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補助魔法使い、シアさんの妹に出会う

 「うぅ……気持ち悪いです」

 「大丈夫?」

 「大丈夫です……状態異常回復トリートメント!」


 甘い物を食べすぎると気持ち悪くなるのはしりませんでした。

 回復魔法で気持ち悪さは納まりましたが、依然お腹は一杯で苦しいです。


 「で、スノーはなんでついてきてる?」

 「リンシアが信頼している情報屋を知りたくてね。情報は私達も欲しいから」

 

 お菓子屋を後にし、僕たちが向かっているのはシアさんの妹のいるという場所でした。

 さっきまで居なかったようですが、今は居るのでしょうか?


 「イル姉の所に寄って、確認したから問題ない。昼過ぎにはある場所にいるらしい」

 「ある場所?」

 「情報屋は危険。だから、決まった場所ではなくて、幾つかの場所に移り住んでる」

 「しっかりしているのね」


 一つを拠点にすると、危ない情報を手に入れた時に襲撃される可能性がありますからね。

それを避けるために、拠点を幾つも持ち、絞らせない様にしているようです。

 

 「えっと、シアさん此処ですか?」

 「うん。多分」

 

 シアさんに連れられてきたのは一軒の家……ではなくて今にも崩れ落ちそうな小屋でした。

 街の中でも治安が良くない場所……スラム街と呼ばれる一角です。


 「確かに隠れ住むにはいいかもしれないけど」

 「いつも此処にいるわけじゃない……はず」


 いつ崩れてもおかしくない小屋に常駐するわけないですからね、普段は別の場所にいると信じたいですね。

 危険察知が働きすぎて、僕はとても落ち着いて住めそうにありません。


 「ルリいる?」

 

 シアさんが扉をノックしました。

 バタンっ!


 「シアさん、壊したらダメですよ?」

 「そんなつもりなかった」


 見事に扉が外れました。

 軽くコンコンと叩いただけで扉が倒れました。


 「ちょっと、人の家を壊さないで貰える!?」


 扉が倒れると同時に、中から怒りの籠った声が届きます。


 「ルリ、久しぶり」

 「あ、あれ? シアお姉ちゃん!」


 小屋から飛びでた犬耳……ではなくて、シアさんと同じ狼耳の女の子は勢いよくシアさんに飛びつきました。

 短めの髪、僕と同じくらいか少し大きいくらいの身長、ちっちゃなシアさんぽくて可愛らしい子です。


 「もう、戻ったなら教えてください」

 「昨日ついたばかり」

 「なら、仕方ないかな! シアお姉ちゃんいつもみたいに撫でて?」

 「うん」


 シアさんが妹さんの頭を撫でます。

 なんか、妹さんが憎く感じる気がしますが、気のせいですよね。


 「えへへ~」


 シアさんに撫でられて妹さんはとても嬉しそうです。

 姉妹ですし、仲が良いのは、仕方ない、ですよね!

 撫でるくらいは……ちょっと、長くないですか?

 シアさんの手は相変わらず妹さんの頭の上にあります。

 明らかに長いですよね……ぐぬぬ……。


 

 「ユアン、怖い顔してる」

 「ふぇ? そんな事ありませんよ?」

 

 えぇ、そんな事ありません。むしろ、妹さんが僕を見る目の方が怖いくらいです。


 「シアお姉ちゃん、その人達は?」

 「私の主のユアンと友達のスノー」

 「私が、友達……。あ、申し遅れましたスノー・クオーネと申します。シアさんとユアンさんの友達です!」

 

