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引っ越しの夜

初めて小説を書きました。未熟な点が多々あると思いますが、最後まで読んでもらえたら光栄です。出来れば、感想等お願いします。

魔法が存在する世界。

そんな世界では、魔人や魔獣といった、人に害為すモノがいる。

彼らは自分の欲に従い動き、人を苦しめる。

そのような存在に対して魔法を駆使し、立ち向かう者たちがいる。

人々を護る守護者。脅威から世界を護る守護者。弱きを助け、強き心で人々を導く「ガーディアン」である。


「終わったー。」

俺、来島隼人くるしまはやとは身長175cm、体重63㎏、血液型A型、誕生日が5月8日でおうし座という、ごく普通のステータスを持ったごくごく普通の魔法学校生である。

17年前両親によりこの世に生を与えられた。現在は、妹と親父と母さんと4人で暮らしている。たった今、引っ越して来たばかりの自分の部屋の整理が終わったところだ。2月末に親父に転勤の内示が出て、それに合わせて引っ越しの作業をしてきたのである。

この転勤がこの2ヶ月の間にウチをどんなに忙しくしたことか。とにもかくにも、自分の部屋の整理が済んで一段落といったところである。


ふとドアの方を見ると、黒い綺麗な長髪をポニーテールにしている、少し幼顔の少女が出てきた。我が妹、来島空くるしまそらだ。

身長は155cmぐらい。本日はジーパンにセンターに赤い大きなハートがある黒Tシャツというファッションだ。

ちなみに、今回の引っ越しで一番大変だったのが空だった。

一応1月には引っ越しの話が持ち上がっていたものの、高校受験前の空にとっては志望校を直前になって変更することになるのである。

しかも、空の志望する魔法学校はこの近辺には一流校と言われ、俺の編入先ともなっていたフロンティア(正式名称はフロンティア魔法学校である。)しかないのだ。

魔法学校の受験は一般的な試験と魔法実技の2つがある。魔法実技は折り紙つきの空だが、勉強については平均点クラスだった。勉学の分野でも当然優秀なフロンティアは空にとっては高い壁だった。

それでも、頑張り屋な空はその現実を受け止め、志望校変更の日から猛勉強を開始したのである。そして、見事に合格を決めたのだった。

ちなみに編入に関しては、魔法学校に在籍中の生徒はよほど素行が悪くない限り親の都合での転向などの止む得ない場合は、無条件で行われるシステムになっている。よって俺は、全く問題なくフロンティアへの転校が決まったのだ。


そんな頑張り屋の我が妹が部屋の様子を見まわした後、こういった。

「お兄ぃ、片づけ終わったんだね。それなら晩御飯の準備手伝ってよ。」

「少し休憩させてくれ。」

片づけを済ませてすぐという気だるさからそう答えた。

「ご飯がすんだら休憩すればいいでしょう。手伝いといっても食器並べるだけなんだから。ほら、はやく。」

「はぁー。」

溜息がでてしまったが、空のいうことも至極当然のことなのであるからして。

「へーい。」と、2つ返事で了承することにした。


空の後ろについていきリビングに行くと食欲をそそる匂いがしてきた。不意に腹の虫がなる。

「そういえば今日の昼はおにぎり1つだけだったもんな。道理で腹が減るわけだ。晩は豪華なのか?」

ご飯をよそっている空に期待を込めて聞いてみる。

「そんなに豪華な訳ないでしょう。ご飯に味噌汁、生姜焼きだけだよ。」

「生姜焼きかぁ。まぁ、肉を食えるのならいいか。」

空はよそぎ終わった茶碗を2つおいて、次は生姜焼きの盛りつけにかかり始めた。それを見て、俺はご飯を食台に持っていく。

「親父と母さんは?」

「買い物に行って、そのあと二人でご飯食べて来るって。」

「二人だけで外食かよ。」

「ホントあの二人はいつまでたってもイチャイチャしてるよね。」

本当に、ウチの両親にも困ったものである。休みがあれば2人でどこかにでかけたり、暇があればイチャついていたり、なにをするにもいつも一緒な気さえしてくる。とても、思春期の子を2人もった親には見えない。

