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第11話トマトの籠

重い沈黙が、倉庫を包み込んでいた。タイニーは、隠しきれない敗北の印として、青白くなるほど強く下唇を噛んでいる。彼女の正面で、ハンはまるで些細な仕事を終えただけかのように、動じることなく、ゆっくりとくたびれたTシャツを下ろした。メリッサもまた、同じように落ち着き払い、わずかに顎を上げて、静かに勝利を味わっていた。


しかし、ジャミルは同じ安堵を感じてはいなかった。この勝利は脆く、ほんの束の間の休息に過ぎないように思えた。その視線はまだ警戒してタイニーに注がれ、彼らの秘密がこの倉庫から漏れ出さないようにする方法を、脳が猛スピードで探していた。


その緊張の中、タイニーの中で何かが動いた。完敗したことへの苛立ちは、まだ収まっていない。先ほどまでハンに向けられていたその目は、今や弱点を探し、隙を探して、荒々しく動いていた。ふと、その視線が、自分が持っているトマトの入った籠に落ちた。失くした物を探しているという、メリッサの告白に関する、一つの違和感が脳裏をよぎった。


彼女はすぐには攻撃しなかった。代わりに、まるで去るかのように背を向けた。その真っ直ぐな背中は敗北を物語っていたが、それはただの策略だった。その視線は、小さな畑から遠くない場所に立つ一本の木を、鋭く捉えていた。薄く、冷たい笑みが、その唇に浮かび始める。彼女は、新しい武器を見つけたのだ。


素早く、彼女は再び振り返り、今度はメリッサに完全に向き直った。その突然のオーラの変化に、ハンとジャミルは再び身を固くした。


「メリッサ。あなたが、芝居上手なのは知っているわ。」


その冷たい言葉に、ジャミルは息をのんだ。(どうする? もし、本当にバレてしまったら。僕の計画が、全て台無しに!)彼は内心で叫んだ。


タイニーは、まるで判決を言い渡すかのように、続けた。「本当は、あなたが失くした物を探しているというその理由自体が、あなたの計画の一部なのでしょう。」


彼女はゆっくりとメリッサに近づいていく。その一歩一歩が重く、脅威に満ちていた。しかし、メリッサは微動だにしない。その顔は落ち着いたままで、その澄んだ瞳は真っ直ぐにタイニーを見つめ、まるでその威圧的な攻撃がただの通り風であるかのように、受け流していた。


メリッサの一歩手前で、タイニーは止まった。彼女は胸の前で両腕を組み、その視線は傲慢さと確信に満ちていた。


「あなたが探している物は、決して失くされてなどいないわ。この倉庫にも、他のどこにもね。あなたが、自分の大切な物をぞんざいに置くような人間ではないこと、私は知っている。覚えているかしら、あの木の下で、二人で座っていた時のこと?」


タイニーの指が、例の木を指差した。反射的に、ハンとジャミルの頭もそちらへ向く。タイニーに視界を遮られていたメリッサは、その木を見るために、わずかに体をずらしただけだった。彼女は答えず、ただ、読み取れない表情でそれを見つめている。


反応を待つことなく、タイニーは途切れた言葉を続けた。


「あなたは私に言ったわね。あなたの物は、部屋の中にきちんと整理されていて、デルヴィ奥様から贈られた小箱に保管されている、と。」


タイニーの言葉による攻撃は、メリッサを全く揺るがさなかった。彼女は静かなままで、その姿勢はリラックスし、呼吸は整っていた。その後ろで硬直するジャミルと、部屋の向こうから緊張して見守るハンとは、対照的だった。タイニーは、メリッサの沈黙を敗北と誤解し、皮肉な笑みを浮かべた。


「どうして? なぜ黙っているの、メリッサ? まさか……私の推測が当たりかしら。あなたとジャミル様は、何かを企んでいるのね?」


その落ち着いた顔の裏で、メリッサの顎がわずかに硬くなった。長く抑圧されてきた怒りの震えが、表面に上がり始めていた。タイニーが最後の言葉を終えた時、メリッサの忍耐は尽きた。視界がぼやけるほどの、素早い動きで、その手が振るわれた。


パァン!!


硬い平手打ちの音が、倉庫の中に響き渡った。タイニーは横によろめき、その顔は驚きに呆然としている。その手はゆっくりと、瞬時に赤くなり、ひりひりと痛み始めた頬に触れた。ジャミルとハンもはっとし、メリッサからの予期せぬ感情の爆発を、信じられないといった様子で、目を見開いて見ていた。


息詰まるような静寂の後、ようやくメリッサが口を開いた。その落ち着いた声色は消え失せ、冷たい鋭さに取って代わられていた。


「黙ってくれるかしら。私の全ての質問に答えてほしいのなら、まず私が話すのを許可しなさい。」


倉庫の中のオーラは、途端にさらに重くなった。


「あなたの質問に答えてあげるわ。第一に、ジャミル様が私を手伝っているという点については、嘘をつきました。」


その告白を聞き、ジャミルの中の希望が崩れ落ちた。彼の顔は青ざめ、まるで深い奈落に突き落とされたかのようだった。


「第二に、私の物が決してなくならない、という点について。確かに、私は自分の貴重品を、どんなに小さなものでも、大切にしています。全て部屋で整頓され、デルヴィ奥様から頂いた小箱の中にありますわ。でも、あなたも知っておくべきよ。どんな人間だって、忘れることはある、と。だから、論理的に考えれば、今あなたの手にあるその物も、私の所有物だということにならないかしら?」


