第四話 byボッチ
「ちょ!夏目!」
上から声が降ってきた。見上げると、窓からひょこっとのぞく人影があった。それは、近所に住んでいて親友の白峰夕日だった。
無我夢中で走っているうちに、もう家の近くまで来てしまった。
「どうしたの!?びしょ濡れじゃん!上がってきなよ!」
そう言うと、彼女は親指でクイクイと部屋を指差した。
夕日の家に上がらせてもらい、シャワーを浴びさせてもらって服まで借りた。
「ごめん、服小さくない?」
「大丈夫、ありがとう。」
夕日が入れてくれたココアを少しだけ飲む。
「…夏目、元気ない?何かあった?」
「え……!?何でもないよ!?」
「……ふーん」
夕日はニヤニヤしながらずいっと顔を寄せてきた。
「もしかして~……彼氏とケンカ?」
「かかかかれし!?」
「翔太のこと。もー、私が知らない間に何してるの~?ま、私は英太一筋だけどね!」
「………!」
高瀬の名前が出て、顔が熱くなる。
ココアを一気に飲み干す。……って
「熱っ!!!!」
「…なにやってんの?」
夕日が少し引き気味で聞いてくる。
「いやーちょっと……あ!そうだ!制服、そろそろ乾いたんじゃない?」
「ん、どれどれ……。あ、もうほとんど乾いてるね。」
夕日が単純な性格でよかった。…変に勘が鋭いけど。
「じゃあ私、そろそろ帰るね。」
「え、まだ大丈夫だよ?晩ご飯食べて行かない?」
「ううん、ありがとう。大丈夫。」
「そっか。じゃあまた遊びに来てね。バイバイ。」
「うん、じゃあね。」
そして私は、夕日に傘を借りて家に帰った。
Written by ボッチ