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補助魔法使い、ザックと再会する

前半と後半にわけさせていただきました。

いつも通り次の更新は9時になります。

続けて読みたい方は少しお待ちください。

 「ここみたいですね」


 イルミナさんのお店を後にし、僕たちはザックさんのお店へと向かいました。

 イルミナさんのお店から結構離れた場所にあるようなので、店を出てからは大急ぎでした。


 「こんばんはー」

 「なんだ? もう店を閉めるとこなんだが」

 

 店はまだ開いていました。ですが、ちょうど閉める所だったようで、店番の人は良い顔をしていません。

 けど、幸いにもその店番の人は僕が知っている人だったので話くらいは聞いて貰えそうです。


 「あ、ルイーダさん。お久しぶりです」

 「ん……あぁ……誰だ?」


 あれ、もしかして忘れられてます!


 「えっと、僕ですよ僕!」

 「あぁ、お前か。知らんな」


 完全に忘れられてます!

 自分で言うのは何ですが、オークの襲撃から守るお手伝いをした恩人ですよ!

 

 「何の騒ぎですかな?お客さん、店ではあまり騒がないで頂けますか?」

 

 僕が騒がしくしたせいか、店の奥から追加で人が来てしまいました。そちらも僕も知っている、というよりも目的の人でした。


 「あ、ザックさん。お久しぶりです」

 「久しぶり?……あぁ!ユアンさんですか、よくお越しくださいました」

 「え、ユアンの嬢ちゃん!?」


 ザックさんは僕の事に直ぐに気づいてくれたようです。


 「酷いですよ、ルイーダさん!」

 「すまねぇな。あの時はフード被ってたからな、その印象が強くてな」


 そういえばそうでした。

 忌み子と悟られない様に常にフードを被っていましたね。髪の色も違いますし、気づかないのも無理はありませんね。


 「ザックさんはよく僕ってわかりましたね」

 「恩人ですからね。わかりますよ」


 それだけではないと思います。

 きっと観察能力が高い証拠です。


 「ユアンの嬢ちゃんすまないな」

 「いえ、僕も気づくべきでした」

 「ルイーダはもっと人を見て覚える能力を鍛える必要がありますね」


 これから以前に会った人に会う場合はローブを着た方が良さそうですね。ルイーダさんのように気づかない可能性がありますからね。

 そうすると、髪の色が変わった説明とか面倒そうですけど。


 「それで、何か御用ですかな?前にも言った通りオマケさせて頂きますよ」

 「ちょっと探している魔法道具があって、ザックさんなら心当たりがあると思いまして」

 「ふむ、では店頭で話すのも悪いですから、良ければこちらに」


 ザックさんの案内を受け、僕たちは奥の部屋へと向かいました。


 「何もない所ですが、ご寛ぎください。すぐに茶のご用意をさせますので」


 ザックさんに案内された部屋は何もないと言った通り、テーブルとソファーとシンプルな飾りつけしかない部屋でした。

 しかし、テーブルも腰を掛けたソファーも高級感が漂い、それだけで緊張します。シンプルが故に完成された空間って感じで、委縮しそうになります。


 「いえ、そこまでは……」

 「折角来て頂けたのですから、ユアンさんは大事なお客様ですよ」


 ザックさんの好意に甘え、お茶を頂くことになりました。

 ザックさんに呼ばれた従業員……恐らくですが、店番をするのではなく、メイドのような人がお茶を運んでくれました。

 

 「いい……香りですね」

 「喜んで頂けたようで何よりです」


 お茶の良し悪しはわかりませんが、何となく高いお茶だとわかります……嘘です、本当はよくわかりません。匂いも味も緊張しっぱなしでよくわかりません!


 「では、冗談はこの辺りにして、気楽にしてください」

 「え、冗談?」

 「はい、今までの流れは交渉の時などで使う、相手を委縮させる方法です。交渉は常に相手より有利に事を運ぶのが大事ですからね」


 納得です。

 僕だったら、多少なら不利な条件でも呑んでしまうと思います。


 「どうしてそんな事を?」

 「えぇ、ユアンさんもパーティーを組んだようですし、今後、商人や貴族などを相手する事が多くなると思います。その為の準備、予行演習だと思って頂ければと思いましてね。ご迷惑でしたかな?」


 ザックさんの親切心だとわかり、僕は安心しました。


 「いえ、ありがとうございます」

 「こちらこそ。あの時はありがとうございました。それで、本日はどのようなご用件で?」


 僕たちは事の経緯を説明しました。

 僕たちってところが大事です、僕だけではなくスノーさんが主にです。僕が説明するとボロが出ちゃいそうですからね。

 流石に地下通路の事は話す事はできません。ザックさんとはいえ、味方とは限りませんから。


 「なるほど。水の中を移動する魔法道具か水の中の情報を探る魔法道具が欲しいと」

 「はい、水の中の魔物と対峙する時に前もって状況がわかれば戦闘を優位に進められますので」


 矛盾が生じない様に、なるべく嘘を交えずに説明します。情報を抜いた真実の方が疑われにくく、説明も的確にできます。


 「えぇ、ありますよ。水の中を進むのは無理ですが、水の中を探る魔法道具が」

 「本当ですか!?」

 「はい、ただ欠点がありまして……」

 「欠点ですか?」

 「はい、売り物にならないのです」

 「何かあったのですか?」

 「この手の魔法道具は珍しく、中々手に入らず在庫が現物限りで一つしかありません。そして、故障してしまっているのですよ」

 「そ、そうですか……」


 故障している。

 つまりは使い物にならない可能性が高いという事のようです。


 「なので、壊れた物を販売する事は商人の信用としてできません」

 「直す事は出来ないのですか?」

 「魔法道具ですからね。正確には魔法機械マジックマシンといって、魔法文字だけではなく、あらゆるパーツを組み合わせて作られているので専門の知識が必要で、専門家が居ない限りは……」


 魔法道具であれば治せた可能性はありますが、機械となると僕には無理です。

 魔法によって動かす機械といえば、ゴーレム……魔物ではない方の人工で作られたゴーレムが有名です。

 ゴーレムを動かす事は僕にも出来ますが、作れと言われると僕には無理です。人の動きを再現し動かすためには関節などの仕組みを理解し作らないといけません。

 ソロ活動している時に、土から作ろうと試したことがありますが、手足が伸びきってまともに動けないゴーレムになってしまった事があるので断念しました。

 それと同じで、機械というのは歯車だったりネジだったり多彩な組み合わせで動いているのでとても理解できません。


 「そうですか……」

 「なので、売る事は出来ませんが、直す当てがあるのならば譲る事は出来ますがどうしますか?」

 「え、ですが高いのですよね?」

 「修理費と販売価格を考えた時に生み出される利益を考えると修理する気にはなれませんね」


 修理するのに結構なお金がかかるみたいですね。


 「なら、元の購入価格だけでも」

 「結果的に売る事と同じですので。どちらにしても肥やしになるか、処分するかですので、私としても引き取っていただけるのなら有難いですよ」

 「そういう事なら、お願いします」

 「ありがとうございます」

 「いえ、こちらこそ!」

 「では、直ぐにご用意させますね。」


 ザックさんが従業員を呼び、ザックさんが従業員さんに説明するとは頷き、部屋から退出していきます。

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