自衛官よ、異世界へ
以前投稿していたものを編集したものです。至らないところも多いと思いますがのんびり投稿していきますので温かく見守ってください。コメントを頂ければできる限り返事を返そうと思いますので、何か言葉間違いや表現、自衛隊で間違っている内容があれば教えてください。
それではよろしくお願いします。
どうしてこうなった・・・?
今日も窓の外は快晴、毎日変わり栄えのしない景色。白い壁紙に包まれたこの部屋にはベッドがひとつ、そう俺がいるこのベッドだけだ。ベッドのすぐ横には常にいろいろな機械が稼働し、おそらく俺につながっているだろう。なぜ疑問系かというと、俺はどうやら意識不明、いや、脳死だと思われているようだ。確かに今の俺は腕はおろか、指、瞼でさえ動かすことはできない。そのため薄く開いた目で、毎日毎日外を見続けるしかないのだ。こうしてもう一年はたつだろうか、一年前、俺は自衛官として国外へとある任務についていた。内容については簡単な護衛任務であり、政治家の移動を危険ではないと言われている地域を付き添うといったものであった。しかし、運悪く移動中の車をテロリストに強襲され、政治家は死亡。そして俺はこのような状態になってしまった。更に悪いことは続く、どうやらこのテロリストが俺と協力しているという内容だ。そのため俺は自衛隊をクビ、犯罪者と裏切りのレッテルをはられてしまい、今は警察病院で腫れもの扱い、さらに見舞いはだれもこない。なぜ知ってるかって?毎日テレビをつけてニュースを看護師が見せてくれるのだ。意識のない人間にもこういった気遣いをするという看護師という仕事は尊敬に値する。めんどくさそうにしなければの話だが・・・。
この様な生活も残念ながら終わりそうだ。残念?むしろ終わってくれてありがたいとも思えるが。何はともかく俺の臓器がどっかの誰かにあげることになったようだ。犯罪者の俺をこれ以上税金を使って生かす必要もないし、最後ぐらいは役に立てってことかな。明日、いよいよその日が来る。深夜の病室、あんまり良い人生じゃなかったなぁ、と思いながら窓の外を眺める。
『おや?明日死ぬにしてはあまり絶望してないんだね?』
声が聞こえたと思ったその瞬間窓の手前、病室の中に少年がいた。
迷子かな、いやこんな夜中に迷子ってないだろ。入院している子供?警察病院に?それもないか。
『あはは、そのどれでもないよ。』
少年は笑顔でそう答える。もしかして俺の考えがわかるのか?
『わかるよ、君の心を覗いているからね。』
へぇ、それはすごい特技だな。
『あははは、特技って、君は全然驚かないんだね。』
驚いてはいるが、何分この体ではリアクションが取りずらくてね。
失笑してしまう。
『やっぱり君は僕が思っていた通り、すごい精神力をもっているみたいだね。』
精神力?
『そうだね、物事に動じない心、何事にも屈しない心、自分を信じる心、いろいろな感情をヒトは持っているけど、それはとても不安定で壊れやすい。それらを常に正常に保つ力を僕たちは精神力と呼んでいるんだよ。』
まてまて、俺は別に笑いもするし、怒ったりもするぞ。そんな冷たい人間ではない。と思う。
『うんうん、これは別に感情がないってことではないんだよ。なんて言えばいいだろ、まぁ器が大きいってことかな?』
なんで疑問なんだよ。ところでさっきの僕たちってのは?
『あぁ、僕たちは君たちの言う神様ってところかな?』
ほぉ、それを真顔で言うとはな。
『信じない?』
いや、信じるよ、なんせ心を読まれているからね。
『それはよかった。』
ニコリと、神を自称する少年は笑う。
ところで神様は俺に何用だ?もしかしてこの身体を治療してくれるのか?
『残念だけどそれは出来ないんだ、決まり事でね。明日君は死ぬ。』
そっか、わかってたことだけどやっぱり残念だよ。最後にこうして誰かと会話できたことだけでも良しとしようか。
『君はしゃべってないけどね。』
それもそうだな、
『あはは、ごめんよ。そして本題はここから、』
本題・・・?
『君の体を治して元に戻すことはできる。それぐらいの力は僕にはあるんだ。』
でも決まりでがあってできないんだろ?
『そうだね、でもそれはこの世界だけ。この地球を中心として作られている世界だけなんだよ。その昔この世界で問題があってね、それ以来神がヒトに関与することが禁じられたんだ。』
問題?
『まぁ、今は関係ない話だよ。』
少し悲しそうな顔をしていた。
『で、この世界ではできないけど違う世界では君を治すことができる。といっても君が自分で勝手に治るんだけどね。』
ん?どうゆうことだ?違う世界で勝手に治るとは・・・?
『君には異世界に行ってもらう。そのために君の体に【魔力】と言われる力を体に流すよ。』
?
よくわからん、どうゆうことだ?
『つまり・・・・・・・・』
要約すると、この世界で治療できない代わりに俺は異世界に行く。で、ここには俺のコピーのような物を置いておくそうだ。もちろん精神はなく、空っぽの脳死状態の俺ってことだな。その前に俺の身体に魔力をいれるみたいだ。向こうの異世界では魔力を全員持っているそうでそれで魔法と言われる漫画のような力を使うそうだ。その魔力は魔法だけではなく、体を動かす、けがを治すなど普段の生活の中でも人に使用されているそうで、これが無いと体は鉛のように重く感じ、ケガは全く治らないといったことになるそうだ。そのため魔力の保有量が少ない人はいても全く無いヒトは存在しないみたいだ。
そして、なぜ俺に魔力を入れるかというと、その魔力が俺の体を活性化させケガや不良な所を元に戻してくれるそうだ。問題は・・・
『じゃあ魔力を流すよ?たぶん激痛だけどがまんしてね。たぶん気絶すると思うけど、次に目を覚ましたら向こうの世界、僕は君に会えないから。』
少し弱弱しい笑顔を見せる。
最後に、なぜ俺にこんなことを?
『さて、それは神様のきまぐれかな?』
ニコリと笑う。
そっか。感謝する
『いえいえ、じゃあ・・・いくよ!』
なんだか身体が暖かくなってきた、なんだ?特に痛くないぞ?
どんどん体が熱くなる、熱い・・・・熱い!?
ぐ・・ぐああああああああああああああああああああ!!!!あああ、、、あああああああ
う、うぁあああぁぁぐ、はぁはぁ、あああああああああああ!!!!
『これは!?思った以上に・・・・・。』
そんな少年の声を聞きながら、体も動かせぬまま意識を失う。