21話 助っ人その2。そして決着
現れたのは空中に浮かんだルナだった。背中の羽がパタパタして浮いており、こうもり傘を差している。ルドルフは彼女を呼んだのか。
「あらレンちゃん。呼びましたの?」
ルナはそう僕に声をかけてくる。
「うん、今向こうに密猟者が沢山いて…退治を手伝ってくれる?」
「密猟者…それは酷いですわねぇ……」
ルナ様はそう言いながら傘を回し、話半分に聞く。ルドルフが話を継ぐ。
「それで。それを止めようとしてマスターが撃たれたんだ」
その言葉の半分も言い終わらないうちにルナの反応が180度変わる。
「それを早く言いなさいなルドルフ!」
瞬間…彼女の周囲の温度が奪われ、周りが黒く覆われる。吸血鬼族の従魔を務める吸血蝙蝠の群れである。
「レン様を傷つけていいのは毎朝血を吸う私の牙のみでしてよ!」
そう言って周囲に覇気を放つ。いや別にルナに血を吸われるのを許可した記憶はないんだけれど…
そんな僕の心配も他所にルナはナイフを出して
「貴方を優雅に血霧に染めて差し上げますわ」
そう呟いて蝙蝠たちと飛び掛かっていった。
タイガの方もしばらく待っている間にイラつきが増したらしい。
「……テメェら、いちいち数だけ増やしやがって面倒なんだよ!」
タイガはそう叫んで大剣を振り上げる。大剣のような大型武器はハマった時の破壊力こそ大きいが、その分機動力に欠ける。その為各方面から多数の攻撃を受けるのには非常に弱い。その隙をついて4人で突っ込んでいく。
大剣をマリアが受け止めてしまうと、その隙をついて後ろからサラのナイフが首筋を狙う。それにタイガが気を取られた隙にマリアが一気に足を蹴り飛ばす。そしてそこに蝙蝠の大群が突っ込んでいく。後衛ではシルフィは弓矢をルドルフは回復魔術をそれぞれ打ちながら支援する。僕の加護とルドルフの加護両方を乗せたギルドメンバーは強い。
凄いと思いながら僕は周囲にいた魔物たちに目を向ける。彼らにはやる気があることが伝わる。今まで攫われた親か兄弟か子供か…その怒りがひしひしと伝わってくる。
「君たちもやる?」
魔物たちはすぐに頷いた。
「もう!腹立ったわ!レンの弟子でも奴隷でもなんでもなってやるからこの密猟者を倒しなさい!」
アルラウネも僕に協力してくれるようだ。それなら一発僕も参戦するか……
僕はすぐにボーパルバニーたちに指示を出し他の密猟者たちに飛び掛からせた。サイズが小さいだけあり乱戦の中でも的確に入り込んでダメージを与えていく。
「クソ!このクソウサギどもまで逆らいやがった!」
「このガキまで戦うのかよ!」
密猟者たちは敵の多さに苦戦している様子だ。
「食らえガキ!」
ある密猟者の魔法弾を後ろにいたアルラウネの蔓が弾く。
「マスターのことは邪魔させないわ」
アルラウネは僕のことを蔓で優しく包んでくれた。
僕は下に控えているある魔物を見て言った。
「君も協力してくれる?」
彼(彼女?)もすぐに頷いてくれた。
タイガは苦戦していた。まさか相手がここまでの強者ぞろいだとは思わなかったからだ。
(こいつ等はBランク相当とか言ってたくせに相当強いじゃねぇかよ!これ恐らくAランクが何人か混ざってやがるな……)
タイガは自分の懐に意識を集中する。彼らは強い。ただ一つの弱点も存在するということも分かっている。
(後ろにいるレンとかいうガキ。アイツが要なのは言うまでもない。ならそいつを討ち取ってしまったらどうなる?まぁこいつらが怒り狂って倍の力になることなど想像に難くないが、それでも隙は生まれるだろう。その隙をついて逃げ出してしまえ……オイラなんか組織の末端。上に言えばもっと強い連中を派遣してもらえる)
タイガはそう考えていた。どうせあのガキは庇ってもらってばかりで弱いのだからとそう嘲けていた。だからこそ衝撃だっただろう。
「食らえ!」
なぜかそのレンが飛び掛かって来て慢心していた自分を殴り倒して、自分が意識を手放してしまったことを……