タイニーの顔から、自信が揺らぎ始めた。その視線はメリッサから、手の中のトマトの籠へと移る。彼女が見過ごしていた小さな細部に気づき、その額に困惑の皺が寄った。


「あなたが今持っているその籠は、私のものよ。私が十五歳だった時に、デルヴィ奥様から頂いた贈り物。私は確かに物を大切に手入れし、保管する方だけど、今、あなた自身が見ている通り。私も人間。気づかないうちに、忘れることもあるのよ。」


部屋の向こうで、先ほどまで緊張していたハンが、今や薄い笑みを浮かべていた。その鋭い瞳は、理解と感嘆のきらめきをもって、メリッサの背中を見つめている。彼は、これが不注意などではないと知っていた。これは、意図的に仕掛けられた、罠なのだと。


ハンの表情の変化を見たジャミルは、ただ、一人からもう一人へと困惑して視線を送ることしかできず、まるで自分自身のゲームの部外者のように感じていた。


メリッサの前で、タイニーは彫像のように立ち尽くし、再び悔しさをこらえて唇を噛んだ。彼女の主張は、粉砕された。その時、彼女の絶望的な目が、ハン――見知らぬ者、彼女の最後の切り札――をちらりと見た。狂気じみた考えが浮かぶ。気分転換として、彼女はハンに近づき始めた。


ハンの邪悪な意図に気づかないハンは、ただ警戒して彼女を見つめていた。二人の距離が縮まるにつれて、タイニーの鼻が、ハンの体から発せられる不快な臭いを捉えた。彼女の顔は即座に青ざめ、胃が激しく逆流する。彼女は身をかがめ、埃っぽい倉庫の床に、激しく嘔吐した。


それを見て、メリッサはハンの方を向き、親指を立ててウィンクを送った。誰にも見えない、見事な連携の合図だった。


数秒後、吐き気が収まると、タイニーは手の甲で口の残りを拭った。その顔は、恥辱と敗北感に満ちていた。もう何も言わずに、彼女はメリッサの籠を床に叩きつけ、倉庫から走り去った。


タイニーのパニックに陥った足音がゆっくりと消え、倉庫には重い沈黙が残された。メリッサは開かれた扉を見つめ、その姿勢がゆっくりとリラックスしていく。ジャミルは、先ほどからずっと堪えていた息を吐き出し、激しく打つ心臓を落ち着かせようとするかのように、胸をさすった。


安全を確かめた後、メリッサの表情が真剣なものに変わった。彼女は振り返り、若き主人を真っ直ぐに見つめた。


「ジャミル様、ハン様と共に、すぐにここからお逃げください。何か、あなた様の身に良くないことが起こる、悪い予感がいたします。」


ジャミルの額に、困惑の皺が寄った。「どういうことだい、メリッサ姉ちゃん? なぜ僕が行かなければならないんだ、それに、理由は何なんだ?」


メリッサはハンの方をちらりと見た。ハンは、同意の表情で彼女を見返した。


「タイニーがここを去ったからには、この出来事を奥様に報告すると、私は確信しています。ですから、あなた様に、ハン様と共にすぐにお発ちになるよう、申し上げているのです。」


ハンが一歩前に進み、その声は、メリッサの言葉を裏付けるように、断固としていた。


「メリッサ姉ちゃんの言う通りだ。ジャミル、俺たちはここでじっとしてはいられない。もしこの場所に留まれば、デルヴィ叔母様は俺たち三人を罰すると、俺は確信している。」


ジャミルは抗議しようと口を開いたが、メリッサはすでに動いていた。


「今すぐ出たら、服はどうするん――」


彼が言い終わる前に、背中を、優しくも断固とした力で押され、扉の方へと押しやられた。メリッサが彼の後ろに立ち、動き続けるよう、彼を強制していた。


「これ以上話している時間はありません、ジャミル様。ハン様と、今すぐお行きなさい。あなた様のお洋服は、私が運びます。」


ジャミルは前によろめき、目の隅でしか彼女を見ることができなかった。


「でも、メリッサ姉ちゃんはどうする――」


「私のことは、お気になさらず。私は大丈夫ですから。」メリッサは再び遮った。彼らの後ろで、ハンが状況に合わせて、ゆったりとした足取りで続き始めていた。


ジャミルとハンが戸口から一歩踏み出した時、メリッサは止まった。彼女は薄暗い倉庫の中から彼らを見つめ、その顔には甘い笑みが浮かんでいた。


「もし、私にまだ長い命が与えられるのなら。必ずや、お側に参ります、ジャミル様。」


その言葉は、物理的な打撃のようにジャミルを襲った。彼は凍り付き、メリッサを待ち受けるであろう恐ろしい罰の幻影が脳裏をよぎり、その目は恐怖に見開かれた。

メリッサは次に、その視線をハンへと移した。正式な敬意のこもった仕草で、彼女はわずかに身をかがめ、その右手で左肩を叩いた。


「ハン様。ジャミル様のことを、くれぐれもよろしくお願いいたします。」


短い頷きと薄い笑みが、ハンからの返事だった。彼は、理解していた。時間を無駄にすることなく、彼は振り返り、麻痺状態から引きずり出すように、ジャミルの腕を無理やり引いた。なすすべもないジャミルは、ただ、メリッサに手を伸ばそうと、後ろに腕を伸ばすことしかできなかった。無駄な、仕草を。


倉庫の中から、メリッサは背筋を伸ばした。彼女は甘く微笑み、手を振りながら、目を閉じた。

その瞬間、一筋の涙がジャミルの目尻からこぼれ落ちた。彼の人生で最も大切な使用人を、置き去りにしていくという、苦い意識と共に。



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