27話 御前会議(後編)
僕は席を立つ。貴族たちの目線が集まる。
「えっと……僕の意見を述べさせてもらいます」
周囲の目線が気になるが深呼吸して続ける。
「僕はアランさんの処刑には反対です」
一部の貴族たちから動揺が広がる。
「何を言うかこの小僧め。ワシらの意見にたてつくか」
話を聞いている段階なのだから反抗も何もないのだが……
「確かにギルド幹部経験者が盗賊に堕ちたことは非常に大きな問題ですし、タイガがどのような末路をたどろうが自業自得で意義はありません。しかしアランさんは別にタイガの保護者でも何でもないのですし、そもそも現役メンバーならまだしも2年も前に抜けてそれ以降連絡もよこさないような男に対してまで業を背負うことは無いでしょう」
「しかしアランはタイガを矯正することができなかった。その責任はあるだろう」
貴族が詰めてきて僕も気配に押される。それを救ったのはカナタだった。
「いやそれは少々異なるね。ルーン子爵」
「カナタ様……」
「アランはタイガをギルドに放り込んでできるだけ矯正しようとはしていたよ。悪癖は治らなくてタイガ自身の評判は最悪だったけど、それでも強かったから幹部に上がってギルド会議にもついてくるようになったよ」
アリーシャも加わる。
「そうね。悪癖が凄かったからよく辞めさせるように言ったんだけど『奴はワシが拾ったガキだ!信じてやって欲しい』って聞かなくてね。まぁアランさんの手で首切られてても結果同じ末路に堕ちてただろうから首輪付けてた方が結果的にマシだったのかもだけど。恩を仇で返す男よ……」
「しかし抜けた時に引き留めたのだろう?」
また問い返す貴族に今度はワルドが口をはさむ。
「いえ我々の報告では。タイガは辞職願を出したのではなく勝手にバックレたと記憶していますが、それで1年たって除籍に」
「ことごとく自分勝手な奴よのぉ!ワシでもちょびっとはアランに同情するわい」
タイガの身勝手さに流石のルーン子爵でも呆れたらしい。しかし良く留めてたね……そんなの僕でも追い出しそうだよ。
「と言うことは帝都ギルドマスターたちはアラン処刑に反対ということかね?」
皇帝陛下が尋ねてくるので僕は頷く。
「ふぅむ……まぁ我もそう思って居るところだ」
「しかし陛下!それでは他国に示しが!」
「ルーンよ。我が話をしているのはギルドメンバーのことではなくタイガの話である。除籍されている以上タイガはギルドメンバーではないただの賊であるのだぞ?」
「は、はっ!」
ルーン子爵は静かになった。それに応じて他の過激派貴族も静かになる。
「とはいえそれも貴殿らの意見である以上考慮しよう。我はどちらの言い分も聞き入れた。では採決に移るがよい。我は多数派に従うこととするぞ」
陛下はそうワルドに命令する。
「では採決を取ります。アラン殿に処罰を与えることに賛成の者」
誰も手を上げない。ルーン子爵でさえ上げないことには驚いたがまぁさっきの反応を見る限り若干タイガに引いていたみたいだし心変わりしたのかもしれない。
「反対の者」
僕が手を上げるとカナタやルーンを含む他も手を挙げていた。
「では決まりであるな。我はアランに処罰を与えないこととする。タイガに関しては陪審制度で裁き、捜査には協力するように」
「「「はっ!」」」
僕らは一斉に声を上げ頭を下げ、御前会議は終了した。




