プロローグ
(注)この小説は、夜燥とコラボでやっていますので、夜燥の方にもあります。これはお互いに承知しています。
はぁ、今日も部活、疲れたなぁ…)
私は楠木夏樹。都心の学校に通う普通の女子。
別に勉強がとても出来るわけでもなければ運動も人並み。
成績は常に中の上と上の下を彷徨ってる。
外見も友達には『夏樹はかわいいよね~。いいなぁ~』なんて言われるけど、自分ではそんなことはないと思ってる。
部活はテニス部。一応副部長。テニスだけはそこそこ得意。
で、今はその部活の帰りだ。
それにしても、
(あの先生、絶対厳しすぎるって…)
先日、理由は分からないが、学校の先生の内、半数ぐらいの先生が突然変わったのだ。
その影響でテニス部の顧問も変わったんだけど…
その先生の練習がかなり厳しいのだ。
開始から30分素振り、30分持久走、30分筋トレなどなど…
女子の私たちには厳しすぎていた。
おかげで、疲れ過ぎていたために、いつもより少し瞬発力などが下がっていた。
まさかそのせいであんなことに巻き込まれるとは知らずに――――
今は6:30だ。赤信号のスクランブル交差点は、会社帰りの大人や、学校帰りの学生が信号待ちをしていて、かなり込み合っていた。
(ここ、いっつも人、多いんだよなぁ…)
私は人ごみが嫌いだ。暑苦しいし、いいことなんてない。
信号が青に変わる。
信号待ちをしていた人々が流れ出す。私もその流れに乗って歩いていく。
そしてちょうど交差点の真ん中あたりに来た時だった。
何処からか女性の悲鳴が上がった。悲鳴を上げた女性はある方向を指さしている。
人々がその指の先を見る。私もそっちを見た。
そこに見えたものは―――――
大音量の排気音を響かせ、猛スピードで向かってくる1台のタンクローリー。
交差点の人々は一瞬、状況が飲み込めず呆然としていた。
そして、身の危険を感じた人々が悲鳴を上げながら四方に散っていく。
だが、もう遅い。呆然としていた間にもタンクローリーはこちらに近づいていた。
タンクローリーの運転手は何とかかわそうと、ブレーキを踏みながら右にハンドルをきったらしい。
しかし、スピードがつきすぎていた。
タンクローリーはなんとか右に向いたが、止まったり、曲がったりはせずに交差点に向かっていた。
タンクローリーは、まるでドリフトのように横滑りしながら突っ込んでくる。
そして、人々が逃げるときにはすでに―――――
タンクローリーは交差点に突っ込んで、人を巻き込みながらも滑り続けた。
ビルとビルの間に響くのは――――
人々の悲鳴、タンクローリーのタイヤが滑る音、ブレーキの甲高い音、人がタンクローリーに撥ねられる音…
私はそんな状況を目の前にして、逃げれなかった。
(嘘…でしょ…、このままじゃ―――)
(私は、死ぬ)
私の体がタンクローリーによって空に撥ねあがる。
痛みは無かった、痛すぎて感覚がなくなったのだろう。
次の瞬間、私の体はコンクリートにたたきつけられた。
まだ意識はかろうじてあった。が、体は全く動かなかった。
次の瞬間、何かがぶつかる音が聞こえた。
視界の先に見えたのは、信号待ちをしていた一般車にぶつかって止まったタンクローリー。
何とか轢かれずにすんだ人々が安堵する。
交差点はすでに血の海と化していた。
私には見えた。
タンクローリーから出たオイルに、切れた電気系統のコードから散った火花が触れたのを、
次の瞬間―――――
スクランブル交差点は炎に包まれた。
私の意識はそこで消えた…
二足のわらじですね。
あっちもやらなくちゃならないのに・・・
まぁ、頑張りますわ!
そして、夜燥さん、今回は有難うございます!
これからも宜しく!