18話 vs密猟者&レンのスキル
「フン。犬ごときの為に若くして人生を終えるとはな!」
僕のことを密猟者の一人が踏みつけ、剣をすぐ隣に突き刺す。
「ここがお前の墓場だガキ!」
「待てよ。コイツ案外かわいくねぇか?殺すより密猟のついでに男娼として売り飛ばしてやった方が良い。小銭稼ぎにはなるだろ」
ぼ、僕を男娼に?!たまったもんじゃない!こんなことをしている間にも密猟者たちはスライムやボーパルバニーを捕えようとしている。
「させるか!」
僕がそう叫んだ瞬間。雷鳴が轟いた。
「スーパーサラキーック!」
サラが走ってきて僕を踏んでいた男にドロップキックをかます。
「がはぁ!」
「スキル 雷神の脚」の効果で雷と同じスピードで走るサラの蹴りに男はよろめき僕は足から解放された。
「はぁはぁ…」
「レンちゃん大丈夫?!」
サラは僕を抱き上げる。遅れてマリアとシルファ、さらに遅れてフィンも走って来る。
「大丈夫かレン!」
「う、うん…」
僕はそうマリアに告げると、マリアは密猟者と対峙する。
「貴様ら…レンに何をした!」
「何をしたか?密猟に決まってんだろ!ハハハ!」
「くっ…」
僕は歯噛みしながらサラとマリアを前衛にし、後退する。
シルファは魔道具で連絡を取っているらしい。
「ルドルフ。今マスターと一緒に密猟者と対峙したわ」
『密猟者かよ!それでマスターは?』
「ここにいるよルドルフ。ちょっと魔法弾で撃たれたけどね」
『あぁそれで防御魔法が発動したのか。で?マリアとサラは明王にでもなってるんですかね?』
「顔は見えないけど。凄く凄い覇気を感じるよ…」
『ハハハ…それで敵は何人いるんです?』
「感知してるだけで10人…他にグルの仲間が離れたところにいるかは分からないよ」
「まぁこちら3人なのに向こう10人って…フィン様も護衛する必要あるから…マスター。ルドルフたちにも転移して加勢してもらった方が良い?」
「そうした方が良いよ。じゃないと色々危ないからね」
『承知しました。まぁマリア姐さんなら全部ぶっ飛ばす気もするがね。今から転移の魔方陣を用意するので』
ルドルフはそう言って通話を切った。
「はぁっ!」
怒髪天を突いたマリアが長剣で密猟者を薙ぎ払っていく。
「よくもレンを男娼送りにしようとしたな!」
「え?マリア。それマジ?」
「あぁさっき聞いた」
「マジ許せん!」
サラは密猟者の間を縫っていき、マリアの乱撃によろめいた隙をついて指で作った簡易スタンガンを押し当てて気絶させていく。サラはマリアにはパワーが劣るが、潜入の器用さは群を抜いている。
「こ、こいつらあのガキの保護者かよ!」
「保護者?私たちは今レンの加護を受けているのだぞ?」
僕は武術&魔術の才能が最低レベルだが、別に何もスキルを持っていないわけではない。その内の一つが『加護付与』である。僕と心からの契約を結んだ存在を加護し、戦闘力などのステータスを底上げできるスキルである。歴代の将軍や国王に見られることがある能力らしいのだが、僕になぜ発現したのかは分からない。でも僕が仲間たちの先頭に貢献できるならこれほど嬉しいこともないと感じた。