異世界へ③
リリに歩きながら色々と聞くことができた。
今いる場所は『ニーカワ大陸』という場所にあるツツラ国だということ。
他の大陸や国についてはあまり知らないみたいで、リリは村からもあまり出ることがないそうだ。
お金については『リン』という通貨を使用しているみたいで、価値については大体100リンでパン一個だという。大体『円』と同じぐらいの価値なのか?
ちなみにすべて硬貨で取引されているようで、
1リン、5リン、10リン、100リン、500リン硬貨については銅製で、少し大きさが違うそうだ。
1000リンと10,000リンは銀の硬貨。
100,000リンは金の硬貨。
1,000,000リンは白金貨。
リリは金貨は一度だけ、白金貨は見たこともないそうだ。
だいたい村では物々交換が多く、貨幣を使うことも町に行かないとあまりないそうだ。
それとこの世界にはどうやら魔物と言われるものがいるようだ。魔物といっても、全部が全部アニメみたいに、凶暴なものではないようで、地球でいうところの動物みたいなものだそうだ。
ただし小さいものはネズミみたいなのや、人懐っこい子犬程度から大きいものは空を埋め尽くすような巨大なものもいるようで、幅はかなり広い。そしてその全てが魔力を体内に宿しているみたいで、知能の高い魔物は魔法を使うこともあるそうだ。
そうそう、魔法についても聞いてみた。
今俺がリリと会話できているのも魔法の一つであり、意思疎通を可能とするものだそうだ。
この世界はかなり数多くの言語があるらしく、この魔法を使える人は多いそうだ。
しかしこんな田舎村ではリリとリリの母親しかいないそうで、少し自慢げに胸を張って教えてくれた。
「他にはどんな魔法がつかえるんだ?」
という俺の質問に、
「・・・・・・・・。」
うつむきながらこっちを見る。
なるほど、魔法はこれだけなんだな。
そんなこんなで目の前に村らしきものの塀が見えてくる。
「ん?もしかしてあれが?」
「はい!あれがガンサ村です!」
リリはニコリと俺に向かって、
「ようこそ!ガンサ村へ!」
そう言ってくれたのだった。
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「おい!!そこのおまえ!!」
ガンサ村の門に立っていた兵士らしき少年がこっちに槍を向け走ってくる。
俺は無意識に腰に付けてあった銃剣を握る。
「まってライ!」
リリが俺の前に飛び出て両手を広げる。
「な、リリ!?」
ライと言われた少年は槍を俺に向けたまま、
「おい、おまえいったい誰だ!?最近このあたりをうろついてる盗賊か!?」
「違うわ!ライ!この人は私を助けてくれたのよ!?」
「な、なにを・・」
俺はツタでつなげた男三人を引っ張り自分の前に出す。
「それはこいつらのことか?」
男三人、恐らくはこいつらがその盗賊とやらであろう。俺に無理やり前に引っ張り出されバランスを崩したのか地面に転がる。
「うぅぅう・・・。」
何か言いたいのだろうが顎が壊れてる今ではうまく話せないようだな。
「こ、こいつらは・・・・リリ!な、なにかあったのか!?」
ライ少年は槍をほり投げリリの両肩をつかむ、
「えぇ、平野のほうで襲われて、、。そこでこのトシさんに助けられたの。」
ライ少年は俺のほうを見て、といううか睨みながら
「こいつが?んなことできるのかよ、かなりひ弱そうだぜ?ちっせいし。」
失礼な少年だ、身長は確かにさほど高くはないが、
俺の身長は170㎝ほど、日本では平均だったがこっちでは小さいみたいだ。
リリも160㎝は超えてそうだし、全体的に身体が大きいのかもしれない。
「もう!失礼なこと言わないの!」
リリはそう言いながらライ少年をたたこうとするが、
「おっと、そんなのあたんねーよ!」
と、避けられてしまう。
何やら青春ドラマの一部を思い出していしまう。
「あ、すいません!こっちがガンサ村の衛兵をしているライです。」
「なんだよその紹介、幼馴染の、だろ?」
少しすねたようにライはリリに抗議する、
「ふふ、そうね」
この二人の付き合いは長いのだろう、信頼関係が感じられる。
「で、俺よりもそっちの人は盗賊じゃないんならなんなんだ?冒険者?」
改めて自己紹介をする必要がありそうだ。