「まぁ、いつも仲睦まじくやっているんだから、家庭的にはいいことだよな。」

「もう少し恥じらいを持ってほしいけどね。年頃の娘もいるんだし。」

「確かにな。」

そんな他愛もない会話をしながら2人で食事の準備を続けた。


「ごちそうさまでした。」

食事を終えて食器を流し場においてくる。買ったばかりの新しい白いソファーに座りゆっくりしていると、空が紅茶を淹れて持ってきた。

「おつかれ。」

「ありがとう。」

淹れてきた紅茶はとてもいい匂いがして、心が安らいだ。空は紅茶を淹れるのが趣味であり、その腕は店で出しても通用するぐらいだと思っている。

「お兄ぃは明日から学校でしょ?」

対面側にあるソファーに腰掛けた空が新たな話題を振ってきた。

「そうだな。転校初日になるし、早めに行くかな。」

「じゃあ朝ご飯は私が作ろうかな。何時に起きる予定?」

「うーん。歩いて15分ぐらいの距離だからなぁ。8時半に教室につけばいいから、7時に起きるくらいでいいかな。」

「わかった。じゃあそれに合わせて朝食の準備しておくね。」

「ありがとう。」

この兄にはもったないないくらい良い妹をもったと改めて感心する。


「そういえば、詩織しおりさんもフロンティアに通ってるんだよね?」

空のいう詩織というのは、俺たちの幼馴染である。性は神崎かんざき名は詩織。俺は小学校低学年の頃この辺りに住んでいたことがあったのだ。

その当時、毎日のように一緒に遊んでいたのである。とても明るく、誰にでも分け隔てのない優しさを持っていた。そしてなによりも魅力的だったのが、彼女の笑顔だった。

詩織の笑顔はどんなに怒っている人でも落ち着かせてしまうような優しさがあった。そんな彼女はクラスだけに関わらず学校中の人気ものだった。

また、詩織の実家は剣道場を営んでいる。詩織も剣道をやっていて腕前も同学年の中でもピカイチだった。そんな幼馴染と今まで引っ越してからは文通を交わすようになり、携帯電話を持つようになってからはメールを続けてきていたのである。

「あぁ、今日メールがあったんだが同じクラスだったらしい。引っ越しのせいで始業式にも出られなかったから、1人でも知り合いがいるのは心強いよな。」

本当なら今日の朝にはこっちについて、学校に行った後片づけを始めるはずだったのだが、高速の渋滞によって予想よりもかなり遅れて昼にこちらに到着。

もちろん、始業式だけの今日はすでに学校は終わっているので、そのまま引っ越しの片づけに入る形になったのである。

転校生が初日から学校を休むのは色々と話題になりそうなので嫌だったのだが、過ぎたことはしょうがない。

この話題を存分に使ってクラスに居場所を作りたいとポジティブに考えることにする。

「詩織さんと一緒なら楽しくなりそうだよね。」

空がニヤニヤした顔つきで俺を見つめてくる。

「やけに楽しそうだな。多分お前が思っているような展開にはならないと思うぞ。」

「私が思っている展開ってなんなのかな?」

「夢見がち女の子が発想しそうな展開だ。」

「私は別にそんなことを考えていません。そんな言葉が出てくるお兄ぃのほうが期待してるんじゃないの?」

小悪魔な表情で見つめ続けてくる空に、俺は少し困惑しながらも、

「そういえば、お前と詩織ってまだ一度も会ったことなかったよな?」

と、話題をすり替えるようにした。だってそうだろ。俺だって男だ。可愛い幼馴染と再会することに期待しない男のほうがおかしいだろう。しかし、妹にそれを悟られるのはものすごく悔しいのだ。

ならば、戦略的撤退をとるのは、とても重要なことだろう。

「話をすり替える技術が下手ね。」

とても残念なやつを見る目だ。

「そうね。詩織さんとはメールとかではやりとりしてるけど。実際に会った事はないわよ。でも私たち、もう仲良しだから。」

「メールとかメディアだけの交流でもう仲良しなのかよ。俺にはわからん世界だ・・・。」

最近はチャットなどでも仲良くなっていくようだが、俺にはどうも人と対面しないで仲良くなるということが想像できない。


ところで、先ほどからおかしい会話をしてように見える。いや、まぁおかしくはないかもしれないが、俺の妹が俺の幼馴染と一度も面識がないというのはおかしいだろう。

確かに、俺が一度も家で遊んだことがなかったりすれば分からなくもないが、もちろん家でも遊んでいる。詩織は母親とも面識がある。

なら、なぜ一度も面識がないのかというと、この謎を一発で解ける言葉がある。

義妹・・だ。


空は血筋などにとらわれていうならば、「いもうと」ではく「義妹いもうと」なのである。

ここを転校することになったのは、義父、つまり空の父と俺の母との結婚が理由だったのだ。

ちなみに俺の父親は今どうしているかは知らない。ただ、確実に言えるのは死んではいないということだろう。あの化け物が簡単に死ぬとは思えない。

まぁ、本当の父親の話はさておき、親父にはとても感謝している。

確かに最初は抵抗があったが、魔法の勉強を手伝ってもらったりしているうちに親父とは仲良くなった。日常生活で俺たちが何不自由なく暮らしているのは、親父が働いてくれているおかげだ。親父の仕事はガーディアン。町の守護者とも言われる仕事で、誇りに思っている。

空も、俺の誇れる立派な妹だ。だから、空も親父も今は本当の妹と父親だと思っている。だから、義父でも義妹でもない。父に妹なのだ。

さて、少し話が脱線してしまったが、話を戻すと俺は転校した後、空との暮らしが始まったので、詩織と空が出会ったことはないのだ。


「そうだよな。まぁ、すぐに会う機会もあるだろう。楽しみにしとけよ。」

「うん。」

「さて、明日も早いし、そろそろ風呂に入って寝るとするかな。」

ソファーから立ちあがり、背伸びをすると、欠伸がでた。

「そうだね。私も明日の下ごしらえだけしたら寝ようかな。」

空も立ち上がり台所に向かう。

「じゃあ、俺先に風呂に入るな。」

「はーい。」

俺は着替えを取りに階段を上り自分の部屋に戻り、下着と寝巻を持って脱衣所へと向かった。

鏡を見ると右頬にある傷が目に入った。

斜めに刃物で切られたような古傷が今も残っている。

「この傷やっぱ目立つよな。明日は絆創膏でも貼っていくか。」

この傷をつけたアイツのことを思い出しながら、俺は風呂に入った。



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