4話 何で僕がギルドマスターに?
「ふぅ~ん…それで屋敷に来るのが遅れたんですの?」
「は、はいすみません」
僕は雇い主に頭を下げる。
「はぁ…まあ良いわ。後ろにいるエルフは誰なの?後なんか騎士もいるわね…」
「え~っと、その……何で付いてきてるの…」
僕が後ろを見るとマリアとジョージが付いてきていた。
「それは私がレンに惚れたからだが?」
え?何を言ってるのこの人…
「はぁ?いったい何を言ってるのよ!そんな話が信じられる訳ないでしょ。ハッ、もしかしてショタコン…エルフはババアばかりだから若い遺伝子を欲するとはいえそれは……」
「ババア?私はまだ500歳、人間年齢では25歳ほどでエルフの中ではピチピチに若い方だ!」
「どのみちショタコンよ!」
「だいたい貴様だって大して変わらないだろうが!」
「は…」
「夜にしか動けないってそれは吸血鬼族の特徴だろう?それに歳もレンの2倍近く離れていると来た……それでショタコンとやり玉に挙げることはできないだろ?」
「あ、貴方が言わないでよ!」
何か二人が言い争っているようだ。
するとジョージが来て。
「旦那。世の中には知らねぇほうがいい話もあるんすよ。特に青少年には…」
「う、うん」
僕はそう返事するしかなかった。
「それでレン、この吸血鬼は誰なんだ?まさか……レンを襲う存在じゃないよな」
「え?いや違うよ。この方はルナ様と言ってこの辺りを治めてる伯爵家の令嬢で僕の商売相手だよ。この辺りは吸血鬼の領地なんだ」
「そして私はレンちゃんの婚約者でもあるわ!」
「初耳だけど!?」
僕は飛び上がる。
「私と結婚するって言ったんじゃない…」
「それっていつの話なんだっけ…」
「それはレンちゃんが4歳くらいのころ屋敷に来た時、私と会って『将来はルナお姉ちゃんと結婚する!』って言ったじゃない」
それはだいぶ前の話なんじゃないかなぁ…
「ノーカンだノーカン!そうは問屋が卸さないだろう!」
年上だというのになかなかマリアはごねる。僕なんてそんな魅力ないだろうに…
「そ、それよりルナ様。何か御用ですか…」
「冒険者登録のために準備したいの。用意してくれる?」
「え?冒険者登録するんすか?」
「ええ、そうよ。お父様がね…いつまでも引きこもってないで経験のために冒険者をしなさいって」
「へぇ~そうなんですね。後で紹介しますよ」
「それで帝都のギルドって何があるの?詳しく聞かせて欲しいわ!」
ルナ様がグイグイ来る。
「えっとですね……僕帝都に詳しくなくて……ジョージさんは知ってますよね?」
「ん?あぁギルドっていえばいくつかあるが俺らが入ってる帝都中央ギルドが良いんじゃないか?」
するとマリアが反応する。
「え?ジョージってあそこの出なのか?噂で聞いたけどあそこって…ギルドマスターが居なくなったせいで今次のマスター決めで揉めてるって……」
「ああ……まあな。あの荒くれ物を束ねるのは並みの手腕じゃ行かねぇからなぁ。まぁさっきその問題は解決したからな」
「へぇ~……それで誰がなるの?」
するとジョージは僕の腕をとる。
「レンの旦那だ」
「はぁぁぁぁぁ!!!」
何で?たまったものじゃない。なんで僕がギルドマスターなんかに?
「え、え、え……何で僕が?」
「そりゃアンタ以外に誰がいるんだよ。アンタは人望もあるし戦闘関連以外あらゆるステータスが完凸じゃねぇか。こんな優秀な人材が一村の商人で終わっちゃいけねぇよ」
「いやだって僕…」
「まぁそれはいいですわ。レンちゃんと一緒のギルドならずっと一緒にいられるもの」
「私も賛成だ。レン、いやギルドマスターよ。私をこき使ってくれて構わないぞ」
「お?マリア姐さんもギルド入んのか?」
「ああ、レンに惚れたからな」
「よし!なら決まりだな。明日から忙しくなるぞぉ!」
ジョージは嬉しそうに言う。
こうして僕は無理やり帝都に引きずられていったのだった。