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補助魔法使い達、イルミナさんのお店にいく

起きていたので、少し早い更新にしました。

よろしくお願いします。

 「シノさんありがとうございました」

 「いいよ。これくらいならね」

 「それじゃ、もう帰ってください」

 「帰るけど……冷たすぎないかい?」


 当たり前です。

 ルリちゃんを放置したまま、こんな所でゆっくりしていていい訳がありませんからね!

 勿論、シノさんには連れて来てもらいましたので感謝はしています。

 だけど、それはそれだと思いますからね。

 

 「ここも久しぶりですね」

 「うん。懐かしく感じる」


 といっても、ルリちゃんの拠点に来たのは一回きりです。

 ですけど、タンザに戻ってきた事は凄く懐かしく思えます。


 「あの時は、今みたいな生活を送れるとは思えませんでしたね」

 

 タンザに着いた頃、僕はまだまだ貧乏でした。

 シアさんはそれなりにお金を持っていましたが、家を手に入れるのはずっと先の事だと思っていました。

 それなのに、あれからまだ一年も経っていないのに、家を手に入れる事が出来ました。

 それも、僕たちにとても相応しいといえないとても大きな家をです。


 「そんな事ない。ユアンと一緒なら実現すると思ってた」

 「大袈裟ですよ」

 「ううん。ユアンの力は大きい。それに見合った報酬を手に入れるのは当然」


 シアさんが僕は褒めてくれます。

 なんだか照れくさいですね。

 タンザに着いた頃だったら、もっと否定をしたかもしれませんが、今は褒めてくれることが単純に嬉しく思えるようになりました。

 これもきっと成長したお陰ですかね?

 

 「それじゃ、イルミナさんの所に行きましょうか」

 「うん」


 朝から仕事をしていたので、もうお昼ですからね。

 今ならイルミナさんお店にいけばきっと居ると思います。

 

 「こうして歩くのも久しぶりですね」

 

 はぐれないようにシアさんと手を繋ぎ、街を歩いています。

 タンザであったあの一件が影響しているせいなのか、前よりは人が少なく思えますが、それでも沢山の人が街の中を歩いています。

 

 「うん。その髪のユアンもたまにはいい」

 「そうですか? 僕はこの色はあまりに合わないと思うのですが」

 「そんな事ない。黒髪のユアンが一番だけど、その色も可愛い」

 「えへへっ、ありがとうございます」


 珍しく、僕はイルミナさんに頂いた魔法道具マジックアイテム金髪で髪を金色に染めて街を歩いています。

 徐々に黒髪の獣人の扱いは変わっているみたいですが、まだまだ忌み子ではないと浸透するにはきっと時間がかかります。

 要らぬ問題を起こさないためにも黒髪で歩くのは避けるべきですよね。

 それにしても、僕も変われましたね。

 僕の特徴でもある黒い髪があれほど嫌いだったのに、今じゃシアさんに褒められるだけで誇りに思える気がします。

 この髪があったからこそ、シアさんに出会え、大事な仲間が出来ました。

 そうなると、今まで苦労した分と相殺出来ているかもしれませんね。


 「着いた」

 「なんか、あっという間でしたね」


 ルリちゃんの拠点から地上にあがり、少し歩くとイルミナさんのお店についてしまいました。

 もっとシアさんと一緒に街の中を歩きたかったのですが、少し残念です。


 「イル姉との話が終わったら、買い物する」

 「何か買う物があるのですか?」

 「ない。ただ、ユアンと歩きたいだけ」

 「……はい。僕もシアさんと歩きたいです」


 何と、シアさんも同じ気持ちで居てくれたみたいです!

 僕の気持ちを察してくれただけかもしれませんが、それでも嬉しく思えます。


 「なら、イル姉の用事終わらせる」

 「はい! そうしましょう!」

 「うん。ユアンとのデート楽しみ」

 「で、デートですか?」

 

 デートっていうと、あれですよね。

 恋人が仲を深めるために、一緒に出掛ける事ですよね?


