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26話 御前会議(前編)

 会議室には先に数人の人物が来ており、主が現れたのを感じ取ると立ち上がって礼をした。僕は席を回ると自分の名前があったので座っておく。隣にはカナタが座った。


「君の仲間たちには伝えているから後で移動してくると思うよ」


「あ、ありがとう!」


 僕が頭を下げるのと当時に会議が始まった。


 まず隣にいたひょろっとした眼鏡の男が話し始める。


「ギルド統括委員会のワルドと申す者ですが、レン様まずこの帝国で密猟者を始めとしたならず者がうようよしているのは知っていますね?」


 僕は無言で頷く。密猟者は時に盗賊と結びつくこともある厄介な存在だ。


「うん。それでそこにタイガとかいう元ギルド幹部がいた訳です」


「はい。アラン殿のギルドの幹部ですね」


「我としてはまだあの爺がマスターをしていることに驚きなのだが……あの男我より先にギルドにいたらしく我が参加した時は既にユニコーンのサブマスターだったし。っと話が反れたな。ワルドよ続けろ」


「はっ!それで市民の安全を守るギルドメンバーが賊に身を堕としたという事実について我々管理側としては問題視しているわけです」


 ワルドはそのまま話を続ける。ギルド統括委員会はこの帝国の冒険者ギルド全てを統括する存在であり、僕らのギルドの上位組織に当たる。僕やカナタ、アランなど帝都で仲良くやっている帝都ギルド連盟はその下部組織の一つだ。


 ある豪華な宝飾を付けた貴族らしい男がワルドに問う。


「ユニコーンだったか?あそこの現マスターは誰だったかね」


「3代目マスターのアラン翁です」


「フンアランの爺かよ。悪運の強い男め……が晩節は汚したな」


「晩節を汚したとはどのような意味でしょうか」


 僕はその男性に尋ねる。



「決まっておるだろう少年。あのような犯罪者を出した以上ユニコーンのマスターの資質に関わるというものだ」


 その男の話を皮切りに別の貴族組の話も弾む。


「それもそうだな。大犯罪者を出した以上アランの野郎に責任を取らせるべきではないか」



「そもそもあの男はもう30年はギルドマスターをしていて新しい風も吹いていないとか。そろそろ隠居させておくのが良いだろう」


「しかしあの男は経験豊富で他ギルドでも信頼しているものは多いと聞くがね」


「関係ないわい!そもそもギルドメンバーの不祥事はマスターが腹を切って詫びるのが筋だろう」


「そもそもあの男も処刑するのが良いのではないか?」


 貴族……とは言ってもごく一部ではあるが、彼らはアランの処刑を進めたいらしい。たまったものではない!何でアランを殺されなければならないのだ。反対意見を言おうかなぁ……でもあの貴族の役職が何か分からないからなぁ……中小なら言い負かすのも容易かもしれないが大貴族で皇帝も遠慮するような存在だとついでとばかりにこっちの首も切られかねないからね。


 僕が辟易しているのを察したのか隣にいる若いのか分からない女性。同じ帝都のギルド「マーメイド」のマスターアリーシャが耳打ちする。


「緊張してる?」


「い、いえ別に……」


「酷い話よね。あの爺さんは口うるさいけど殺すほどでは無いわ。そもそもタイガはギルドを抜けた赤の他人。偉い人にはそこが分からないのね」


 は、はぁ。この人随分と強気だなぁ……



「貴族の意見は良く分かった。次はギルド側の意見だ。特に親交の深い帝都6ギルドの意見を聞きたいな」


 皇帝がそう言うと僕らは顔を見合わせる。この状況で何を言えと……そんなことを思っているのを察したのか貴族側は高慢な笑顔を浮かべている。腹立つなぁ!



 そんな時僕は自然に手を挙げていた。周囲がざわめく。


「何だあのガキは」


「確かギルドのケルベロスのマスターだとか」


「マスター?そう言えば陛下と残りの帝都ギルドのメンツが当然のように扱っていたから見逃してたがコイツガキじゃねぇか!」



「静粛にしろ」


 静かな陛下の一声で場が鎮まる。覇気が相当あるきっと現役時代は相当高名な冒険者だったのだろう。


「レンよ。貴殿の意見を教えよ」


 僕は起立して自分の意見を述べることにした。

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