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第9話決断の時

罰についてのデルヴィの言葉の残響が、サンディの頭の中で絶え間なく響いていた。その決定は絶対的なものに感じられた。自分と、若き主人に下されるであろう、一つの宣告。女主人マトリアークの冷たい視線の下で、サンディの心は猛烈な速さで回転し、この扉のない迷宮からの出口を探していた。どうすれば、ジャミル兄様を避けさせられる? どうすれば、誰も犠牲にすることなく、自由になれる?


その視線が、ふと窓の外へと落ちた。晴れ渡った空の下に広がる、何もない芝生。その空虚さが、突如として一つの記憶を呼び起こした。今日、ヴァーニから彼の兄が来ると言っていた、ジャミルの言葉を。一つの、無謀な考えが形作られ始めた。

ゆっくりと、サンディは深く息を吸い込み、激しく打つ心臓を落ち着かせる。先ほどまで緊張していたその姿勢は、今やより真っ直ぐになり、新たな決意に満ちていた。彼は顔を上げ、これまでとは違う眼差しでデルヴィを見つめた。


「奥様。失礼ながら、奥様のご質問への返答として、申し上げたいことがございます。この全ての黒幕が誰であるか、明かす用意ができました。」


サンディの口から発せられた、落ち着きと自信に満ちた声色の変化に、デルヴィの興味がそそられた。彼女は組んでいた足を下ろし、机の端に両手をついて身を乗り出した。


「ほう! 早く、言いなさい。この全ての黒幕は誰? 誰があなたに、反逆者になるよう教えたの?」


サンディは一瞬の沈黙を置き、期待感を高めた。そして、予期せぬ動きで、彼は振り返り、重要な書類が収められた高い棚へと歩いていった。デルヴィは彼を止めず、ただ、その鋭い視線でサンディの一挙手一投足を追った。棚の前に着くと、サンディの目は書類の表紙の列をスキャンし、施設の子供たちの名簿を通り過ぎ、やがて、栗色の革で装丁された一冊の分厚い本で止まった。


躊躇なく、彼はその書類を手に取った。落ち着いた足取りでデルヴィの前へと戻り、その分厚い本を、確かな音を立てて机の上に置いた。興味をそそられ、デルヴィは立ち上がり、今やその家族の書類を開き、女主人の前へと滑らせるサンディの様子を観察した。彼の指は、家系図の一つの分家――ヴァーニから派生した家系の枝――をなぞったが、どの名前の上でも止まらない。そして彼は、視線を上げてデルヴィの目と合わせ、ついに答えた。


「ジャミル兄様は、こう言っていました。『今日、ヴァーニから僕の兄が来る』と。」


「ヴァーニからの兄」という言葉を聞き、デルヴィは片腕を胸で組み、もう一方の手で顎に触れた。その眉がわずかにひそめられ、まるで失われた情報のピースを組み立てようとしているかのようだった。


「兄ですって? ヴァーニから?」


その呟きは、サンディに聞こえるほどには大きかった。女主人の顔に浮かんだ、心からの困惑を見せる。(奥様は、ヴァーニのご家族のことをお忘れに? それとも、ただのふりか?)サンディは心の中の問いを振り払い、説明を続けた。


「はい。ジャミル兄様は『ヴァーニからの兄が来る』と。その服装はぼろぼろで、身なりは乱れており、そして――」


サンディが口にした言葉の一つ一つ、特に「ぼろぼろの服装」が、デルヴィを打ちのめしたようだった。彼女の困惑した表情は消え去り、その顔には、目を見開くほどの、はっきりとした恐怖が刻まれていた。彼女は今、サンディが誰のことを話しているのかを、理解したのだ。素早く、彼女は怒鳴った。


「そこまでだ、サンディ。」


書類のページを開いていたサンディの手が、凍り付いた。彼はデルヴィを見つめ、部屋の雰囲気が劇的に変わったのを感じた。稲妻のような動きで、デルヴィは前に飛び出し、サンディのTシャツの襟を固く掴み上げ、そのつま先が床から浮くまで持ち上げた。