 「いや?」

 「いや、じゃないです。だけど、デートとは違う気がします」


 だって、僕とシアさんはまだ恋人ではありませんし……そもそも女性同士ですからね……。


 「別に恋人同士じゃなくてもデートはする」

 「そうなのですか?」

 「うん。だから、気にする必要はない」

 「わかりました。楽しみにしてます!」


 確かに関係ないですよね!

 恋人とかじゃなくても、一緒に居たい人と楽しく街を歩けるのなら僕は十分です。

 

 「あらあら、人のお店の前でイチャイチャしていると思ったら、私の妹達じゃない」

 「あ、イルミナさん! お久しぶりです」

 「久しぶり」

 「えぇ、久しぶり。ルリからユアンちゃん達はアルティカ共和国に居るって聞いたけど、戻ってきたのかしら?」


 シアさんとイルミナさんのお店の前で話していると、どうやら出かけていたらしいイルミナさんが帰ってたようです。


 「いえ、ちょっと用事があってタンザまで来ただけですよ」

 「ちょっとで来れる距離じゃないと思うけど…………あ、なるほどね。わかったわ、私に用なのよね。外で立ち話も何だし、中で詳しい事を聞くわね」


 どうやら何かを察したイルミナさんに案内され、僕たちはイルミナさんのお店に入ります。


 「いらっしゃいませ~。って、オーナーでしたか~、それと妹さん達ですね~」

 「お久しぶりですララさん」


 イルミナさんのお店に入ると、兎耳が特徴のララさんが店番をしていました。

 変わらずにイルミナさんのお店で働き、久しぶりでも知っている人がいるのは嬉しいですね。


 「ララ、今日の営業は終わりにするわよ」

 「え~? まだ、全然売れてませんよぉ~? それに、この後は商品を予約していた人が来る予定があります~」

 「いいわよそんな事は」

 「ま~いつもの事ですしね~。後で、適当に説明しておきます~」


 えっと、本当に大丈夫なのでしょうか?

 ララさんは店の入り口にある看板をひっくり返し、入口のカーテンを閉めてしまいました。

 

 「ララ、お茶の準備をお願いね」

 「わかりました~」


 奥の部屋に案内され、僕たちはソファーに座ります。

 懐かしいですね、前はこの部屋でララさんに身体の寸法を測られました。

 今思うと、凄く恥ずかしい気がします。


 「それで、今日は何の用なのかしら?」

 「はい、それはですね……」


 僕が訪れた理由を話しても、事の成り行きがわからないと思うので、タンザを出てからの事を断片的ではありますが、イルミナさんに話します。


 「ユアンちゃんが領主ね……シアが見込んだだけの事はあるわね」

 「うん。ユアンは凄い」

 「えっと、僕は領主ではありませんからね?」

 

 そこは勘違いされても困ります。

 領主はあくまでもスノーさんです!

 

 「わかっているわよ。だけど、あの娘とユアンちゃんとの重要度でいったら明らかにユアンちゃんの方が上だからね」

 「そんなことありませんよ?」

 

 スノーさんはみんなに認められ、期待されて頑張っています。

 それに比べて僕はのんびりと暮らしていますからね。

 僕とスノーさん、重要度は比べ物にならないと思います。


 「そこだけみればそうかもしれなわね」

 「イル姉、それよりもどうするか教える」

 「そうだったわね。といっても、そんな大きな話直ぐには決められないわよ」

 