 スノーさんは嬉しそうに妹さんに挨拶をしています、僕も挨拶をしなければいけませんね。


 「初めまして、シアさんとパーティーを組んでいるユアンです。よろしくお願いしますね!」

 「シアお姉ちゃんの主……これは失礼しました!私は妹のルリルナだよ。よろしくね!」


 僕の挨拶に慌ててにっこりと微笑み、お辞儀してくれました。

 そして手を差し出してきます。

 握手でしょうか。

 ですが、僕はその手を取る訳にはいきません。


 「どうかしたの?」

 「いえ、危険察知が反応していまして。その手はとれません」


 僕の返答に少し驚いた表情をし、ルリルナさんは姿勢を正すとにっこりと微笑みました。


 「はい、正解だよ!」


 ゆったりした袖から紫色の短剣が姿を現しました。


 「無警戒に私の手をとるような人じゃなくて良かった!」

 「やっぱり、隠し武器があったのですね」

 「うん、情報屋は常に危険が付きまとうからね。馬鹿に与える情報は一つもないからね!」


 どうやら試されていたようですね。


 「シアお姉ちゃんの主がまともな人で良かった」

 「うん。ユアンはまとも。それに可愛い」

 「むー。私とどっちが?」

 「ユアン」

 「えー……。でも、シアお姉ちゃんの主という事は私の新しいお姉ちゃんでもあるからいっか。それじゃ、中にどうぞ、ユアンお姉ちゃんに解放者レジスタンスのスノーさん」

 「なっ、知っていたのですか!」

 「もちろんです。情報屋だからね」


 ルリルナさんは悪戯ぽく笑います。

 この様子だと僕たちが昨日この街に着いていた事も知っていて、演技をしていたみたいですね。


 ルリルナさんについて中に入る……前に足が止まります。


 「ユアンお姉ちゃんどうしたの?」

 「いや、これはー……」


 部屋全体から危険察知が働きます。僕はどうにでもなりますが、生身でしたらとても危険な場所だとわかりました。


 「むー。結構自信あったんだけどなぁ」


 ルリルナさんはぴょんぴょんと跳ねながら狭い小屋を飛び回り、カチャカチャと色んな場所を弄って回ります。


 「はい、これで大丈夫……かな?」

 「大丈夫、だと思います」


 すっきりしました。

 小屋の中がではなくて、危険察知に反応がなくなりました。


 「それじゃ、いこうか!」

 「え、行くって何処にですか?」

 「ふふん、流石にこれまでは見抜けなかったね! 見抜かれたら私が困るんだけどね!」


 ルリルナさんは床を丁寧に剥がしました。そこに現れたのは。


 「梯子……ですか?」

 「うん! こんなボロ小屋で話す訳にはいかないからね!」


 どうやらボロ小屋という認識はあったみたいです。というより、完全なる小屋はダミーって事のようですね。

 ルリルナさんに続き梯子を下りると、そこは石の通路になっていました。

 

 「あ、罠を張りなおしてくるからここで待ってて!」

 「わかった」

 「絶対だよ? この先も罠だらけだから勝手に進んだら命の保証はないからね?」


 そう言ってルリルナさんは再び梯子を登っていきました。閉じ込められないでしょうか?


 「ルリは悪戯好きだけど、流石に弁えてるから大丈夫…………たぶん」


 その多分が心配なのです!

 ゴゴゴっ!

 その時、僕達の頭上で重い物が擦れる音がしました。

 もしかして……。


 「お待たせ!」

 「おかえり」


 音が止むと同時にルリルナさんが降ってきました。どうやら普通に戻って来たようです。

 

 「もしかして、閉じ込められるかと思ったー?」

 「そんなことない」

 「うんうん。そんなことしないよ!だって、閉じ込めたら意味ないからね!」


 僕の心配は杞憂で終わったようですね。安心しました。


 「それじゃ、進むよ! シアお姉ちゃんとスノーさんが先頭ね!」

 「え、それじゃ罠があって危ないんじゃないですか?」

 「うん、危ないよ? だから、二人が前なの。ユアンお姉ちゃんは私の試験に合格したけど、二人はまだだからね! あと、ユアンお姉ちゃんは二人に協力しちゃだめだからね!」

 

 すごい嬉しそうな笑顔です!

 

 「えっと、試験とは?」

 「罠を突破するだけの簡単な試験だよ!」

 「いえ、そうでなくて試験をする意味とは?」

 「さっきも言ったけど、馬鹿に教える情報はないからだよ。というか、これくらい簡単に突破できなきゃ教えても無駄だからね!」


 ルリルナさんが持っている情報はそれだけ大きいのかもしれませんね。


 「わかった」

 

 シアさんは頷き自ら先頭に立ちました。


 「流石、シアお姉ちゃんだよ! スノーさん、今なら帰る事も出来るけどどうする?」

 「私も、進みます。これしきの事で足を止める事は出来ませんから」

 「わかったよ! それじゃ、レッツゴー!」

 

 ルリルナさんの言葉を合図に僕たちは進む事になりました。

 果たして無事に此処を抜け出す事が出来るのでしょうか?

シアさんの妹と出会いました。名前は少し悩みました。

みんな4文字で略しやすい名前……ルリ ルナ どっで略すかも悩みました。

本当に名前を考えるのは苦手です。

そろそろシアさんと出会った村の名前も出さないとなぁ。

一応、設定としては、元は名も無き村→発展して街になる過程で名前をつけている最中。

という感じですね。


いつもお読みいただきありがとうございます。


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