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補助魔法使い、狐族(?)と出会う

 「んー……?」


 魔族の村にテントを張り、干し肉で夕飯を済ました後、やる事のなくなった僕たちは早々に明日に備え眠る事にしたのですが、テントの周りが騒がしくなり始めた事に気づき目を覚ましました。


 「何かあったのかな?」

 「かもしれない。一応、警戒しておく」

 「その方が良さそうですね」

 

 

 目を覚ましたのは僕だけではないようで、みんなも周りの異変に気づいて目を覚ましたみたいです。

 まぁ、この状況にも拘らず気づかずに眠っているようでは冒険者としてやっていけませんからね。

 

 「なー……」

 「はい、どうしましたか?」

 「なー……すぅ……」


 もちろんサンドラちゃんは別ですよ?

 サンドラちゃんの身体はまだまだ成長期と言える段階ですので、夜は自然と眠くなってしまうのは仕方ありません。

 もちろん有事の際は起こしますし、その時はサンドラちゃんも自分で気づいてしっかりと目を覚ましますからね。

 

 「わかった。どうやら冒険者ギルドが動き出したみたい」

 「冒険者ギルドがですか?」

 「うん。影狼で探ってきたから間違いない」

 

 こんな所……と言っては失礼かもしれませんが、まさか冒険者ギルドがこの村にあるとは驚きですね。


 「正確には冒険者ギルドが出張しているみたい」

 「臨時の支部みたいな感じなのかな?」

 「そうかもしれないですね。でも、どうしてこんな場所に冒険者ギルドが来ているんだろう?」


 それは僕も思いました。

 冒険者ギルドがある場所は人が多く集まる街や村などに設立されます。

 現段階では人は沢山いますが、これといって人が集まる要素があるかと問われると、そうではないと思うのですよね。


 「もしかしたら、近くに魔物が押し寄せてるとか?」

 「討伐の為に集まったという事ですかね?」

 「でも、その割には焦っている様子はない」

 

 村に入る時もそうでしたが、緊迫した雰囲気は全くありませんでした。

 仮に魔物が近くまで押しせていたりしたら、とてもではありませんが、あんなのんびりとはしていませんよね。

 

 「これは聞いた方が早いかもですね」

 「うん。ちょうどお隣さんも動き出した」


 昼間に声をかけても反応がなかったのはやはりこの時間に活動する為に眠っていた可能性が高いですね。

 となると、僕たちの行動は完全に迷惑行為でしたね。

 起きてこなかった事から、睡眠の邪魔はしていないとは思いますが、もしそこで起こしていまっていたら、かなり印象が悪い事になっていたと思います。

 誰だって寝ている所を起こされるのは嫌でしょうし。


 「それじゃ、ユアン頼んだよ」

 「わかりました。ちょっと話を聞いてきます。シアさんも一緒にお願いします」

 「任せる」


 昼間はスノーさんにお願いしましたので、今度は僕の番です。

 スノーさんにお願いしても嫌とは言わないと思いますが、何でもかんでも任せてしまったらそれだけ負担になるかもしれませんし、一応は僕がパーティーリーダーですので、いつまでも苦手と言って他人任せにする訳にもいきません。

 なので、意を決して僕たちもテントから外に出たのですが……。


 「狐…族?」


 なんと、お隣さんは僕と同じ耳と尻尾を持った二人組の女の子達でした。

 正直、僕はかなり驚きました。

 だって、こんな場所に狐族が、しかも女の子がたった二人で居るのです。

 しかもです!

 なんとその二人組の女の子の髪の色が月の灯りに照らされて光る程に綺麗な銀色の髪をしていたのですから、驚かない訳がありませんよね?

 パッとみた感じですと、シノさんと同じ白天狐にも見えるのですからね。

 ですが、僕が驚いてる一方、狐族の二人の少女の反応は真逆と言っていいほどに冷めているように見えました。

 いえ、僕と目があった瞬間、睨まれたように感じたので、むしろ怒っているようにも見えます。

 もしかして、昼間の事でしょうか?

