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フロンティア魔法学校

生徒会室まで来た俺だが、ここに来るまでフロンティアの施設には驚愕させられた。

フロンティアはこの国の魔法学校の中でもトップクラスの名門校だ。

だが、高校程度でここまで施設に違いがあるとは予想もしていなかった。

この生徒会室に来るまでの10分間はこんな感じだった。


まず学校について最初に驚かされたのは校舎への入口である門だ。

門の周りに2人警備員が立っていた。

普通の魔法学校にも警備員は配置されているのだが、守衛所から外を眺めてる程度だ。

だが、この程度ならそこまで驚くほどのことでもない。

驚かされたのはこの次である。

なんと、学校の中に入るのにセキュリティゲートを通り抜けなければいけないのだ。

門は、横幅30mほどもある大きな鋼鉄の門だ。

この鋼鉄の門が親とするなら、セキュリティゲートが子である。

このセキュリティゲートは、生徒たちが混雑しないように10個ほど配置されている。

セキュリティゲートは生徒や学校関係者が持つICカードで開かれるようになっている。

セキュリティゲートの右側に認証機があるのでそこにICカードをタッチすればいいようになっている。

俺のICカードも昨日家の方に届いていた。

だが、図書館での本の貸し出しや身分証明書程度にしか使わないだろうと思っていたので、案内の必需品の項目に書かれていなかったら、持ってきていなかっただろう。

認証機にICカードを当てると、盤面が緑色に光ゲートが開いた。

「すげぇ門だな。」

ゲートを通り抜けた後、詩織に正直な感想を告げる。

「クロイス区はそんなに頻繁ではないけど、色々物騒なことが起きるからね。学校内に魔獣や不審者が入らないようにっていうのは当然のことだけど、他にも生徒が学校に来たかどうか、校舎を何時に出て行ったかなどを確認するためにも使っているんだって。なにか会った時に生徒が学校にいるかどうか、もし外にいるなら、保護者や近所の方に確認が取れるようにするためにね。もちろん、結界は町の建物と同じ物を使用してるね。監視カメラとかも設置されているし、侵入者用のトラップみたいなものもあるから、防犯に関しては万全な体制だと言えるね。」

「なんかもう、学校の領域を越えてるような気がするな。」

「そう?隼人君の前いた学校はどんな感じだったの?」

「門には警備員がいるだけ、監視カメラの設置とかもないような普通の学校だったぞ。警備員だって、門の前で立っていなかった。守衛所から外を眺めているぐらいだな。」

こんな警備の豪華3点セットみたいな物は皆無だった。

「まぁ、警備体制がそれだけ薄いってことはそれだけその地域は平和だってことじゃない?それはそれでいいことだと思うよ。」

「まぁ、そうだよな。」

確かに、護らないでいい状況であることが一番望ましいだろう。


門をくぐると、次は校舎までのメインストリートの中に中庭、体育館、図書館などの所要施設があった。

「フロンティアは施設も充実してるな。どんなモンがあるんだ?」

「そうだねぇ~。大して変ったものはないと思うよ。図書館と食堂、購買、体育館が2つに魔法練習場が1つ、魔法を個人で練習できるようにに作られてる個人用訓練所と、グラウンド、各クラブごとの施設、それと少し離れたところに学生寮があるくらいかな。」

