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007

「落ち着いてくれ、言い値で払うと言っただろう。」


船長が慌てて、トニアを引き止めようとする。


「そう?船内での意見がまとまってないみたいだけど?」


戻ろう、と声をかけレオたちと出口へと向かう。


「待ってくれ!!!」


副船長が追いかけて来て、現金を手渡してくる。

トニアはその場で素早く数えた。


「‥たしかに。」


二百万あることを確認し、トニアは甲板へと再び戻った。


「船乗り病の原因は新鮮な野菜不足が原因なの。特に果物に含まれる成分のね。」


「そうか‥オレンジ‥!」


副船長が小さく呟いた。


「宿屋に来れば治療のヒントもタダで持ち帰れると思ったんでしょう?」


お見通しだと言わんばかりに、腕を組む。


「オレンジだけじゃないわ。レモンの砂糖漬けにライム水も飲んだでしょう。

柑橘類を積極的に摂ると予防にも治療にもなるの。

これから寄港地では多めに買っておくことね。」


長期保存が効くものは、宿屋で売ってるから必要ならまた寄ってちょうだい。と、代金分の情報を渡し去ろうとするトニア。


「それだけか!?たったそれだけの事で‥あいつは‥弟は助かったかもしれないのに‥」


難癖船員がうずくまって、涙を流していた。


「あ、そうそう。あなたたちの国から来た船の中で治療法を伝えるのは、この船だけにしてもいいわ。」


船員たちが顔を見合わせる中、船長が顎で合図をする。

副船長が船室へ消え、すぐに戻ってきた。

その手には現金。


「倍の代金を払おう。これで我が国の他の船には治療法を秘密にしてほしい。」


察しが良くて助かるわ。

トニアは内心ほくそ笑みながら、その金を受け取る。

さっと数え、半分を返す。


「怪我をさせたから、おまけしとくわ。それと‥」


出口へと歩き出しながら付け加える。


「治療法については、船員たちへの口止めを忘れないことね。」


はあぁぁ〜。

バンっと後ろで渡し板が閉じる音が聞こえ、安堵のため息が漏れる。


「やるじゃねぇか。二週間で三百かよ。」

「ねぇ、なんで百万返しちゃったの?もらっとけばいいのにさ〜。」

「私も気になりました。向こうから交渉してきたならまだしも。」


短時間での大きな稼ぎにレオたちも興奮したのか、次々と話しかけてくる。

「人の口に戸は建てられないって言うでしょ。情報が広まるのが早すぎれば、こっちが疑われちゃう。また寄港するだろうし、関係は良好にしておかないとね。」


「そっか!俺も小金稼ぎしようか‥っ痛い、痛いよ、若!」


冗談なのにぃ、とロッコが耳をさする。


残り、七百万デナロ。

あと二つ三つ売れば、目標達成ね。

なんなら、解放された後も生活に困らないだけのお金が手に入るかもしれない。

宿屋へ戻る道すがら、トニアはニヤつく口元を煙草で隠さずにはいられなかった。




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