プロローグ
じめじめした風が吹く、寝苦しい、蝉の音が鬱陶しい、何かが違う、
いつもと違う、体の痛みに耐えながらゆっくりと起き上がる、
「ここは…どこだ」。
全く見覚えない部屋を見渡していると、どこかから視線を感じる、
視線を感じる方を見るとそこには幼き少女が立っていた。
「誰…」
少女は寂しげな目をして
「あっち」
少女はただそれだけを言い俯いた
「あっちになにがあるんだよ」
動揺しながら話す。
「…っん」
ドアの外を指差しながら、短い言葉で命令する。
少し疑問に思いながらもその少女が指差す方へ向かった。
「いったいあっちに何があるって言うんだ…これは海…」
なぜここに海があるのか、僕は誰なのか、わからない
「僕は…今まで…何をしていたんだ」
怖くなり頭を抱え込む、
「あなたは記憶を失っている」
記憶喪失の四文字しか思い浮かばない、
「記憶喪失とゆうか君はいったい誰なんだ」
「ここはどこなんだ、一体どうなっているんだ!!」
少女は一息置いてこう言った
「一緒に行こ」
そう言い僕の手を引っ張る少女、少しの間だけスローモーションに感じた。
「おい、ちゃんと説明を…ここは」
いきなり止まった少女は振り返り言った
「秘密基地」
秘密基地?意味がわからないなぜこんなとこにこんな幼い子がいるのか
「ここで二人暮らせる…」
この子は何を言っているのか、なんのために僕を、
「僕はここで暮らすなんて一言も…」
言ってないとそういう前に少女が少し怒ったような素振りをみせ言った
「あなたも見たでしょ、ここは無人島」
無人島だと、たしか僕は…うう思い出せない。
「ここから出ることなんて…できる?」
顔をこちらに近づけながら問いかけてくる。
「洗面台はここ、トイレはあっち自由に過ごして」
自称秘密基地の中を行ったり来たりしながら一生懸命説明してくる
「なんで無人島にこんなものが…というか水はどこから来てるんだ…」
なぜか無人島に引かれている水が気になった。
「気にしない」
そうぼくの耳元で囁く少女はにっこっと微笑み僕の手を引っ張りどこかへ連れていこうとする。
「お、おいまたどこに行くんだよ」
そう言うと少女は、僕の手を離し手を後ろで組んで満面の笑みで言った
「はやく」
少女は笑顔で手招きしている。
少女に導かれ着いたところは、「海」だった。僕は浜辺に腰を掛け海にちょこんと足をいれる少女を見ていた。
嬉しそうに僕の元にやって来る少女は
「やっぱり暑いね」そう言って少女は手で顔を扇ぐ、
「そういえば自己紹介まだだったよね」少女は沈み掛ける夕日をバックに僕の前に立った。
「私は霞」霞は自慢げに胸に手をあてて話している。
かすみ?どっかで聞いたことがあるような...
僕は聞き覚えのある名前を脳内再生で繰り返した。
「そろそろ戻ろうか」
霞はそういい秘密基地の方へ向かっている、
見たことのない場所での不安があるので霞に付いて行く事にした。
「おかえり」
秘密基地に戻ると霞の声が聞こえた。声のした方に行くと霞が囲炉裏で何かを作っている、ガスが無いためキッチンは使えないのか?。霞の前に座り頑張って料理する霞を見ていた。
少し時間がたって霞が「野菜スープ」を作ってくれた。調味料が何も入ってないので野菜の香りしかしないが見た目はかなり美味しそうだ。久しぶりに女の子が作ってくれたものが食べれる、久しぶり...ひさしぶり?ヒサシブリ、前にもこんな事があったような...そう思い霞の作ってくれたスープを飲む
「美味い」つい心の声が漏れるほど美味しかった野菜以外何も入ってないお湯なのに美味しく感じた。
一瞬霞は魔法使いか何かだと思った。
霞は嬉しそうに僕を見ている
「おいしい?おいしい?」とウキウキしながら聞いてくる、
「うん、とっても美味しいよ」
そう言うと霞はニッコリと笑って言った
「ありがとう!!」
後片付けを済まし霞は言った。
「さあ、寝よっか」
「おれはどこで寝ればいいのかな?」
流石に女の子と一緒に寝るのはまずい、
そう思っていたが霞は
「もう一つ部屋があるけどそっちはとてもじゃないけど寝れる環境じゃないよ、こっちで寝なよ」
霞は返事を聞かずに二人分の布団を敷いていく、何でもあるな、そう思い霞が敷いてくれた布団に寝転んだ。
結局その日は寝れずに、朝を迎えた。
「絶対この無人島から抜け出してやる」そう叫んだ