「確かに、普通だな。それぐらいなら、前の学校にもあったわ。でもなぁ~?」

確かに前の学校にもあったが、規模が違う、とくに魔法練習場や図書館のような魔法に関する施設については一回りと言わず、二回りぐらいの違いを感じる。

「でけぇよなぁ。」

ここまで違いを見せつけられると、さすが名門校って気持ちになってくる。


メインストリートを5分ほど歩いたところで、ようやく校舎についた。

「でけぇな。」

さっきから、でけぇしか言ってない気がしてきたが、事実俺が通っていたものとはスケールが違うのだ。

仕方がない。

「先ほどから、でけぇしか言ってないぞ。」

思ってたことをディアナにツッコまれてしまった。

もう少し語彙力を鍛えようかと思う。

玄関に入ると靴箱がなかった。

「あれ、靴は履き替えないのか?」

「うん。フロンティアは外履きのまま校舎に入るんだよ。」

「へぇ~。」

靴箱を開くとラブレターなんてことはこの学校ではないのか。

まぁ、そんな古いイベント現代で起こることはまずないだろうが。

「俺たちは先生方に報告をしてくる。詩織、悪いが先に生徒会室まで案内していてくれ。」

玄関の中央付近で静が詩織に指示を出した。

「分かりました。」

詩織が了承すると、静とディアナは職員室があるであろう方向へと歩いて行った。

「じゃあ、私たちは6階ね。」

「あぁ、分かった。」

玄関の正面にあった階段を上る。

「この校舎ってどういう分け方になってるんだ。」

「えっとね。一階は教職員用の部屋と保健室、それと食堂かな。で、2階から5階までは順番に1年生から4年生まで、そして6階は文科系クラブや各委員会、それと我らが生徒会室があるってかんじになってるの。」

「ほぉ。全校生徒数はどれくらいなんだ?」

「全校生徒数1012人で、各学年250人程度だね。大体1クラス約25人編成で、1学年10クラスって感じかな。」

「そこらへんは普通の魔法学校と変わりないだな。」

「全ての規模が大きいわけじゃないよ。」

クスっと詩織が笑う。

そうこうしてると、6階に着いた。

「こっち。」

踊り場を左の方へ行く。

一番奥まで行くと目的の場所に着いた。

「ここが生徒会室だよ。中に入るにはICカードを登録しておかなきゃいけないんだけど、ゲストとして入ることもできるから。もし生徒会室に用がある時は、認証機の横にあるインターホンを押せばいいよ。」

「分かった。」

生徒会室にも認証機があるのにも驚きだが、もう耐性がついてきた。

説明を終えて詩織はICカードを認証機に当てる。

程なく扉が開いた。

「ちょっと待っててね。」

詩織が中に入って行った。

しばらくするとインターホンから声がしてきた。

「ゲスト申請したから、ICカードを使って入れるよ。」

「あいよ。」

先ほどの詩織のように扉を開け中に入る。


そんな感じで施設の数々に驚かされながらここまで来た俺だった。

しかし、生徒会室の中に入ってみると、俺の予想に反して普通の部屋だった。

会議用の大きな机が1つと、部屋の隅にパソコンが2台。

後は年代ごとに綺麗に並べられた資料が詰まった本棚がある程度だった。

「普通だな。セキュリティがある位だから、もっとすごい部屋なのかと思ったぞ。」

「最初にすごい門を見たから全部桁違いなんじゃないかと思うかもしれないけど、後は普通の学校と大して変わらないと思うよ。あぁ、でも食堂はちょっと豪華かな。」

そういいながら、詩織は奥で何か作業をしている。

「隼人君はコーヒーと紅茶どっちがいい?あっ、インスタントだよ。」

「じゃあ、コーヒーで。」

「はーい。砂糖とミルクは?」

「いらない。」

「了解。」

しばらくすると、詩織はコーヒーを持ってきてくれた。

「どうぞ。」

「ありがとう。」

早速1口いただく。

「うん。まぁまぁだな。」

「まぁ、インスタントだしね。昔の役員が好きだったみたいで結構いいセットはあるんだけど、今は本格的に淹れられる人がいないからとりあえずインスタントだけ用意してるんだ。」

「へー。そらなんかは喜んで淹れそうだな。あいつコーヒーとか紅茶とか淹れるの好きだから。」

「そうなんだ。今度ごちそうになってみたいな。」

「いいんじゃないか。今度うちに来いよ。多分淹れてくれるぜ。」

「そだね。空ちゃんにも会ってみたいし、楽しみだな。」

他愛もない会話をしながら過ごしていると扉が開いた。

そして、静とディアナが入ってきた。

「おっ。私も飲み物が欲しいな。詩織、紅茶を頼めるか?」

「分かりました。会長は?」

「あぁ。では、コーヒーを頼む。悪いな。」

「いえいえ。」

そういうと、セットのある方へと詩織は行った。

ディアナと静はそれぞれ自分の位置であるだろう、ホスト席に座る。

すぐに、詩織が2人の注文の品を持ってきた。

「早いなぁ。」

「生徒長の行動を読んでますから。用意はすでにしておきましたんで。」

「生意気な。まぁ、ありがとう。」

ディアナがカップを受け取る。

「会長もどうぞ。」

「あぁ。すまんな。」

2人は一口ずつ飲むと、カップを置いた。

そして、静が口を開いた。

「さて、それでは本題に入るとするか。」


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