婚約破棄?
2月も終わりのある日、私は唐突に婚約破棄を告げられた
場所は王立学園の中庭
その真ん中に立つ東屋の中から、金色の髪に青い瞳をした男子生徒と、その後ろに隠れるように立つ同じく金色の髪の女生徒
男子生徒は皇子と呼ばれている、いつも輪の中にいる生徒だった
2人は王立学園の白い制服を着て、私以外誰もいない中庭に向かって
「ローズ! 君との婚約を破棄する」と告げた
私は、その女生徒を知らない
肌寒いこの時期に中庭を通る人も余りいないため、2人はおそらく私を待ち伏せていたのだろうとは思う
私は玄関から一番遠い5クラスで、よくショートカットと称して中庭を通っていた
私は理解が出来ないまま2人を見、すぐにどうしたのか? と私の側には友人のカミリアと幼馴染みのロイが駆け寄ってきた
ロイはウィステリア第二皇子とも昔馴染みで、位は低いが側近でもある
2人が同じように東屋を見ると、皇子と女生徒とは踵を返し、玄関とは反対の寮のある方へと去って行った
「迎えの馬車が来ておりますわ」
カミリアは私の顔を伺いながらそう声をかけ、ロイは2人のあとを追うように寮へと向かった
「また明日」とロイは笑うが、顔には困惑が浮かんでいる
カミリアも同じように困惑しながらも、私を促して玄関へと向かった
私が少し聞いてほしいとカミリアに言うと、カミリアは頷いて自分の馬車を返すと侍女アイビーとともに我が家の馬車へと乗った
私の侍女であるマーガレットは、それを驚いて見ていたが何も聞かずに、すぐに平然を装った
馬車が出てしばらく、「婚約を破棄されたみたいなの…」と私は呟いた
「え!?」と驚くのはカミリア
侍女2人は何も言わず、カミリアだけが「いつ?」と困惑していた
「私はとりあえず旦那さまにご報告しようと思いますが…」とマーガレット
私は頷いて「でも私だけしか聞いていないから…」と困ったようにマーガレットを見た
そして、馬車の中で起こったことを説明した