合流
間違えて一度投稿してしまいました。
申し訳ございません。
「あー鬱陶しい! やっぱり直ぐには抜けられないか」
「仕方ない」
「そうですね……中級回復魔法!」
右軍に向かう為に、馬を走らせていましたが、見事に中央辺りで捉まりました。
前線はしっかりと喰いとめていますが、鳥型の魔物に投下されたゴブリンの数が多く、槍兵がゴブリンを討伐する為に動き回っているので、馬で抜けるのが大変です!
「これなら、一度ゴブリン倒した方が早い」
「そうですね、一度どうにかしましょう」
そうと決まれば僕たちの行動は速いです。
役割がしっかりしていますからね。
「シアさん、好きにやっちゃってください! スノーさんは危ない人の護りを、キアラちゃんは馬の上から射貫いてください」
スノーさんだけいつもと違いますけどね。
僕たちを護るのではなく、弓兵と魔法使いを護って貰います。
その間、僕は大盾部隊に防御魔法の付与と回復です。
「効果は1時間ほどで切れるので気をつけてくださいね」
「助かる!」
「後、何度か置いてますけど、ポーション代わりに使ってください」
防御魔法を付与し、ついでに回復の水球を幾つか置いて行きます。
「さて、皆の方は……大丈夫そうですね」
大盾部隊の方から戻ると、既に槍兵が大盾部隊の方に戻りはじめ、弓兵達も隊列を組みなおしていました。
「早かったですね」
「数はそれなりにいた」
「だけど、変異種が混ざっているとはいえ、ゴブリンだしね」
「余裕でしたね」
頼もしいですね。
ですが、流石に傷ついた人や命を失った人はいるようで、そういった人が運ばれていくのが目につきます。
「ユアン」
「大丈夫です。全てを救うのは無理だとわかっています」
また弱音を吐いたら、シアさんに怒られてしまいますからね。
もう、迷ってはいられません。
「どうする? 暫くここで戦う? 足止めされたついでに前線のオーガを倒していってもいいけど」
「いえ、防御魔法をかけてあるので、暫くは持つと思います。出来るだけ、右軍に向かいましょう」
右軍の前衛は壊滅していましたし、多分押されている筈です。
もし新たな部隊が投入されているとしても、防御魔法は付与していませんからね。
「中々進めない」
「いっその事、馬は諦めた方が早そうかな」
「それもそうですね」
「だけど、馬がないと私は背が低いので敵を狙えませんよ」
キアラちゃんは馬の上から弓を撃っていますからね。よく、あんな体勢で正確に弓が撃てるものです。
「スノーが肩車すればいい」
「やだよ、流石に注目浴びすぎて恥ずかしいし」
「ちょっと、見てみたいですけどね」
「その体勢でも、やってみせます!」
流石に冗談です。
まだ、それだけ余裕が僕たちにあるって事です。
僕とシアさんだけでしたら、気持ち的にもいっぱいいっぱいでしたが、ここにスノーさんとキアラちゃんが加わるだけで、凄く頼もしい気持ちになります。
いつの間にか、僕はそれだけ二人を頼りにしていたという証拠ですね。
そして、足止めを何度もされ、その度にルード兵の援護をしながら進み、ようやく目的の右軍がみえそうな所までやってきました。
「もうすぐ」
「うん、ユアン状況はわかる?」
「はい……ちょっとまずいですね」
探知魔法で魔物の動きがどうなっているか、探ってみると、人と魔物が入り乱れているのがわかります。
数は魔物の方が少ないですが、少し大きめな赤い点……オーガよりも強い魔物が混ざっている事がわかります。
それにしても失敗しました……。
こんな場所で探知魔法を使ったせいで、青い点と赤い点……その他にも動物を表す点が沢山でちょっとクラクラします。
「ユアン、平気?」
「はい、何とか」
今回の戦いでは探知魔法は使わない方が良さそうですね。
「次からは私に任せるといい。影狼使う」
「はい、お願いします。ですが、魔物と勘違いさせて混乱させないように気をつけてくださいね」
シアさんの影狼は斥候として使う事も、単純に戦力としても使う事ができます。
一度に使用できるのは2匹? までですが、僕の探知魔法、キアラちゃんの召喚獣、シアさんの影狼を使った魔法と、状況に応じて探知ができそうです。
「た、大変な事になってますよ!」
「うん、まずは魔物をどうにかしないとだね」
「デカいのは私に任せる」
「ゴブリンとかは任せてください」
僕たちが辿り着いた時には既に混戦状態になりかけていました。
どうやら此処で戦っているのは冒険者達みたいですね。甲冑などを着ていない、動きやすさを重視した装備をしていますので、間違いはないと思います。
今回はルードの兵も一緒に戦っているのが見て取れますので、見捨てられた、という訳ではなさそうです。
ですが、よくもあの大きな魔物……確か、サイクロプスですか? オーガよりも二回りかそれ以上ある、巨大な一つ目の魔物を相手に持ちこたえていますね。
確か、Bランク指定の魔物だったはずです。
