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我楽多  作者: 市太郎
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【DICTIOROID】爬虫類図鑑

図鑑はディクショナリーじゃないけど気にしない

 夏休みの課題を一生懸命やっているボクの横には、人型をした爬虫類図鑑のディクショロイドが待機している。

 最近流行っているこのディクショロイドは、去年のクリスマスにパパが買ってくれた。

 オオトカゲの生態を調べ、不思議に思ったこと、感じたことをまとめてデーターで提出しなくてはいけない。

 課題の内容は自由に決めていいって先生が言っていたから、僕は大好きなオオトカゲを選んでみた。

「オオ……トカゲは、種類も多く……大きいモノだと……えっと……五メー……」

 打ち込みに集中していたボクの頭を、ディクショロイドが叩いた。

「四七五センチ」

「…………」

 振り返ると勢いよく伸ばしたディクショロイドの舌が、口の中へ戻っていくところだった。

 背とか見た目は小学四年生のボクと同じくらいで、パパはボクと似てるからって言ってたけど、ボクはこんな生意気な顔をしていないと思う。

 図鑑に載っている爬虫類の特徴をコピーできるっていうのが図鑑シリーズの特徴で、コイツは今みたいにカメレオンの舌をコピーしてボクの頭を叩くんだ。

「舌で叩かないでよー。口で言えばいいじゃないか」

 文句を言ったら、トカゲみたいに先の割れた舌を突き出してチラチラしてみせる。

 爬虫類図鑑のディクショロイドは何だか生意気だ。

 この間だって、学校から帰ってきたら肌の色をヤドクガエルみたいに黄色と黒にしてボクを驚かせるし。

 ヤドクガエルの大きさならボクだってびっくりしないけど、黄色と黒の肌をした人が自分の部屋にいたら誰だって驚くよ。

 しかもコイツは腰を抜かしたボクを指差して笑ってたんだ。

 辞書だから、コピーできるとはいっても毒の機能まではコピーできないから危なくはないけどさ。

 ムカつきながら、ボクは画面に向き直ると続きを打ち込みはじめる。

「ラフネックモニターの格好よさとか、可愛さは……神……」

 さっきよりも強く頭を叩かれた。カメレオンの舌で。バシッて。

「レポートに神とか使うな」

 

 取っ組み合いの喧嘩になってママに叱られた。

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