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シナリオはハッピーエンド?  作者: 峰白麻耶
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現世はバットエンド?

白い部屋の中。看護士や医者たちが慌ただしく走り回る。それをボーと見ている。まるで他人事のように自分から何かが抜けていく感覚と共に懐かしい記憶が蘇る。走馬灯と言うやつかなと可笑しく思いながら僕は慌ただしく動く人たちを横目にそれを見ることにする。


友達がボール………じゃなかった。ボールは友達。よくサッカーアニメとかであるよなまあ、ボールは道具だから友達も何もない何て言ったらそれこそしまいだな。それにそんなこと言われたら僕にとって友達がそれこそ病気になってしまう。


僕……深鳴木 勇は産まれながら心臓が弱い。いそりゃ心臓の病に掛かってるから当たり前か。医者の見立てでは中学卒業まで生きられないと言うこと。しかも病状がいつ悪化するかもわからない。だから子どもの時から外で遊ぶと言うことはそれこそ夢物語なのだ。故に自慢でもないが友達がいない。なぜなら学校に行けない。自分の家にもほとんど入れない。病状の問題でね。つまり最初に言った通り病気が友達、付け加えるならなら家は病院てね?


でも僕もずっとぼっちではない。1人だけ友達がいたのだ。とても大切な大切なたったひとりの名前は………何だったかな?でも顔は覚えてるんだけど。出会いは単純で病院の中で転んだ所に手を差し出しただけ。それだけでなぜか懐かれた。ひとつ言えば別に病院で友達が出来ない分けではない。だがなってもすぐに退院してしまうのだ。だけどその女の子はその日からよく見かけ仲良くなる。病院内は退屈だとかご飯はおいしくないだとかのごく当たり前のこと。だけどそれが僕には心地よかった。そんな時間が半年続き、突然それが終わる。


僕は忘れていたのだ。



ここがどこだかを。


ここは病院。身体にどこかしらの病気を持つ人が居る場所。しかも半年もここにいると言うことは僕と同じぐらいの事情を持つ子なのだということを僕は考えもしなかった。


半年たったその日その女の子は亡くなった。その知らせは僕の精神を深く抉った。その時は10歳。境遇が境遇のため看護士さんからは落ち着いていると言うか大人びてると言われる僕は看護士さんが出て行った後に盛大に泣いた。泣き止んでも悲しみはそうそう言えない。10歳にして大切な友人を失ったのだ。しかもたったひとりの。そしてそのその1ヶ月後に僕の元に女の子の両親が来た。葬儀を行うので参加して欲しいと。なぜ僕の事を知ってるのかと聞けば娘から聞いたと言う。とても楽しそうに君との会話を話してくれた。


葬儀には行くことにした。心の整理をするため、そして顔を見るために。親には納得させた。大切な友人のために行かなきゃ行けないからと。条件として看護士さんが1人付き添いになったが仕方ない。葬儀が終わり帰ろうとする。両親が手紙を渡してくれた。



手紙の内容はこうだった。



『私はね、重い病気だったの。だから君とで同じ友達が出来なかったの。退院しちゃうから。でも君のことはよく見かけた。この子なら友達になれるかなと思った。どうやって声をかけようか君は知らないだろうけど結構迷ったんだからね。


でも案外きっかけって単純だよね。どうやって声をかけようか悩んで歩いてたらこけちゃってそれで君が手出してくれた。そこからすれちがったら話してそこからよく話すようになった。私は嬉しかった。初めて出来た友達。住んでる場所を聞いたら近所だってこともわかった。当たり前のことを話しふざけあって怒られる。そんな私のしたかった、過ごしたい日々。


でもある日悲しい本を読んだの。色々あった末に両思いになった姫と王子が結ばれる。これだけど君に良くある話だなって言われるけどそうじゃないよ。王子様が病気で数日後に死んじゃうの。これを読んで思ったんだ。君が私と友達になれたのは、君も私と同じだからって。


その日から不安になったの。いつか君が来なくなっていつの間にか死んじゃうのが。でもその本を読んで気づけたこともある。君に会うのが楽しみで、話してる事がふざけてることが楽しい事に。単純でありきたり、普通の人ならえ?っと思うかもだけど、私はそうじゃないから。それを自覚するとうん………やっぱり恥ずかしいものだね。看護士さんにもバレちゃったし。告白するのとか言われたときにはもう………。でも考えた末にするのは止めたの。両思いになれても私は長くない。失敗したら気まずいしね。だから残りを楽しむことにしたの。


でも最後ぐらいはしっかり伝えたいの。勇くん。ずっと好きでした。私達に何もなかったらって思うけど、やっぱりこうだから仲良くなれたと思う。だからその中にある絵は私の夢。小学校に通って近所だから一緒に帰るようになって、中学になって少し疎遠になって私の方があー寂しくなってそれが好きってことかな?て思って、猛攻撃にあった勇くんが落ちて、高校の時に付き合い始めて何だかんだで結婚する。そんな夢。叶わなかったのは残念だけど、でも勇くんに会えなければ初恋もせずに死んじゃってたしね。だからありがとう。さようなら。』


僕はそこまで読むと両親が何かを持って来た。それが絵なのだろう。しかも凄くうまくなっていた。始めてみたときは、ひどかったのに。まじまじと見る。桜並木をランドセルを背負って歩く2人。部活に精を出す2人の少女の方の影には寂しい顔が描かれる。制服が変わって腕を組んでる2人。そして、結婚式。そんな夢の詰まった絵。


何かわからないけど胸が苦しかった。凄く泣きたくなった。心に穴が開いたようなそんな感覚。



今なら言えるだろう。それが僕の初恋だったと。もしかしたらあの時には始まっていたのかも知れない。あの日、あの時に高梨 優美の手を取ったときから。



気がつけば走馬燈は終わり、心電図は一言しか話さなかった。

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