異世界へ⑤
俺はリリに引っ張られて村の中央付近まできた。
村というわりにかなり大きい感じがする。
俺の村っていうイメージは100人もいれば大きいってイメージなのだが、ここは明らかにそれ以上、もしかすると数百人規模じゃないかってぐらいだ。
「この村は数年前近くにあるいくつかの村と合併したんですよ、だから町ぐらいの規模はあるらしいんですが、もともとのガンサ村を大きくなって今があるのでそのまま村とゆうことになってます。」
と、リリから教えてもらった。
リリの家に向かう途中に宿や商店も確認できたし、やっぱりそれなりに大きいのだろう。
ちなみに翻訳の魔法は文字まで読めるみたいだ。
これはかなり便利である、是非覚えたいものだ。
「はい、ここです!」
なんだかリリは村に帰ってきてからかなり雰囲気が変わった、活発的な娘のように感じる。
こっちが素で、村の外では緊張していたのかもしれない。
盗賊に襲われ、見知らぬ俺がいたんだし仕方もないのかもしれない。
「ふむ、結構大きいのだな。」
リリの家は日本の一般的な二階建て4LDKぐらいの大きさがあるように外観から見て感じられる。
「お父さんがもと冒険者で、がんばって建てたそうです。」
リリはそう言うと、少し悲しそうに下を見た、
「さっきこの村はいくつかの村が合併したって言ったじゃないですか。それは近くの村が魔物に襲われて壊滅的な状態になって仕方なくガンサ村に人が流れてきたんですよ。父はそのとき少しでも村の人がこちらに逃げてこれるようにと、足止めとして終結した人たちとともに出て行ったきり帰ってこなかったんです。」
魔物・・・・か。
俺はまだ見たことがなかったから実感はわかなかったが、やっぱり動物ってのとは全く違うみたいだな。
動物はそこまで大きな集団で人を襲ったりはしないからな。俺の知る限りではだが、、
「そうか・・・。」
大切な人をなくした人への言葉を俺は今だにわからない。
日本でも情勢が悪化し戦争に関わることも多くなってからは、仲間が死ぬこともあり、周りにかける言葉をいつも探して結局なにも言えないでいた。
もう会うことはない戦友を思い出してしまった。
「いえ、もう7年も昔の話ですから!」
リリはそう言ってニコリと笑う、
今までで一番弱弱しく感じる笑顔だった。
「そうか」
「それより!どうぞ入ってください!」
湿っぽい空気を換えるためか、リリは自宅のドアを開けて入っていった。
「あらあら、どうしたのリリ?今日は薬草をとりにいったのではないのぉ?帰りが早いわね。」
奥から優しそうな・・・ずいぶんと若い女性がでてきた
「お母さん!ただいま、ちょっと事情があって薬草取は中断して帰ってきちゃった。」
お母さん?
リリとほとんど年齢が変わらないように見えるが、
「あら、何かあったのぉ?それにそちらの人は?」
「うん、それがね・・・・・」
リリが草原であったことを母親に伝える、
+++++++++++++++++++
「あらぁ、そんなことがあったのね、無事でよかったわぁ。トシさんもありがとうございます。」
「いや、そんなにたいしたことではないので。」
娘が襲われたのにそれだけか?
普通もっと取り乱したりするもんじゃないのか、全然驚いたり心配している気がしないな。
「お母さんはいつもなの、あまり驚いたりしないでふわーってしてるの。」
それは大丈夫なのか?
「あら、リリったら失礼だわ、私はすっごい心配してるしおどろいてもいるわぁ。」
「うふふ、そうなの?ごめんね、ありがとうお母さん。」
リリは外見は母親で、内面は父親に似たのか。確かめることはできないが。
「それでねお母さん、トシさんは遠いところから来たみたいで言葉が通じないの。今は私の魔法で何とかなってるけど、今後は困ると思うから、魔法を教えてあげてほしいの。」
そういってリリは母親の手をとる、
「俺からも頼みます、もし俺で使えることができるなら是非教えていただきたい。」
そういって俺は頭を下げる。
「あらあら、リリの恩人さんの頼み事は断れないわねぇ。」
リリの母親はふんわり微笑むと、承諾してくれた。