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私がどれほど美しいかということを、信じたい

作者: つばさ
掲載日:2026/04/17

私がどれほど美しいかということを、信じたい。

首を掻きむしるほどに、息をしたい。

私の背中に翼が生えてきて、いつか空をとぶ。だからその時は、私があなたのところに迎えにいくね。

毎日でも祈るよ。

私には見えないけれど、あなたはずっと輝いているんでしょう。私も同じぐらい輝くって約束するよ。

どんな言葉だって、あなたには足りない。だから私が言葉をつくるよ、最も美しい場所に一緒に行こう。

そして私がその場所に行けたら、きっとキスするから。

だから、だから信じてほしい


#### 手紙だらけの星

 さて、郵便屋さんは星を巡る旅に出るみたい。何を届けるんだろう?

「何を届けるかって? そうだな、届けるものがなかった。……自分でラブレターを書こうかな。うーん、まず1文字目を何にするかですね……。ああ、こうしてる間に他の郵便屋に抜かされてしまう。向かいながらラブレターを書こうかな」

 まず最初の星は、手紙で溢れた星かぁ。郵便屋さん、これらの手紙も一緒に届けたらいいんじゃないの?

「こんなにいっぱいの手紙を一気に届けられませんよ。私には許容量オーバー。それに、中身を見てください」

 なになに? 愛してるよ、好きだ、君しか見えない……、どれもありきたりだ!

「そうなんです、届けられなかった手紙たちですよ。きっと、もっと愛が必要なんです、愛がね」

 愛、かぁ。郵便屋さんの手紙はどんな手紙になるんだろう、ワクワクするね!

「ふふ、楽しみですか? そうだな、まず最初はこんなのはいかがでしょう?」

 『私がどれほど美しいかということを、信じたい』? なにこれ、自意識過剰?

「あはは、そう、自意識過剰じゃないとやってられないんですよ、君もいつかわかりますよ。それに、まずは自分を信じなければ、相手も私を信じてくれません」

 そういうもんなの?

「そういうものなのです、さあ、次の星に行きましょう!」


#### 酸素不足の星 

 よし、2つ目の星! ……なにここ、なんか息苦しい? すごく辛いかも!

「そうですねぇ。仕方がありません、こんな星もありましょう」

 なんでそんな冷静なの!? 早く、ここから出ないと!

「待ってください、ラブレターの続きを書きましょう」

 そんなの今じゃなくたってできるでしょう!? 急がなきゃ!

「一つ一つの星が私たちの軌跡になるんですよ、ここでも書かなきゃね、うん、こんな感じ」

 『首を掻きむしるほどに、息をしたい』? どういうこと? 郵便屋さん、本当にラブレター書こうとしてるの?

「してますよ、失礼な。あなたと一緒なら、息ができる、という熱いメッセージです」

 へえ、僕にはまだわかんないや。

「そうでしょう、きっといいラブレターになりますよ、さあ、次の星に行きましょう」


#### 大きな星 

 3つ目の星に来たね! サクサクだなぁ。

「やめてください、そういうの、フラグっていうんですよ」

 フラグ……? よくわかんないけど、とりあえずここの星はどんな星なんだろう?

「うーん、すごく、重力がありますね」

 本当だ、おもい。うう、体がちぎれそうだよぅ。星の移動はこんなにも大変なの?

「たくさんの星がありますから。一歩一歩が大変ですね、ここは長い旅になりそうだ」

 郵便屋さん、どうして諦めないの? 僕はもう心が折れそうだよ。

「さあ? どうしてでしょう、信じてるからかな」

 何を?

「私自身を。そして相手を。さあ書きましょう、やれやれ、筆をもつにも一苦労だ」

 『私の背中に翼が生えてきて、いつか空をとぶ。だからその時は、私があなたのところに迎えにいくね』……。こんな背中が重い場所で、よく翼が生える想像ができるよね……。僕、郵便屋さんのこと尊敬しちゃう。

「あはは、君は本当に純粋でいいね。まあ、今まさに翼が折れかかってると言えるよね」

 心折れそうになってるじゃん、ラブレターもかけたし、急いで、次の星に行こう。


#### 鐘だらけの星

 次の星は、鐘がいっぱいの星だ。なんだろ、いっぱい鳴らしていいのかな?

「はは、どうでしょう、確かに、いっぱい鳴らしたら鳴らすだけ、彼女に聞こえるかもしれません」

 そうでしょう、そうでしょう。試しに1つ鳴らしてみよう! 

「鳴らすのも私だっていうのに、無邪気ですねぇ、よいしょっと」

 おおー、ゴーンってなったよ! すごいすごい、楽しいねぇ!

「君は何を祈りますか?」

 祈る?

「鐘を鳴らすんです、何か祈らないと」

 じゃあ、旅が無事終わりますように、かな!

「旅が終わったら、きっと君も、幸せになれますよ」

 どういうこと? 郵便屋さんといる今もずっと幸せだよ? 