 当然です。

 僕達はイルミナさんに僕たちが住む街でお店を出さないかと聞きにきました。

 しかもそのお店は一店舗だけではありません。

 魔法道具マジックアイテム店に宿屋、他に展開できそうなお店があればそれもどうかと相談しにきたのです。

 お店を出すのは大掛かりな準備が必要ですし、何よりもお金がかかります。

 簡単にお店を出すと決めるのは無理があります。


 「ララ、タンザからその街までのルートはわかる? それと、その街周辺の気候や地形も」

 「直ぐ調べますね~」


 僕が今日までの経緯を話している途中にララさんがお茶を運んでくれ、そのまま一緒に話を聞いて貰っていました。

 ララさんは相変わらず抜けたような喋り方をしますが、部屋の中にあった本をペラペラとめくり、早速作業に取り掛かっています。

 前にイルミナさんが優秀と言っていた意味が良くわかりますね。

 

 「ちなみにだけど、その街には商業ギルドはあるのかしら?」

 「商業ギルドですか?」


 商業ギルド……聞いた事はありますね。

 冒険者ギルドは僕たちのような冒険者が依頼を受けたりする場所です。

 それに対し商業ギルドは商人やお店を構えた人が利用する施設だと聞いた事があります。

 実際に僕は利用した事がありませんので詳しくはわかりませんけど。

 けど、一つわかる事は……。


 「今の所、商業ギルドだけでなく、冒険者ギルドもありません」

 「そうなのね……ちょっと面倒ね」

 「面倒ですか?」

 「えぇ、私達は商業ギルドに所属しているのには訳があってね」


 どうやら商人と商業ギルドは切っては切れない関係があるみたいです。


 「例えばだけど、ユアンが買い物するとしたら信用があるお店と無いお店、どっちを利用する?」

 「値段も価値も同じなら、信用があるお店を利用したいですね」


 それだけではありませんけどね。

 知っている人のお店だったらそっちを利用しますし、信用がないお店でも、お店の人が凄くいい人だったらそっちを利用するかもしれません。

 だけど、それがわからない状態だったら、信用があるお店を利用すると思います。


 「そうよね。言ってしまえば、商業ギルドの役割は信用なのよね」

 

 どうやら、一定の税を払う事により商業ギルドからこのお店は信用できるという証みたいなものを得られる事が出来るみたいです。

 

 「だけど、それは街ごとに発行される証でタンザで貰った証はそっちの街では使う事が出来ないのよね」


 冒険者ランクがあるように、商業ランクというものも存在するらしいですが、冒険者ランクと違い、商業ランクはあくまでその街で使えるランクであり、僕たちの街では有効ではないとイルミナさんは言います。


 「それだと、今までの実績はないという事ですか?」

 「そういう訳ではないわ。最初はもちろんゼロからスタートかもしれないけど、タンザと同じだけの実績があると認められれば昇格はすぐよ。ただ、その実績を得るにはその街に商業ギルドがないとどうしようもないのだけど」


 各街や村にある商業ギルドは繋がっていて、情報は共有されているらしいです。

 なので、その街で商業ギルドに認められれば、昇格は容易いみたいです。

 同じギルドでもギルドの在り方がここまで違うとは思いませんでした。

 己の力で上へと上がって行けるのは同じかもしれませんが、冒険者と違ってややこしそうですね。


 「という事は、商業ギルドがないとダメって事ですか?」

 「ダメって訳ではないけど、あったら凄く助かるわね。商業ギルドでしか流通しないような素材もあるからね」


 むむむ……。

 これはスノーさんに報告しないといけませんね。


 「けど、ユアンちゃんの街は凄く魅力的なのよね……」

 「そうですか? 何もないですよ」


 街の事を軽く説明しましたが、僕たちの住む街は本当に何もないです。

 お金を使う機会が全くないと言っていいほど何もないです。


 「だからこそよ。今なら、その街でお店を展開すればお客さんを独占できるからね。市場としてこれ以上に魅力な場所はないわよ」


 言われてみるとそうですね。

 お店が沢山あればその中から選ぶことが出来ますが、イルミナさんのお店しかなかったら他に選択肢はありませんからね。

 それに、後から出来たお店よりも先にあったお店の方がお客さん目線だと安心して利用が出来ると思いますからね。

 イルミナさんが魅力的という意味が説明されるとよくわかります。

 

 「ねぇ、一度ユアンちゃんの街を見てみたいのだけど、出来るかしら?」

 「はい、いつでも大丈夫ですよ!」


 転移魔法陣を使えば一瞬です!

