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補助魔法使い、魔法機械を手に入れる

続きです。

 「それはそうと、そちらの騎士の方はもしかすると、第2皇女、エメリア様の護衛の方ですかな?」

 「え、何故それを?」

 「クオーネ家といえば騎士を輩出する貴族として有名ですからな」

 「この事はご内密にお願いします」

 「他言は致しませんよ。ですが、皇女様の騎士殿が何故、このような場所に?」


 魔法道具が届くまで、僕たちは雑談する事となりました。

 ザックさんの何気ない疑問にスノーさんは少し困った顔をしています。


 「ちょっと、皇女様にお暇を貰いまして……」

 「ふむ、何やら事情がありそうですな。ですが、身分を隠したいのであれば家門名は伏せる事をお勧めしますよ。知っている人は知っていますからね」

 

 何かを察したのか、ザックさんはそれ以上は深くは追及してきませんでした。


 「オーナーお待たせしました」

 「うむ、ありがとう」


 テーブルのうえに木箱が置かれました。

 大きさは、僕でも抱えて持てるくらいなので、魔法機械と聞いて大きいのかと思いましたが、そうでもないようです。


 「どうぞ、中をご覧ください」

 「はい、失礼しますね」


 木箱の蓋を持ち上げる。


 「魚……ですか?」

 「ちょっと、怖い見た目ね……」


 デビルフィッシュを彷彿させる見た目です。目が透明で骨の代わりに金属が剥き出しになっています。

 普通に泳いでいたら魔物と勘違いしていまいそうな見た目です。


 「それと、これは?」

 「それは魔法機械と繋がっていて、その魚の見た目をした機械が見た光景をそちらの板で見る事が出来るようです」

 「すごいですね!」

 「一般的ではありませんが、王族やギルドなどで使われている水晶盤と同じような仕組みですね」


 離れた相手と会話をしたり、映像を送る魔法道具がありますが、それに似た魔法道具のようです。音は聞けませんが、動く事の出来るので偵察などに使われるようです。


 「これの何処が壊れているのですか?」

 「動作不良ですよ。上手く動かないのです」

 「そうですか……」

 「もしかしたら、そちらの影狼族のお姉さんなら何かわかるかもしれませんので、一度聞いてみるといいかもしれません。商人としては悔しいですが、魔法道具では一歩先をいかれていますからね」

 「イル姉もザックの事、評価してた」

 「それは光栄ですね」

 

 お互いが認めているようで、イルミナさんとの関係も悪くないようです。どちらも知り合いなので同じ魔法道具を扱う者同士で潰しあって欲しくないですからね。

 ザックさんは他にも商品を扱っているので大丈夫だと思いますけどね。


 「では、お気をつけて」

 「はい、ありがとうございました」

 「何か困った事がありましたらまたお越しください。出来るだけ手助けして頂きますよ」

 「その時はまたお願いします」


 ザックさんにお礼を言い、僕たちはザック商店を後にし、再びイルミナさんのお店へと戻りました。


 「偵察用の魔法機械ね」

 「イルミナもわかるのですか?」

 「扱った事はあるからね」

 「ザックさんの話ですと、故障しているようですが、何かわかりますか?」

 「ちょっと、見てみるわね……ララ~」

 「は~い」

 「ちょっと、見て貰える」

 「わかりました~」


 ララさんが魚型の魔法機械をじっくりと観察します。


 「ララさんってそんな事も出来るのですね」

 「えぇ、抜けてる所も多いけど基本的には優秀な子よ」

 「私は抜けてませんよ~」


 手と目を動かしながらもイルミナさんの言葉をララさんは否定します。口調から集中していないよう見えますが、目はとても真剣です。


 「そう言う事にしとくわ」

 「心外です~」


 ララさんが魚型の魔法機械に魔力を流したり、レンズのついた手鏡のような物で魚を観察し、暫くすると、ふぅ~と息を吐き、魚型の魔法機械を箱に戻しました。

 どうやら解析が終わったようです。


 「一通り見ましたけど、何も問題ないと思いますよ~」

 「え、でもザックさんは動作不良と言っていましたよ?」

 「問題ないですよ~」

 