「言いなさい。あいつは、何を計画しているの?」


サンディの声は、デルヴィの握力に締め付けられ、かすれて出てきた。彼は女主人の腕を叩き、空気を求める。


「わ、わかりません、お、奥様……は、離して、ください。い、息が……!」


「ちっ!!」デルヴィは唸った。


彼女は乱暴にその手を離し、サンディは後ろによろめいた。サンディは激しく咳き込み、痛む喉を手で押さえる。パニックは、まだデルヴィの顔に影を落としていた。彼女は背を向け、まだ痛みで身をかがめているサンディから顔をそむける。突き刺すような冷たい声で、彼女は一つの取引を持ちかけた。


「今回だけは、お前の過ちを許し、罰も軽くしてやろう。だが、条件が一つある。私の密偵になれ。ジャミルのあらゆる動きと計画を、監視するのだ。」


その要求に、サンディは驚いて顔を上げた。その体は再び真っ直ぐに立ったが、その視線は、デルヴィの背中を、呆然と見つめていた。女主人の声が、別世界からの残響のように聞こえた。


「あの子に、疑われるな。もし、お前の任務がうまく行けば、お前に相応の生活を保証してやろう。」


その申し出は、宙に漂っていた。裏切りと、生存との間の、分岐点。選択の重荷が、サンディの肩に重くのしかかる。彼は、この施設の生活がいかに腐っているかを知っていた。だが、ジャミルへの忠誠の誓いは、それよりも神聖に感じられた。


彼の迷いのさなか、デルヴィはゆっくりと振り返った。その鋭い瞳が、答えを要求している。


「どうだ、私の申し出に、興味はあるか?」


サンディはまだ、黙り込んでいた。その問いは、彼に、より深く考えさせた。若き主人の部屋でかつて口にした誓いが、より良い生活への誘惑と、再びせめぎ合う。


(申し出を受け入れろ)心の一方が囁いた。

(断れ。一度口にした男の約束の重さは、何物にも代えられない)もう一方が、反論した。


◇◇◇


その頃、倉庫の中では、ハンが口にしたイグニスター学院の闇のシステム、奴隷売買、そして『ミュゼ』についての言葉の一つ一つが、ジャミルを驚愕させていた。組織への参加の誘いは、今や明るくなり始めた空気の中に漂っていた。屋根の隙間から差し込む太陽の光に照らされて。


ジャミルは思考を巡らせ、道を誤らないよう、あらゆる一歩を吟味していた。

その時、彼は先ほど自分が捨てた、古びた髪留めのことを思い出した。その記憶は、彼をミラや他の施設の子供たちの運命へと引き戻す。一つのパズルのピースが、形作られ始めた。『ミュゼ』は奴隷売買を根絶し、施設の子供たちの運命は、不確かだ。先ほどまで乱れていた彼の目に、今や理解のきらめきが宿っていた。全てを組み立て終えると、ジャミルは口を開いた。その声は、断固として、揺るぎなかった。


「ああ。君の組織に、入らせてもらうよ、ハン。」


勝利に満ちた薄い笑みが、ハンの唇に浮かびかけた、その時。彼の表情が、突然硬直した。その目は細められ、倉庫の外の微かな動きを捉えた。彼は扉に近づき、ほんのわずかだけ開けて、外を覗き見る。外では、紫色の髪をポニーテールに結んだ、眼鏡をかけた若い女性が見えた。彼女は使用人の制服を着ており、トマトを摘むのに集中していた。


外に聞こえないよう、囁き声で、ハンはジャミルに尋ねた。


「ジャミル。この屋敷、使用人は全部で何人いる?」


ジャミルは指を折りながら数え、一人一人の名前を思い出そうとした。「ジィ、ユン、シルヴィ、メリッサ、タイニー……ベリア、メイ……」


彼は、最後の名前を思い出そうとするかのように、言葉を止めた。ハンは目の隅で彼をちらりと見た。


「思い出せねえなら、もういい。今、外でトマトを摘んでる使用人は、誰だ?」


ジャミルはゆっくりと扉に近づき、ハンと同じことをした。その使用人の姿を見た途端、彼は思わず一歩後ずさった。


「彼女はメリッサだ。僕が怪しいと判断した質問には、千もの答え方を知っている、賢い使用人だよ。それだけじゃない。彼女の耳は地獄耳で、どんな小さな音でも聞き取ってしまうんだ。」


その説明を聞き、ハンはすぐに扉の隙間をゆっくりと閉じた。

だが、ギィ、という古い蝶番の軋む音は、どうやら十分だったらしい。

畑で、メリッサは突然、その作業を止めた。彼女は鋭く倉庫の方を向き、その額には、深い疑念の皺が刻まれていた。

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