 何なら今からでも……と言いたい所ですが、この後は……。


 「別に明日でも構わないわ。できるだけ早い方が私としては有難いのだけど」


 もしかしたらこの間にも、お店を出店しようとしている人がいるかもしれません。

 移住を考えている人の中にはあの街にイルミナさんと同じ目線で見ている人がいる可能性もあります。


 「転移魔法陣をイル姉のお店に設置すればいい」

 「えっと、迷惑になりませんか?」

 「私としては有難いわね。上手く隠す必要はあるでしょうけど」

 

 確かに、転移魔法陣はある意味危険ですからね。


 「まぁ、ユアンちゃんが考えているような理由ではないでしょうけどね」

 

 僕が考えている理由とは違う?

 どうやら僕たち冒険者とは違う目線でイルミナさんは転移魔法陣の危険性を感じているみたいです……というよりも知っているみたいです。


 「ま、そこは置いといて、明日にでも見に行っていいかしら?」

 「はい! 是非ともお願いします!」


 見に来て頂ける。

 それだけでも、大きな前進だと思います。

 僕たちではわからない、気づけない街の悪い点や良い点を教えて頂ける機会でもありますからね。

 それがわかれば街の改善点が見つかり、街の発展に大きく関わってくると思います。

 今日の所は話はそこまでとなりました。

 かなり前向きに検討をしてくれている事がイルミナさんの感じからわかります。

 もちろん、現時点で問題点をあげれば山ほど見つかります。

 主に商業ギルド関係でですけどね。

 その辺はスノーさんに相談というか、報告する必要があります。

 もしかしたら、アカネさん辺りが既に行動に移している可能性もありますしね。聞いてみない事にはわかりません。

 

 「それじゃ、また来る」

 「時間を割いて頂きありがとうございました」

 「えぇ、こっちとしてもいい話を聞けて良かったわ。もし、今日はこっちに泊まるようならうちの宿屋を好きに使ってね」

 「はい、この後の予定はわかりませんが、その際は利用させて頂きますね」

 「えぇ、それじゃ明日の朝、待っているわね」


 明日の朝、イルミナさんのお店に来ると約束を交わし、僕たちは再び街の中を歩きます。


 「えっと、シアさん」

 「何?」

 「で、デート……ですね」

 「うん。ユアンとデート」


 シアさんと二人きりで街を歩くのは初めてではありませんが、デート。その言葉を使うだけで違った気持ちになります。

 何故か、凄くドキドキするのです。


 「何処に行きましょうか?」

 「ユアンに任せる。私をエスコートして欲しい」

 「僕がですか?」

 「うん。だめ……?」

 「だめ、じゃないです」


 うー……相変わらずシアさんの、ダメ? は可愛くてずるいです!

 以前よりも破壊力が増している気がします!

 けど、シアさんが僕を期待を込めた目で見てくれています。

 これは、失敗できませんね。

 僕、頑張りますよ!




 相変わらず、街は賑やかで沢山の人が出歩いています。

 いつか、僕たちの街もこんな感じになるのでしょうか?

 賑わう僕たちの街。

 その中で今と同じようにシアさんと歩く。

 そんな想像を含まらせながら、僕とシアさんはタンザの街を手を繋ぎ、身を寄せ合って歩くのでした。

商業ギルドの設定などは後に細かく……かはわかりませんが、説明する時があると思います。

現段階ではあやふやで申し訳ありません。

そして、ユアンの心境の変化……もしかして、ついにそろそろ?

まだ、エピソードがあると思いますので、それまでお待ちください。待ってくださっていればですけど!


いつもお読みいただきありがとうございます。

今後ともよろしくお願いします。

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