 どうやら何処も故障をしていないようです。


 「ふふ、どうやら一杯食わされたようね」

 「どういう事ですか?」

 「ザックはユアンちゃんに無料で譲ったという事よ」

 「どうしてそんな真似を?」

 「さぁ?それはザックにしかわからないわ。ただ言えるのは、損して得取れを実行できる商人だからじゃないかしら?」

 「損して得取れ?」

 「先行投資って事よ」


 損が得に繋がるとイルミナさんは言います。目先の利益よりも今は損をしてでもそれよりも大きな利益をって事らしいです。

 

 「食べ物で考えるとわかりやすいわね。味に自信があっても食べて貰えなきゃそれは伝わらない。だから最初に格安で食べて貰い、味を知ってもらう。気に入れば今後は食べたい人が買ってくれるようになるのよ」

 「あー、なるほどです」

 「ザックはそれをユアンちゃんに見出したって事よ」


 最近色んな方面で圧が掛かっている気がします。僕は普通に冒険者をしたいだけなのですが。


 「まぁ、使い方は簡単だし、丁寧にも取扱説明書もあるからそれを見れば大丈夫よ」

 「わかりました。遅くまですみません」

 「いいのよ。何時でも来てと言ったのは私だからね」

 「それじゃ、またくる」

 「えぇ…………楽しみにしてるわ」


 日も沈みかけ間もなく夜を迎えます。

 なので、再び地下通路に向かうのは明日にし、僕たちは宿屋で休むことになりました。決して手を抜いている訳ではありません。

 休める時に休むのが冒険者とシアさんから教わりましたから、実行しているだけです。

 地下通路に連日潜っているので、スノーさんの宿屋がないので、今日はスノーさんも同じ宿に泊まる事になりました。

 食事やお風呂を済まし、僕たちは部屋でのんびりしています。

 特にやる事もなく、後は休むだけ。

 なので今日の出来事、明日の予定などを話していると、ザックさんとスノーさんのやり取りを思い出しました。

 

 「そういえばスノーさん、ザックさんとの話で気になったのですが、どうして家門名を名乗るのですか?」

 

 家門名を名乗る事は自分の身分を相手に知らせる事になります。レジスタンスや冒険者で活動し、正体を隠すのにマイナスの要素にしかなりません。


 「それは、エメリア様の命令ね」

 「命令ですか」

 「私も疑問に思っている事だけど、エメリア様からの指示だから何かしらの意図があると思う」

 「隠しているようで隠していないだけ」

 「それはあるかもしれないね」


 スノーさんの存在を大っぴらに伝えるのではなく、レジスタンスと繋がりもあるぞというメッセージなのかもしれませんね。

 領主がレジスタンスを潰そうにも皇女様の手が掛かっているのなら迂闊に手を出せなくなる可能性が高くなります。

 そう考えるとレジスタンスを上手く利用しようとする意図と思えますね。

 ですが、それだけとも思えないのですよね。

 他にも別の意図がありそうですが、それがわからず、モヤモヤする気持ちを抱えながら、ついでにシアさんに抱えられながら僕たちは休みました。

魔法道具だったり魔法機械だったり語彙力が足りなくてわかりにくくて申し訳ないです。


いよいよ、この章も大詰めに入ってきましたね。

何となく展開は読めている方もいると思いますが、楽しんでいただければ幸いです。


日に日にブクマも増え、100も見えてきました。

宣伝してくださる方、更新を楽しみにしてくれている方、本当にありがとうございます。

評価等頂けると励みになりますので、まだの方はポチっとして頂けると嬉しいです。


いつもお読みいただきありがとうございます。

今後ともよろしくお願いします。


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