「ふふふ、嬉しいこといってくれますね、でも、もっと幸せになるんです」

 もっと幸せかぁ。どれだけの愛を貰えるんだろう!

「そりゃ、もっと、もっとですよ、あぁ、いけない、ラブレターを書かなければ。忘れるところだった」

 この星ではなんて書くの? あ、予想する! 「鐘は聞こえた?」かな。

「それもいいですね、でも残念でした。私は、『毎日でも祈るよ』と書きました」

 おお、郵便屋さんは、何を祈ったの? 何を祈るか書かないの?

「彼女も祈っているんです。だから書かなくても大丈夫」

 うーん? 郵便屋さんはなかなか言うことが難しいよね。僕には理解できないことばかり。

「今はそれでいいんです、未来はとっても長いですから、ひとつずつでいいんですよ」


#### 眩しい星

 今度の星は……、うわぁ、すごく眩しいよ。目を開けていられないぐらい。どうやって進んでいくの?

「本当ですね。暗すぎても何も見えないけれど、明るいすぎるのも何も見えなくなる。私たちがもともといた星は、居心地が良すぎたんでしょうね」

 うう、どうして、僕たちは大変な旅をしてるんだっけ?

「幸せになるためでしょう? 忘れないでください、生まれるために一生懸命になっていることを。忘れないでください、生きる素晴らしさを」

 どういうこと? 郵便屋さんが言っている意味が、僕にはわからないよ。

「今はそれでいいんですよ。さて、ラブレターを書かなければ」

 こんな星じゃあ、自分がかいた文字すら読めないでしょ? どうやって書くの?

「いいんですよ。読みづらくたって。不恰好だろうが、ラブレターはきっと美しい」

 不恰好が美しい? そんなわけないけどな。今度はなんて書いたの?

「『私には見えないけれど、あなたはずっと輝いているんでしょう。私も同じぐらい輝くって約束するよ』そう書きました。きっと、私も輝いているから」

 ……僕も?

「君は、最も輝くでしょうね」


#### 空っぽの星

 ああ、眩しかった。今度の星は、眩しくなくっていいね。……なんもないけど。

「そうですねぇ。こんな星もありましょう。こんな星だからこそ、書ける文があるはずです」

 例えばどんな?

「そうですねぇ。『どんな言葉だって、あなたには足りない。だから私が言葉をつくるよ、最も美しい場所に一緒に行こう』こうしますか」

 言葉が足りないって、どういうこと? 言葉はいっぱいあるのに。

「言葉は、いっぱいだと思いますか? どんな言葉だって、きっと足りないですよ。どんな表現だって、ちっぽけに感じるものです。この大きな感情の前ではね」

 ……どんな言葉を郵便屋さんはつくるの?

「ふふふ、知りたいですか? そうですねぇ、あなたの名前、なんて新しく考えるのはどうでしょう」

 わぁ、僕の名前? 教えて、教えて!

「それは、手紙を届けてから、ですよ。お楽しみは取っておきましょう」

 ええ? 早く知りたいのに。


#### たくさんの郵便屋さんが倒れてる星

 え……、たくさんの郵便屋さんが倒れているよ…….。どうして? 助けなきゃ……。

「君はとっても優しいですね。でも、もう助けられないんです。生きるということは、死ぬということ。僕も、君もね」

 そんな辛いこと言わないで。だったら生きたくない。

「そんな悲しいことを言わないでください。生きるということは、奇跡なのですから。僕も、君も、奇跡なんです。彼女もね。そうして、奇跡を味わって死にましょう」

 それって、苦しくないの?

「苦しいですよ。でもきっとそれ以上の暖かさを見つけられるから」

 本当に? 

「本当です。さて、ラブレターを書きましょう」

 『そして私がその場所に行けたら、きっとキスするから』か。郵便屋さんは、残酷だね。

「残酷と美しさは、きっと近いんでしょうね」


#### 地球

 たくさんの人がいる。たくさんの人生がある。たくさんの苦しさと、幸せを、抱えてる星だね。

「そう、そんな星にきっと生まれることができますよ。奇跡が起きるのは、きっと当たり前だから」

 ラブレターは?

「『だから、だから信じてほしい』と。祈りを込めて。あなたに会いに行きます」

 そうして、僕は生まれることができる?

「ええ、たくさんの愛を持って」


#### 卵子の星

「ようやく会いにきてくれた」

「ああ、君のためにラブレターを書いたんだ。読んでくれる?」

 ようやく、ようやく会えた。お母さん。僕は、これから生まれることができるんだね。

 ああ、ようやく僕は、僕になれる。僕の名前は?

「生まれた時に、わかりますよ。それまで、待ってて」

 待ってるよ、また会える日まで、ずっと待ってる! お父さんを、信じてくれて、ありがとう、お母さん!


そうして、2人と、星々は、全て僕になった。


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