しかも、僕の位置から見えるだけで10体は確認できます。
「騎馬の援護が来る、もう少し耐えろ!」
「「おぉぉぉ!」」
兵士たちの激に冒険者達が力強く答えます。
その言葉通り、右軍後方から砂塵が上がっているのがわかります。
恐らく、これを頼りにギリギリの所で耐えているみたいですね。
そして、馬での移動は一旦ここまでですね。
シアさんとスノーさんにも戦って貰う必要がありますからね。
それに、僕たちは向かわなければいけない所を見つけてしまいました。
「最前線に向かいます!」
シアさんとスノーさんがサイクロプスの相手をし、キアラちゃんはゴブリンを倒しながら、魔物が多い方へと向かっていくと、最前線といえる場所で、孤立しているパーティーがあることに気づいてしまったのです。
さっきの位置からはわかりませんが、サイクロプス、オーガ、ゴブリンなど、様々な魔物を相手に戦っているのです。
きっと、この人達が右軍の要だったのでしょう。
囲まれながらも、魔物が吹き飛んだり、火柱が上がったりと、懸命に戦っているのがわかります。
「まだ、間に合いますね」
「うん。まだ、間に合う」
「助けようか」
「あの人達を失ったら、冒険者達は全滅しちゃいそう」
僕たちが再び離れる時、あの人達がいないと再び窮地に追い込まれる事になりそうですね。
「シアさん、スノーさん、遠慮なくお願いします」
「いつも通り」
「やるしかないね」
僕は防御魔法を上書きし、身体能力向上と付与魔法を惜しみなく使います。
「道ができたら、僕も中に入ります」
「私一人残されても困るから、一緒にいきます」
弓を扱うのに、わざわざキアラちゃんも中に入る判断するなんて、意外と肝が据わっていますね。
最初にあった頃はオドオドしていたのに、成長したね。
私も負けていられないか。
「いくよ。一点突破、正面の敵の足止めは任せて…………闇より出、這いよる影、我が敵を捕縛せよ……闇の拘束」
魔物たちの陰から、手が伸び身体に巻き付き捕縛する。
ふふっ、シアと同じ影を使った魔法、お揃いね。
「今です、一気に突破してください!」
「影狼、好きにやれ。私の邪魔させるな」
「タンザの地下以来だね、風魔法を剣に纏うのは。あの時は制御出来なかったけど、今ならきっと出来る! 何せ、風魔法はキアラとお揃いだからねっ!」
ゴブリンはシアさんの影狼により頭を砕かれ、サイクロプスとオーガはシアさんの双剣により首が飛んでいきます。
そして、スノーさんが剣を振るうと同時、影狼の姿もシアさんの姿も影に溶け、消えてしまいます。
「す、スノーさん!やり過ぎだよ!」
「大丈夫、ちゃんと狙った所に飛んでるよ!」
そして、スノーさんが振るった剣から斬撃が飛び、魔物たちを次々に切り裂いていきます。
付与魔法【飛燕】の効果ですね。
スノーさんは制御出来ているといっていますが、正直な所、怪しく見えます。
「中の人は無事、ですかね? 巻き込まれていなければいいですけど」
「たぶん平気。それより、移動する」
「わっ!」
影の中からにゅっとシアさんが現れ、僕に移動を促します。
シアさん自身と僕の影の間を移動できる魔法みたいですが、いきなり現れると心臓に悪いですよね。
「ほら、魔物たちの囲いが閉じる前に行くよ!」
「わかりました」
何にせよ、魔物の一角を破る事が出来ました。
中の状況はわからない為、行ってみるまではわかりませんが、戦っている音はまだ続いています。
僕たちが起こした行動を気にしている感じもなさそうなので、大した集中力ですね。
「シアさんとスノーさん、道の両側の魔物を削りながらお願いします。ドーム型の防御魔法を展開させますので、範囲から出ないでくださいね!」
「わかった」
「内側から攻撃できるのは楽でいいね」
「キアラちゃんは、動きながらで大変ですが、余裕のあるときだけ狙ってください!」
「これくらいなら、大丈夫です。ユアンさんの魔法がありますからね!」
僕達らしい戦いですね。
僕の補助魔法と、シアさんとスノーさんの近接、キアラちゃんの弓が噛み合っている気がします。
勿論、みんなのそれぞれの腕があってこそですけどね。
「ま、間に合いましたか!?」
魔物たちをなぎ倒しできた道を抜け、僕たちはどうにか包囲された冒険者達の元へとたどり着きました。
そして、その冒険者達と顔を合わせた瞬間、僕たちが急に現れた事、ではなく別の理由で冒険者達は驚いた表情を見せたのでした。
行ったり来たりしたせいで、ごちゃごちゃですね。無駄な描写が多くて申し訳ない。
最初から一か所で戦わせたかったのですが、どうしても登場させたい人もいましたからね。
ですが、暫くは冒険者達と共に戦う予定ではいます。たぶん。
いつもお読みいただきありがとうございます。
誤字報告助かります、ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします。