 それなら謝らなければいけませんね。

 

 「あの…………」

 「いま、狐族って言った?」

 「えっ?」

 「だから、貴女、私達を見て狐族って言ったかって聞いてるの」

 

 先に謝ろうと声をかけたのですが、先に質問をされてしまいました。

 しかも、かなりきついい口調でです。

 

 「はい、言いましたけど、違うのですか?」

 「どっからみても違うでしょ!」

 「ち、違うのですか?」

 「違うわよ! ほら、良く見なさい!」


 そう言って、女の子はお尻をこちらに向けました。

 そこには見慣れた尻尾がありました。

 ただし、その尻尾は銀色で二本生えている事を除けばですけどね。


 「えっと、それは一体?」

 「これを見てもまだわからないの? 私達は狐族ではなくて妖狐族。獣人ではなくて魔族なの。あんなのと一緒にしないで貰える?」

 

 どうやら僕の勘違いだったみたいですね。

 ですが、その言い方には僕も少しカチンと来ました。

 狐族を……しかも本人が目の前に居るにも拘わらず、あんなのと言いましたからね。


 「あんなのってどういう事ですか?」

 「あっ……べ、別に……ふんっ。どうもこうもそのままの意味よ」

 

 んー……。

 もしかして、そこまで悪い人ではないかもしれませんね。

 一瞬ですが、僕の質問にばつの悪そうな顔をしました。

 それを見て、僕の後ろで怒っていたシアさんの怒りもスーッと引いて行ったのがわかります。

 ですが、それはそれです。

 馬鹿にされたままではいけませんね。

 

 「そのままの意味って事は、狐族の事を馬鹿にしているって事でいいですか?」

 「そういう訳、ではないけど。でも……私達よりも魔力で劣っている事には変わらないでしょ」


 確かに、一般的な狐族と比べたら目の前に居る二人の魔力は高いですね。

 ですが、それは一般的な狐族と比べたらです。

 

 「変わりますよ。少なくとも、僕はお二方よりも上ですし、お二方よりも魔力の高い方を沢山知っています」


 チヨリさんの部隊の方々と比較したら可哀想なくらいです。


 「言ってくれるわね」

 「なら、勝負してみるといい。それで直ぐにわかる」

 「ふんっ、やってやるわ。後悔しても知らないからね」

 

 試す必要はないと思いますけどね。

 相手は僕の魔力がどれだけ高いのかわかっていないみたいですが、僕はこうして対峙しているだけでどっちが上なのか直ぐにわかりました。

 それがわからない時点で僕との差がそれだけあるという事です。


 「仕方ない。それがわかれば喧嘩なんか売らない」

 「それもそうですね」

 「だけど、油断は禁物」

 「わかってますよ」

 「ならいい。万が一もないとは思うけど、奇跡が起きる可能性はある」

 

 言いたい放題ですね。

 まぁ、それだけ差がある事にシアさんも気づいている証拠であり、それがわかるという事は、目の前の二人は本職は剣士であるシアさんよりも下という事にもなりますね。

 でも、油断できないのは確かです。

 恐らくですが、あの尻尾には何か秘密があると僕は睨んでいます。

 

 「なにごちゃごちゃ話してるのよ。やるならさっさとやるわよ」

 「あっ、すみません。ちなみにですが、何をやればいいのですか?」

 

 勝負するといっても色々あります。

 一番わかりやすいのは模擬戦ですかね?

 あれなら魔力だけではなく、魔法の技術や熟練度もわかります。

 なので、流石に周りにテントが沢山あるここでは無理です。

 そして、それは相手もわかっているみたいで、にやりと口元を吊り上げると、勝負の内容を伝えてきました。


 「魔力勝負といったら決まっているでしょ? 搾取ドレインで競いましょう」

 

 

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