞くことにしたみたいです。


 「どうなんだろう。上位個体ではないと思う……ただ。普通の魔鼠とは間違いなく違うよ」

 

 やっぱり違うみたいですね。

 でも上位個体ではないとすると、どう違うのでしょうか?


 「普通ではないとなると……変異種、なのかな?」

 「変異種……あのゴブリンみたいな奴ですか」


 変異種と聞くと真っ先に思い浮かんだのはトレンティアで出くわしたあの個体です。

 特徴としては通常のゴブリンの肌は緑なのに対し、変異種は肌が灰色で、爪に毒があるのです。

 そして、一番の特徴といえば……。


 「特に変な角とかはありませんよね?」

 「なさそうかな?」

 「そうですよね。あったらあったでかなりマズいですからね」


 変異種の特徴として、特殊な角が刺さっていたのですが、あれは元々ゴブリンにあった角ではなくて、誰かに後から埋め込まれた角でした。

 なので、もしその角があったとしたらラディくんはずっとその角の支配下にあったという事になります。

 

 「大丈夫そうだね」


 キアラちゃんが念の為にラディくんを持ち上げて身体の隅々まで確認しましたが、角はありませんでした。


 「あの、主。そろそろ降ろして貰えるかな? 流石に恥ずかしいよ」

 「あ、ごめんね」

 「……別にいいけど……よっと」


 キアラちゃんがラディくんを降ろすと同時、ラディくんは人化をしました。


 「本当に人の姿になれるのですね……目の前で起きた事なのに信じられません」

 「そうかな? 僕からするとユアンさんが獣化するのと同じ感覚だと思うよ」

 「そう言われると普通なのですかね?」


 といっても、僕は獣化石の補助がなければ獣化出来ませんし、未だに完璧に成功した事はありませんけどね。

 それをいとも簡単にやってのけるという事はやはりラディくんは特殊なのですかね?


 「そんな事ないですよ。人化できるのは僕だけではありませんから」

 「そういえばキティさんやリオンちゃんも人化できますね」

 「はい。その他にも人化できる子達も増えてますので、ナナシキでは珍しくない光景になっていますよ」


 ふむふむ……それは初耳でしたね。

 まさか知らない間に人化できる子達がそんなに増えているとは思いませんでした。

 

 「なので、僕が特別な訳ではないですよ」

 「そうなのですね。となると、これは偶然「ご主人様ー!」」

 

 偶然なのかなと結論をつけようと思った時でした。

 一仕事を終えたリオンちゃんが水しぶきをあげながら駆け寄ってきて、僕に飛びついてきました。


 「わっ! もぉ、危ないからあまりはしゃいじゃ駄目ですよ」

 「すみません……久しぶりに頼って貰えて嬉しくなっちゃいました」

 

 飛びついてきた事を注意するとリオンちゃんの尻尾と耳はシュンと垂れ下がってしまいました。

 ちょっとだけ怒られたシアさんと仕草が似ているのはやはり契約者に似たからですかね?


 「別に怒ってないから落ち込まなくていいですよ」

 「本当ですか?」

 「本当ですよ」

 「きゅ~ん! 嬉しいです!」

 

 そもそもこんな真夜中に呼び出してしまった僕たちが悪いですからね。

 それなのに文句の一つも言わずに手伝ってくれたリオンちゃん達を怒る理由が一つもありません。


 「それで、ご主人様達は何をしてたのー?」

 「僕たちは少し休憩をしながら、リオンちゃん達の事を話してたのですよ」

 「僕たちのことー?」

 「はい。リオンちゃん達の成長が凄く早いので何故なのかなって思いまして」

 「そんな事ですか! それなら理由は簡単です!」

 「そうなのですか?」

 「うん! 理由はねーラディくんは元は……むぐっ!?」


 理由をリオンちゃんから話して貰えそうになった時でした。

 

 「リオン。まだ仕事が残ってるでしょ。続きに戻るよ」

 「むーむー!」

 「はいはい。それじゃ、僕たちは仕事に戻ります」


 そう言って、ラディくんはリオンちゃんの口を塞いで行ってしまいました。

 ですが、今の行動でわかりましたね。


 「秘密はラディくんにありそうですね」

 「そうだね。そのうち話してくれるかな?」

 「はい。きっと教えてくれると思いますよ。直ぐにでも」

 「あっ! ふふっ、そうですね」


 やはり信頼関係というのは大事ですからね。

 ラディくんにとってキアラちゃんは主になりますが、それでも言いにくい事はあるかもしれませんし、フタハちゃんが居るこの場では話せない事もあるのかもしれません。 


 「それじゃ、僕たちもそろそろ仕事に戻りましょうか」

 

 もう二時も経てば陽が上りそうな時間になってしまいましたからね。

 そうなると、ゲオング達は地中に潜り眠ってしまうので探すのが大変になってしまうみたいです。

 

 「本当によろしいのですか?」

 「気になりますか?」

 「はい。とても気になりますし、このままではお姉様方が大変な目に遭うのではないかと心配です」

 

 最初に出会った時はとても好戦的で失礼な子だと思いましたが、やはり根は優しい子みたいですね。


 「その辺りは大丈夫ですよ。何も動くのは僕だけではありませんからね」

 「?」

 

 流石に付き合いがまだ短いのでわかりませんでしたか。

 僕たちはこうみえて常にお互いをカバーしている事が多いです。

 なので、僕達以外のメンバー今何をしているのかというのは大体把握しています。

 スノーさんは相変わらずゲオングに怯え、サンドラちゃんはソウハちゃんと共にオタマジャクシを捕まえています。

 そして、僕のお嫁さんはというと……。


 「ラディくんと二人きりになれたみたいですね」

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